テーマは「被爆の実相」

広島市の原爆資料館本館がおよそ2年の改修工事を経て4月25日リニューアルオープンした。

 
 
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25日午前に行われたオープニングセレモニーでは、広島市の松井市長など関係者が出席しテープカットが行われ、本川小学校の児童らによる「ひろしま平和の歌」の合唱が行われた。

 
 
 
 

午前8時半の開館とともに修学旅行生や外国人観光客など多くの来館者が一斉に館内に入り「被爆の実相」をテーマに一新された展示内容に大きな衝撃を受けていた。

 
 
 
 

h本館改修に先駆けて2017年4月再開していた東館では「核兵器の危険性」や「戦後広島の歩み」を伝えている。

本館の構成は、実物展示を中心に「被爆の実相」を伝えようと「8月6日の惨状」「放射線による被害」「魂の叫び」「生きる」の4つの展示コーナーとなっていて、実物展示や原爆の絵、写真など538点が展示されている。

今回リニューアルされた新館の入り口に広がるのは8月6日の惨状。「8月6日のヒロシマ」ゾーンでは、被爆当日の凄惨な広島を感じてもらうため文字情報は極力少なめに抑えられ、実物展示や原爆の絵、写真など、感性に訴えかける内容になっている。 

 
 

その工夫は建物の作りにも反映されていて、足元から緊張感を持って当時の状況を思い浮かべてもらおうと、敢えて固いタイルの床にしてある。

原爆で亡くなった人たち
原爆で亡くなった人たち

続く「被爆者」のゾーンでは、被爆者や遺族の苦しみ、悲しみが伝わるよう遺品と共に遺影や生前のエピソードなどが添えられている。

 
 
 
 

また、今回外国人被爆者のコーナーが初めて設置され、原爆は国籍も性別も年齢も関係なく全てを奪い去ったという非人道性を伝えている。

外国人被爆者のコーナー
外国人被爆者のコーナー

後世に語り継ぐ被爆の惨状

被爆の惨状をよりリアルに後世に伝えるために様々な工夫がされている今回のリニューアル。

横山さんから寄贈された遺品
横山さんから寄贈された遺品

焼けただれボロボロになった布…この遺品は、三川町で開業医を営んでいた横山さん一家の遺品。横山さんは7人家族だったが原爆は一瞬にして4人の命を奪い去った。

遺品を寄贈した横山滋さん
遺品を寄贈した横山滋さん

この遺品を寄贈したのは次男の横山滋さんだが、滋さんはおととし亡くなり今回の展示を見ることはできなかった。横山さんが生前に書いた手記には「半壊の家の前に不思議な負傷者が1人のっそりと立った。その人の『やられた』と、ただ一声を聞くまで私はそれが父であることが分からなかった」と記されていた…。

遺品を寄贈した横山滋さんの妻悦子さん:
(遺品は)私も今回、初めて見た。うちでは開けなかった…
もう二度とこんなことがあってはいけないと遺品を見た皆さんに思っていただければ滋も喜んだと思う。

今回のリニューアル後の展示を見た来館者は…

熊本から来た来館者:
平和の大切さ、戦争が駄目なんだというのがリアルすぎて…
平成から令和に代わる瞬間の平和の大切さを伝えるべく、いい機会というか、皆に伝えなければいけないとつくづく思った

 
 

原爆資料館・滝川卓男館長:
ヒロシマの心の原点である被爆の実相。それを国内外、世界に発信して次の世代に継承する。それを感じていただきたい

原爆資料館・滝川卓男館長
原爆資料館・滝川卓男館長

リニューアルした原爆資料館は、5月3日から5日までは午後8時まで開館時間が延長される。
 
【広島平和記念資料館 開館時間】
【3月- 7月】8:30-18:00 【8月】8:30-19:00 (8月5・6日は20:00閉館)
【9月-11月】8:30-18:00
【12月-2月】8:30-17:00
閉館時刻の30分前までにご入館ください。

*休館日
12月30日及び31日
・入館料
大人(大学生以上)200円(30人以上の場合、1人当たり160円)
高校生100円(20人以上の場合、無料)
中学生以下無料

広島平和記念資料館 ホームページ

http://hpmmuseum.jp/

( テレビ新広島)

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