上院で民主勝利 上下両院で多数派に

アメリカの連邦議会上院(定数100)の多数派を決める南部ジョージア州の2議席をめぐる決選投票で、1月6日、2議席とも民主党候補の当選が確実となった。複数の米主要メディアが伝えた。

民主党新人のウォーノック牧師が共和党現職のレフラー議員に、また、民主党新人のオソフ候補が共和党現職のパーデュー議員にそれぞれ勝利した形だ。ウォーノック氏はジョージア州初の黒人上院議員となる。当初、共和党優勢と見る向きもあったが、民主党側が大接戦を制し、勝利を収めたことになる。

ジョージア州初の黒人上院議員となるウォーノック氏
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これにより、上院の構成は民主党、共和党ともに50議席ずつとなる。過半数が必要な採決の場合には、上院議長を務める副大統領が“101人目”の最後の一票を投じる。次期副大統領はカマラ・ハリス氏が就任するため、これまで多数派だった共和党が過半数を失い、上下両院とも政権与党の民主党が多数派となる「ブルーウェーブ」が実現した形だ。

次期副大統領に就任するカマラ・ハリス氏

ねじれ回避でバイデン氏に追い風 期待高まる

上院は、最高裁判事などの人事を審議し決定する権限を持つ。上下両院の多数派が異なる「ねじれ議会」への懸念の解消は、新型コロナウイルス対策や環境問題、同盟国との協力関係など、政策転換を急ぐジョー・バイデン次期大統領にとっては、非常に大きな追い風だ。

新政権で経済対策やインフラ投資などが実現しやすくなるとの見方から、6日のニューヨーク株式市場、ダウ平均株価は過去最高値を更新して取引を終えた。

トランプ支持者が暴徒化し議会侵入 死傷者も

しかし、大統領就任式を2週間後に控えた首都ワシントンは、この“お祝いムード”とは真逆の大混乱に陥った。この日議会では、バイデン氏の勝利を確定させる選挙人投票の集計が行われていたが、手続きに反対して集結したトランプ支持者の一部が暴徒化。警備を破って、議会内に侵入したため、討議が中断した。

議会では集計が行われていたが、一時中断する事態に

侵入者は、議長席に陣取り拳を掲げたり、民主党・ペロシ下院議長のオフィスにも侵入するなどした。更に、「我々は決して引き下がらない」とのメッセージを書き残す様子がテレビに映し出された。

議会周辺に集結したトランプ支持者

その後も数時間わたって、議会周辺をトランプ支持者が埋め尽くす異様な事態が続き、警察などが催涙弾で応戦した。この混乱で、女性1人が銃で撃たれて病院に搬送されたものの死亡が確認され、地元メディアによると複数の逮捕者も出ている。

大多数の支持者がマスクを着用していない

これに先立ちトランプ大統領は大規模集会を開催していて、暴徒の中には集会の参加者が含まれると見られる。

大規模集会には大勢の支持者が集まっていた

そもそも支持者に対し、抗議集会開催のメッセージを出したのはトランプ大統領だった。しかし、議会の混乱を受け、ツイッターに動画やメッセージを投稿し、「暴力はダメだ!我々は法と秩序の政党だ」などと呼びかけた。

ホワイトハウス周辺で集会を開催 1時間以上演説したトランプ大統領
 

共和党内からは「大統領が引き起こした暴動」

一方、バイデン氏も記者会見を開き、「これは抗議ではない。反乱であり混乱だ。今すぐ止めなければならない」と訴えた。また、トランプ大統領に対し、支持者に議会から退去することを呼びかけるよう求めた。

議会からの退去を求めるバイデン次期大統領

共和党内からも批判が続出した。ブッシュ元大統領は緊急声明で「病的で壮絶な光景だ。これは民主主義の選挙のあり方ではない。『バナナ共和国(政情不安定な小国)』で起きることだ」と痛烈に批判。重鎮のミット・ロムニー上院議員もツイッターで、「この日議会で起きたことは、アメリカ合衆国大統領によって引き起こされた暴動だ」と明言した。

一連の事態は、トランプ大統領への熱狂的な支持が一部で健在であることが、改めて表面化したともいえる。2024年の大統領選への再出馬を視野に、影響力を維持するため、退任後も注目を集める派手な言動を続けるとみられるトランプ大統領だが、政権末期に残した異例の混乱を有権者はどうみるのか。少なくとも融和と結束をアピールするバイデン政権が誕生しても、深刻化したアメリカの分断がすぐ収まる気配はない。

【執筆:FNNワシントン支局 瀬島隆太郎】