「大麻は薬物ではなく“植物”」

福岡県内の大麻による若者の逮捕者数は、6年前と比べ、5倍以上大きく増加し、過去最多となっている。大麻の売人とみられる男を直撃し、実態を取材した。

薬物の売人とみられる男:
初めてって言いいよったけん、瓶に入れて持って来てます

取材に応じた、薬物の売人とみられる男。手にしていたのは、大麻とみられる乾燥した植物片だった。

大麻とみられる乾燥した植物片
この記事の画像(14枚)

記者:
違法ですよね?

薬物の売人とみられる男:
普段から職質されんでも、パケに入れて股間に入れておこうかなと。要領よくしとけば、捕まらんすよ。大麻は薬物じゃないっす。植物っす

「大麻は植物」と語る男

若い世代に広がる大麻 福岡の若者はー

人気俳優やミュージシャン、さらには大学生や高校生の逮捕も相次ぎ、若い世代への広がりが社会問題になっている大麻。

若年層への広がりが社会問題に

福岡の若者は、どのようにとらえているのだろうか。

大学生:
大麻は、何か体に害はないって聞いてますね、たばこよりも

記者:
大麻を吸ったことはある?

大学生:
そうっすね、あるっすね

記者:
何歳の時ですか?

大学生:
一番最初は17~18とかっすかね。吸った効果としては、あまり悪い物ではないなと

記者:
周りで吸っている人はいますか?

20代男性:
何人か、はい。ラッパーのPVだったりとかで、普通に、何か町中とかで吸ってたりしてるんで、友人だったり、先輩とかが目の前で吸ってたら、ホイって渡されたら、もしかしたら吸っちゃうかもっす

警戒心がまるで薄い若者たち。それゆえに、大麻は覚醒剤など薬物乱用の入り口となる「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれ、若者たちのすぐそばに忍び寄っている。

ネット上には、驚くべき動画も投稿されていた。

大麻YouTuber:
きょう紹介するのはね、激レア高級大麻。こちらでーす

まるで生活用品を紹介するかのように男が手にしているのは、乾燥大麻のようなもの。このほかにも、海外に在住する投稿者らの大麻のようなものを紹介する動画が多数投稿されていた。
これらの動画は、誰もが見られる投稿サイトで公開されている。

“大麻”動画が誰もが見られる投稿サイトで公開

“売人”の男に接触 「大麻は安全」と強調するが…

それほど大麻は身近なものになっているのか、記者がSNSで検索してみると―

記者:
手渡し販売を意味する“手押し”と“福岡”をツイッターで検索すると、大麻とみられる写真と共に大量の隠語が書き込まれています

何件も投稿された画像に、大麻を意味する「野菜」や「草」といった隠語の数々。投稿には、SNSから別のアプリに誘導する文言が書き込まれている。

検索すると大麻を意味する大量の隠語が…

指定されたアプリを使い、客を装って相手にメッセージを送ってみると…

記者:
先ほどツイッターでメッセージを送って、わずか2分ほどでアプリの方にメッセージが返ってきました

薬物の売人とみられる男からの返信

その後、数回のやりとりを重ね売人だと名乗る男と福岡市内で会う約束を取り付けた。
指定された場所は、人通りも多い鉄道の高架下。記者2人で待っていると、売人とみられる男からの電話が。

売人とみられる男:
もしもし、1人っすか?

記者:
いや、2人ですね

売人とみられる男:
あー、1人になってほしいんですよね。さっき(記者を)見た時、警察ぽかったなあって

警戒して1人になるよう要求

記者:
警察じゃないですよ

警察ではないかと警戒し、しきりに1人になるよう要求してくる男。記者が1人で歩き出すと、自転車で近づいてきた男が声をかけてきた。

売人とみられる男:
あ、こっちいいすか

売人と見られる男と一緒に走る記者。

売人とみられる男:
お金、先もらっていいすか

記者:
ちょっと見せてもらうことって可能ですか?

売人とみられる男:
大丈夫っすけど、これで警察だったら、だるいけん。先、お金、絶対モノは確かやけん

そう言って男が取り出したのは、透明の瓶に入った乾燥大麻とみられる植物片らしきもの。この量で6,500円だという。
話を始めて10分ほど。購入をためらってみせると、男が畳み掛けてきた。

売人とみられる男:
まあ、俺はここで引かん(買わない)よりは、引いて(買って)いった方がいいと思う。1回吸ってみた方がいいと思う。それで体に合う、合わないがあるけん。簡単に言えば、大麻は基本的にたばこよりも体にいい

慣れた様子で「大麻は安全だ」と強調し、しきりに購入を勧めてくる。

記者:
お兄さん、今も吸っていますか?

売人とみられる男:
吸ってますよ、普通に

記者:
今、ハイな状態に?

売人とみられる男:
そうっす、10分ぐらい前に吸ってた。ハイになる、キマるし、目も真っ赤になって。いろいろ考えられる。自分自身のどういうところがいかんとか、彼女と仲悪くても仲良くなれるし、ピースになるっす

客の年齢層は「70%が10代、20代」

20分ほど会話したところで、記者が身分を明かし取材交渉すると、顔を写さず、声を加工するという条件で男が取材に応じた。
男の年齢は19歳。普段は、建設作業員として働いているという。

“売人”の男は普段、建設作業員として働く

記者:
ひと月最高の売り上げは、どれくらい?

売人とみられる男:
そのときは、秋入りかけで収穫時期なんですけど、100万とかざらになるんじゃないですか。ぶっちゃけて言うと、僕の周りの知っている人も、100万とか200万は当たり前やし

記者:
客の年齢層は?

売人とみられる男:
70%が10代、20代、残りが30代、40代、50代。女の子も多いし、生理痛の人が吸ったりとかもあるし。俺は、吸って人生変わったなと思ったし、別に人生に大麻があってもいいと思ってる

インタビューにひとしきり答えると、次の客と接触するのか、男は自転車に乗って走り去った。

「タバコより安全」、「依存性はない」など誤った情報が広がっている大麻だが、脳の成長を妨げて、幻覚や記憶障害を引き起こし、依存性もある違法な薬物だ。

誤った情報が広がる大麻

2020年11月末現在、大麻関連で逮捕された未成年者は、福岡県内で55人。
その数は、水面下で日に日に大きくなる氷山のほんの一角かも知れない。

※今回、記者に対しては
・大麻に触れないこと
・取材中に記者としての身分を明かすこと
・相手に違法性を指摘すること
を取材条件とした。

(テレビ西日本)