ブレンドによる相乗効果でうま味増…名古屋の「だし専門店」のこだわりの黄金比率

名古屋市中区の“だし”の専門店「キッチン大友」は、コロナによる巣ごもり需要もあって2020年10月の売上が、オンライン販売を中心に前年の約2倍に伸びた。

納得の味を出すまで試行錯誤を繰り返し、完成まで2年かけた看板商品「大友のだし」は、多少値が張っても、本物を求める客から人気を得ている。

家庭の味噌汁が料亭の様な上品な味に。「大友のだし」には本物への強いこだわりがあった。

この記事の画像(28枚)

名古屋市中区錦。錦通から北の長者町問屋街にある、だし専門店「キッチン大友」。

店頭には、店主の加藤陽介さんが企画した約20種類の商品が並ぶ。だしパックは4種類、どれも“時短で使いやすくて美味しい”をコンセプトに生み出された商品だ。

女性客:
食事をする時間が増えたので、毎日使うものをちょっと上質なものにしたい気持ちは強くなりました。毎日お味噌汁を飲むので、おだしはすごく大事だなと

看板商品は「大友のだし(5袋入)」(540円)。煮干しは瀬戸内海、椎茸は九州、鰹節は鹿児島、昆布は北海道など、全国からそれぞれ最良の産地のものを使っている。

そんな中でも、加藤さんが一番こだわっているのはブレンドだ。

加藤さん:
ブレンドすることによって、うま味の相乗効果が出てきます。中でも一番煮干しが強くなっているので、味噌汁に一番合うようになっています。詳しい比率は企業秘密です

納得の味を出すまで試行錯誤を繰り返し、完成まで約2年かかった。

「本物のだしを使えば八丁味噌は少しでいい」…味噌汁が料亭の様な上品な味わいに

味噌汁作りは、まず沸騰させた300~500ccのお湯に、だし1パックを入れ約5分間煮出す。パックがアクを取ってくれるので、澄んだだしになる。

あとは具を煮て、味噌を合わせるだけ。

加藤さん:
だしをしっかりとって、味噌をちょっとくらいが八丁味噌に関してはいい。本物のだしを使うことによって、おいしいお味噌汁が飲めると思います

コクがあるのに上品な香り。まるで、どこかの料亭でいただくような味わい。だしがたっぷりとうま味を出すため、味噌は少なめで大丈夫。減塩にもなる。

粉末で使いやすくどんな洋食にも合うと評判…客からの要望で生まれた「野菜だし」

野菜を使っただしもある。「まるごと野菜だし(60g)」(540円)は、粉末タイプでお湯でとけば、そのままスープとしても頂ける。

どんな料理にも合い、バランスが良いという、国産のにんじん、玉ねぎ、セロリ、ニンニクの4つを細かくパウダー状にしている。

加藤さん:
セロリが多すぎてもクセが出ますし、にんじん、玉ねぎが多すぎたら甘味が強すぎたり、クセがなるべく出ないようにバランスを考えてあります

粉末ですぐ溶ける使い勝手の良さと、洋食に合うことからよく売れている。

この商品が生まれたきっかけはお客さんの声。百貨店の催事で客から野菜だしを要望された。
加藤さんはその後 研究を重ね、粉末タイプに辿りついた。

研究から約2年。完成した商品を百貨店で販売したところ、1週間で完売した。

「食は色んな人と人を繋げるもの」…デザイン会社から一念発起し「食」の世界へ

だしの開発に熱心な加藤さんだが、元々は広告デザインの仕事をしていた。そんな中、自分で何かを販売したいと思い、最終的に「食」に辿りついた。

加藤さん:
食は色んな人と人とを繋ぐものだなと思いました。だしは料理の基本で、毎日料理を作って、家族で食べて。人と人とを繋げる、そこがいいなと

より多くの人との繋がりを求め、15年前にデザイン会社を辞め、仕事で取引のあった食品卸会社に入社。だしについて1から学んだ。

その後、その卸会社を受け継ぎ、今から10年前にこの店を開いた。

「本物を届けたい」…自慢のだしを使った味噌おでんに全国から納得の声

そんな加藤さんが新たに手掛けるのが、自慢のだしを使った加工品だ。

生活スタイルの変化から、本来手軽であるはずのだしパックですら、使われなくなってきていると感じ、約10種類の加工品を商品に加えた。

中でも売れ筋が、名古屋名物の「だし味噌煮込みうどん(2食入)」(896円)と「味噌おでん(1食入)」(756円)。

「味噌おでん」は、湯煎で6~7分温めるだけ。手軽に作れることもあり、全国から注文が入り、現在1か月待ちの人気商品になった。

しかし少し気になるのが、お値段…。

加藤さん:
本物を届けたいという思いがあったので。できるだけ国産の物にこだわり、加工しただしとかは使わないと。食べたら皆さん納得していただいて、リピートに繋がっています

ネット通販により販路が全国に広がり、名古屋名物としても注目を集めている。

加藤さん:
だしをお中元・お歳暮・誕生日・内祝いに使っていただくことによって、人と人との絆が深まる。そういったことに役立つツールになればいいなと思います

畑違いからの転職で、だし作りを始めた加藤さん。食で人と人を繋げたい思いは、今も変わらない。

(東海テレビ)