1月特集は「コロナで変わる家選び」。

新型コロナウイルスの感染対策は、外出先から帰宅したときも重要だ。菌や汚れを持ち込まないように注意しつつ、手洗いやうがいをして、着替えなどをする…同居する家族のためにもこうした対策をしている人も多いと思うが、部屋を行ったり来たりせずにできるコロナ禍仕様の住宅があることをご存じだろうか。

コロナ禍に「新生活様式の家」が登場

それが、木造注文住宅のメーカー・アキュラホーム(東京)が2020年7月に販売を開始した「新生活様式の家」という木造住宅。同社の商品「大空間の家」を基に、設計や設備面などを改良してバージョンアップしたものだ。

新生活様式の家
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「新生活様式の家」には、(1)ウイルスブロック、(2)リモートワーク、(3)3つのセントラルという、3つの特徴がある。ウイルスブロックの面では外部からのウイルスを持ち込ませない工夫がされ、リモートワークの面では部屋を必要なときはリモートスペースに、そうでないときは通常の生活空間として利用できるという。

これまでの住宅と違う3つの特徴

そして3つのセントラルは、掃除機、浄水器、空気清浄機付き全館空調の各設備を1カ所で集中管理できるようにしたもの。このうち、掃除機や全館空調の設備には、住宅内でのウイルスの拡散を防ぐ効果もあるとのことだ。

セントラル設備の説明

外出先から帰宅したときの負担も減りそうだが、実際はどのような設備が配置され、どう役立つのだろう。価格も気になるところだが、既に購入希望者はいるのだろうか。

アキュラホームの担当者に話を聞いてみた。

緊急事態宣言で住まいのあり方を見直した

ーー新生活様式の家を発売した経緯を教えて

コロナ禍の社会状況に合わせた商品開発が必要と感じたためです。2020年4月に緊急事態宣言が発令されたとき、弊社でも社員全員が在宅勤務となりましたが、社員からは「帰宅してすぐに手洗いしたい」など、住宅環境への要望や不満も聞かれました。そこで在宅勤務のニーズに応え、ウイルス対策を施した住宅を作れないかと開発しました


ーー従来の木造住宅とはどう違う?

新しい生活様式のガイドラインなどを参考にしながら、ウイルスを部屋に持ち込まない・持ち込ませないことに力を入れています。仕事などで外出を避けられない人もいますので、玄関で靴を脱いで部屋に上がるまでの対策を重視しました。

新生活様式の家のウイルス対策設備の一覧

ーーウイルスを部屋に持ち込まない対策とは?

大きくは玄関に、(1)「ウイルスキラー加工」という抗菌塗装、(2)手洗い器、(3)「ウイルスキラーエアシステム」というオゾン発生器、(4)ウイルスバキュームクリーナー、これら4つの設備を配置しています。

順番に説明すると、抗菌塗装はウイルスを不活化させるもので、インフルエンザウイルスやノロウイルスが付着しても、10分後にはウイルスの約99%が減少することを確認しています。これをドアノブや照明のスイッチなどに施しています。

手洗い器は帰宅後すぐに手洗い・うがいできるよう、玄関すぐの所に配置していて、非接触のものを採用しています。石鹸やアルコール消毒液のディスペンサーも用意しております。

手洗いしやすい環境を整えている

ーーウイルスキラーエアシステムとウイルスバキュームクリーナーとは?

ウイルスキラーエアシステムは、空気中のウイルスや臭いを不活化できるもので、病院などで採用されている製品を住宅業界としては初めて商品化しました。配置場所は玄関付近の天井で、近くにはカバンやコートが置けるように設計しているので、万が一ウイルスが付着しても不活化することができます。

空気中のウイルスを不活化するウイルスキラーエアシステム

ウイルスバキュームクリーナーは玄関の壁に配置していて、専用の吸引機で花粉などを吸い取れるようにしています。流れとしてはクリーナーで外の汚れを吸引した後に、ウイルスキラーエアシステムで、ウイルスを不活化してもらうのを想定しています。

吸引した空気は屋外のダストボックスに排出されるので、処理は数カ月に一度すればいい仕組みになっています。総合的には、二重三重四重のブロックでウイルスを持ち込ませないようにしています。

ウイルスバキュームクリーナーは玄関すぐの場所に配置

ーー住宅の構造で工夫しているところは?

感染予防対策としては、帰宅後はすぐの着替えと可能であれば入浴が望ましいので、玄関から浴室までを非接触で移動できる動線を重視しています。具体的には、リビングなどを経由しなくても浴室にいける動線や、自動ドアを採用しています。洗濯物を運ぶときなど、両手がふさがる場面も多いので、日常生活においても役立つと思います。

可動式の整理棚で隔離部屋も作れる

ーーリモートワークの環境はどう整備している?

一部の部屋には、壁と収納を兼ねた可動式の整理棚を採用していて、これを動かすことで簡単にリモートスペースを作ることができます。整理棚の厚さは60センチ程度あり、本や衣類などを収納すると防音効果も高めることができます。働き方は今後も変わる可能性があるので、必要に応じて、気軽にリモートワークできる空間を重視しました。

整理棚を動かすことで個室を作ることもできるという

ーー感染者の隔離部屋にすることもできる?

整理棚を間仕切りにして個室も作れるので、隔離部屋とすることもできます。トイレなどの設備が配置されているわけではありませんが、「新生活様式の家」は注文住宅なので、トイレの配置場所などもご相談できると思います。


ーー特徴の一つである「セントラル設備」とは?

セントラル浄水器、セントラル空調、セントラルクリーナーの3つがあります。それぞれ説明すると、セントラル浄水器は水道管の大元の部分に専用の浄水器を配置することで、住宅のあらゆる水を浄水とすることができます。

セントラル空調は、電子式集じんフィルター付きの全館空調システムで、ウイルスに近い粒子のサイズまで捕集し、室内の空気を清浄化できます。風量が少なくても空気を清浄化できるので、強い風量でウイルスが舞うことなども防ぐことができます。

セントラルクリーナーは、埋め込み型の掃除機で、玄関に配置されているバキュームクリーナーのような機器がリビングなどにも配置されています。排気は室外に排出されるので部屋の空気を汚すこともありません。

気になる価格は?数量限定の新商品も

ーー住宅価格はどれくらいになる?

注文住宅ですのでご希望の設備やご要望によりますが、約30~40坪の建物本体で2000万程度の価格をイメージしていただければと思います。実際は、お客さまの希望する設備を、それぞれの生活スタイルに合わせて選んでもらうことになると思います。

当社では2021年1月、ウイルス対策を重視した「地球と家計にやさしい家」という注文住宅も
数量限定で発売しています。こちらは建物本体で1585万円(税抜)となっています。

「地球と家計にやさしい家」の間取りイメージ

ーー「新生活様式の家」の反響は?購入者はいる?

住宅の販売状況は集計できていませんが、販売直後からお問合せをいただいており、展示場にご来場していただくこともあります。新型コロナウイルスの影響が拡大していく中、実際にウイルスの拡散を防ぐ設備のご希望をされる方もいらっしゃいますので、興味は持っていただいていると思います。


新型コロナウイルスの感染拡大は現在も収まらず、「新生活様式の家」を発売したきっかけとなった緊急事態宣言が、新たに1月8日から1カ月間の実施期間で発令される方針も固まっている。

新型コロナウイルスに限らずとも、外の汚れを住宅に持ち込みたくない人は多いはず。新生活様式の家にも採用された、玄関での非接触の手洗い設備や浴室まで移動しやすい動線などは、これからの住宅のスタンダードになるのかもしれない。

(画像提供:アキュラホーム)

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