「罰則」が焦点のはずが…特措法改正議論が急加速

「本来罰則がコロナ対策の中心ではないはずだが、今、罰則の話に政府の流れがいってしまっている」(立憲民主党・泉政調会長)

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新型コロナウイルス対策の実効性を高めるための特別措置法改正の議論が加速している。当初は営業時間の短縮に応じない飲食店等への罰則を設けることが、「営業の自由」といった憲法で保障される権利の制限につながるとういう懸念から、議論の最大の焦点になると見られていた。

ところが、多くの野党が罰則の是非より補償・支援を重視する中、政府側が営業時間の変更などの命令に違反した事業者に行政罰である過料を科すことを明記した改正案の概要を提示。これに対して野党側は事業者への支援を明確にするよう求める意見を出すなど、焦点は罰則から補償・支援の在り方に変わりつつある。

与野党に隔たり 「補償が一番の争点」

「罰則が伴うわけだし補償も十分とは言えないなら、支援はより強い表現にしてほしい」

13日に行われた政府と与野党の協議で立憲民主党などの野党はこう訴えた。政府が示した改正案の概要では「事業者に対する支援を講ずるよう努める」との表現だったため、野党側は「努力規定」ではなく、より強い表現である「義務規定」にするよう求めた。

立憲民主党の枝野代表が「補償の水準が一番の争点だ」と指摘するように、補償・支援の在り方を巡っては与野党の隔たりが大きい。政府は緊急事態宣言下の地域では時短営業に応じた飲食店には一日最大6万円の協力金を支給することに加えて、外出自粛の影響で1月または2月の売上げが前年と比べて50%以上減少した事業者に対して、法人で最大40万円、個人事業者で最大20万円の一時金を支給することとしている。

野党側は一定の理解を示したものの、あくまで「事業規模に応じて支援すべき」との考えだ。これに対し、政府与党側は「個々の事業者の損失を確認するには時間がかかり、事業者への給付が却って遅れる」(与党幹部)との考えから、事業規模に応じた「補償」には否定的だ。

ただ与党内からも「小さい店は黒字になるし、大きい店は赤字になる。氷山があるのが分かっているのに誰も言わずに突進していく。タイタニック号だ」と一律6万円の協力金については批判的な声も出ていて、調整が難航する可能性がある。

一方、時短要請に応じない飲食店などを対象とした罰則については、行政罰として違反金を科す過料にとどめる方向で、共産党以外の各党が概ね一致しつつある。

過料の額については最大50万円とする案が取り沙汰されているが、「違反金が数万円で帳消しになるなら従わなくなる」(政府関係者)、「他の過料と比べると妥当な額だ。抑止効果が狙いだ」(自民党法務族)などといった声が出ていて、額をどう定めていくかが今後の焦点の一つとなる。

「懲役1年以下」の罰則検討の法案も

13日に行われた政府と与野党の協議では特措法とあわせて感染症法・検疫法の改正案の概要も提示された。概要では、入院を拒否した感染者に罰則を科すことを記していて、協議の中で政府側から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を想定しているとの説明があったという。一方、野党側からは「罰則ありきではいけない」などと反対意見が相次いだ。

また、これとは別に政府は水際対策の強化策を発表、全ての入国者に対して入国時に14日間の自宅等での待機などの誓約書を提出、違反した場合は氏名の公表などもあり得るとした。誓約書の提出に応じない場合は指定する場所での14日待機の待機を求める。

「自粛警察がまた大変なことになる」

特措法改正の時期については当初、「早くて桜が咲く頃になる」(野党幹部)と一定の時間がかかると見られていた。しかし新型コロナの急速な感染拡大や、対策強化を求める世論の声に押されて早期改正の機運が高まり、与野党間で早期の成立を目指すことで合意。自民党の森山国対委員長は2月上旬の成立を目指す考えを示している。

しかし、罰則を伴う議論のため与党内からも「しっかり議論して決めないといけない」と、拙速に結論を得るべきではないという声も出ているほか、罰則を設ける影響に関し「法律的なお墨付きを与えれば自粛警察がまた大変なことになる」(自民党中堅)と懸念する声もある。

こうした法整備については、「コロナが一旦落ち着いていた秋に進めなければいけなかった」(自民党議員)との声が与党内からも出ているように、後手感が否めない中、拙速にならずにどのように合意形成をはかるか、政府与党は難しい舵取りが求められている。

(フジテレビ政治部)