加藤綾子キャスター:
FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。緊急事態宣言をめぐる経緯など舞台裏どうなっていたのでしょうか。菅首相と小池知事の因縁について政治部の高田圭太デスクよろしくお願いします。

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2人はお互いのことをどう思っているのか

政治部・高田圭太デスク:
菅首相と小池知事は、2020年の9月には笑顔でグータッチしていましたが、お互いの本音はどう思っているのか。

政治部・高田圭太デスク:
菅さんは、2020年9月のテレビ番組で小池さんとの関係を聞かれ、「普通の関係です」と答えています。

政治部・高田圭太デスク:
一方、小池さんは記者会見でこう答えています。

記者:
天敵・因縁の相手・苦手意識といったそういう認識はしていた?

東京都・小池百合子知事:
フフッ…されておられません。はい、以上です。

政治部・高田圭太デスク:
いかがですか。この両者の感想。

加藤綾子キャスター:
独特な緊張感はありますけれども、大人ですからね。そんなにこう表だって言わないとは思いますけど。

政治部・高田圭太デスク:
この言葉遣いにも、ちょっと普通と言いながら普通ではない感じが漂っています。

加藤綾子キャスター:
この言葉というより、最近の動きじゃないですか。

政治部・高田圭太デスク:
まさにその動きを解説いたします。今回菅さんとしては、とにかくこの年末に感染者が増える中で緊急事態宣言は避けたいという中で、対策として東京都に時短営業を夜の8時でお願いしたいと小池さんに電話までしてお願いしました。

それに対して小池さんは「店舗が今のままで応じるかどうかちょっと実効性が担保できないということで、他の方法で努力しますよ」というふうに言ってすれ違ってしまった。

政治部・高田圭太デスク:
そうした中で1月2日に小池さんが動きます。小池知事が埼玉の大野知事・千葉の森田知事・神奈川の黒岩知事を連れて、西村大臣に対して緊急事態宣言を発令するように要請しました。

その結果、菅さんはすでに緊急事態宣言も検討していましたが、これに押される形で4日に宣言に踏み切るというような経緯でした。

政治部・高田圭太デスク:
これについて、菅さんの周辺からは「小池さんからは午後8時までにと時短要請しないのに緊急事態宣言を求めるのはちょっと違うんじゃないか」あるいは「12月に小池さんが時短要請をしていたらこんなことになっていなかった」という恨み節が聞かれました。

政治部・高田圭太デスク:
小池さんのほうは「会食がすべての原因というのはエビデンスに乏しい」「時短より強い要請を東京も行っていた。外出自粛など」というふうに国に反論する声も聞こえた。

緊急事態宣言発令の裏側で起きた知事争奪戦

政治部・高田圭太デスク:
先ほどの要請をめぐっては知事争奪戦ともいえる舞台裏がありました。

政治部・高田圭太デスク:
そもそもこの4人の知事の中で、神奈川の黒岩知事、千葉の森田知事というのは菅さんと非常に親密な関係です。

これまで東京の小池知事とはちょっと一線を画していましたが、今回小池さんはまず埼玉の大野知事を味方につけた。

政治部・高田圭太デスク:
そして千葉の森田知事と神奈川の黒岩知事にも「4人で一緒に要請しましょう」というふうに言って4人まとまって西村大臣に要請するという形で菅さんの外堀を埋めていったというのが今回の戦略。

キャノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏:
政治部ネタとしては面白いですが、問題になったのは我々の命ですよね。こういう政治的なパフォーマンスもいいけれども、もともとは法律の不備があるのか、責任の所在がどこにあるのか、はっきりさせたうえで私は知事さんというのは、各都道府県の責任をちゃんと果たしてもらいたいと思いますよ。

政治部・高田圭太デスク:
まさにそのプロセスと結果の中で政府関係者からは「小池さんにやられた」みたいな声も出ていた。

2人の因縁は自民党総裁選

政治部・高田圭太デスク:
この2人のこれまでの因縁と言いますと結構長くありますが、最初に言われていたのは2012年の自民党総裁選。

この時、菅さんは安倍さんの陣営の中心人物だったので、その中で小池さんは安倍さんの勉強会に出席するなどしていたのですが、ギリギリで勢いのあった石破さん支持になった。しかし勝利したのは安倍さん。

政治部・高田圭太デスク:
こうした中で、安倍・菅政権の中で小池さんはどうなったと思いますか。

加藤綾子キャスター:
あんまり大切にはされないと思います。

政治部・高田圭太デスク:
重要なポストからは外されて、いわば干されるような形になりました。

政治部・高田圭太デスク:
そこで小池さん次の展開に出て、2016年の都知事選に自民党の了承を得ず出馬します。

これを巡って非常に軋轢が出まして、菅さんとしても「劇場型の人に都政を任せられない」みたいな批判がありました。

財政やGoToトラベルで対立

政治部・高田圭太デスク:
そして都知事と官房長官としては2018年に財政を巡って、東京など裕福な自治体のお金を地方との格差を埋めるために地方に持っていきましょうという再分配を巡っても非常に対立が先鋭化しました。

政治部・高田圭太デスク:
こうしたお金の対立などもあって、そしてその後GoToトラベルをめぐるやりとりもありました。

政治部・高田圭太デスク:
二人について自民党の議員は「やはりパフォーマンス重視の小池さんと根回し重視の菅さんの政治スタイルの違いだ」と言っています。

加藤綾子キャスター:
先程宮家さんがおっしゃったようにこの問題に関しては、人の命が関わっているものなので、こういう個人的な感情とか抜きにして、何が一番大事なんだ。今何をやるべきなのか、責任のなすりつけ合いとかではない。

政治部・高田圭太デスク:
プロセスが大事で尾身会長も「とにかく一体感」と言っているので、色々なものを乗り越えて結果で勝負して頂ければと思います。

(「イット!」1月12日放送分より)