自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。




「1歳娘に『だっこして』とねだられたのを拒否したら、道路で寝っ転がって動かなくなってしまった…もうこうなったらテコでも動いてくれない!」
だっこのお願いを断ったら、始まってしまった「イヤイヤ」行動。道路にあお向けに寝っ転がって全く動いてくれない…あわててだっこしても暴れちゃう!
パパママは冷や汗ものだろうが、一度ご機嫌ナナメになってしまったら言うことを聞いてくれなくなっちゃう子どもたち。こんな時どうしたらいいの?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
――寝っ転がって動かない…これってどんな気持ちからしちゃうの?
「疲れた」「もう歩きたくない」「眠い」「甘えたい」などなど、抱っこしてほしい理由は様々だと思いますが、その思いを体現化すると、こうなるのでしょうね。
あとは、経験上、親が自分を放っておかないということも知っているのでしょう。道路上で動かなくなれば、必ず救いの手が伸びることが分かっているのですね。親もお家の中でなら、子どもが意固地になったときに、「ま、今はそのままにしておく方が賢明」と判断できても、外では危険なのでそれができません。
「だっこして!」→「ダメ」→寝転がる→救いの手→やっぱりだっこしてもらえた♪ という経験値が、「よし次もやるぞ!」というモチベーションになり、その繰り返しでさらに学習が濃くなっていきます。
――これは何歳くらいまで続く行動?
「その場から動かなくなってしまう」というのは、その子なりの抵抗です。ママが言っていることには「反対だ!」という意思表示なので、「親に反抗する」「親の言うことを聞かない」、これらと同じ仲間になります。
そう考えると、年齢としてはずっと続くと言っても過言ではありません。子どもが親の言うことを聞かないのは、子育てをしている間、ずっと続く悩みでもあるからです。
ただ、「その場から動かなくなる」という形で親に意思表示をするのは、小さい子ほど多く、3歳くらいまでがピークでしょう。言葉が発達することで「動かなくなる」という手段以外にも親に意思表示ができるようになるからです。レパートリーが増えることで、自然と使用頻度が落ちていくのです。
子どもたちの「動かない」抵抗は、不満な気持ちになったとき「こうやったらパパやママが手を貸してくれる!」ということを学習しているから。
思わず「賢い…」とうなってしまいそうだが、親からすると困ったこの行動のピークは3歳くらいまで。言葉を使ったコミュニケーションが上手になるにつれて「道路の真ん中で固まってしまった…」といった悩みは少なくなっていくだろう。

――ではこうなってしまったら…パパママはどうすべき?
みなさん経験されているように、こういう状態になってしまうと、どうにも動かなくなってしまうものです。何かしら救いの手が伸びるのは分かっているので、子どもも強気です。一方、親側は外ということで気が気ではありません。とはいえ、延々と抱っこはきついものです。
100%安全が確保できる屋外(例:公園の敷地内など)であれば、「ママ、そこで待ってるからね」としばらくそのままにし、子どもが満足するか飽きるのを待つというのも手だと思いますが、どこでこれが起こるかが分からないのが悩みどころでもあります。
基本的に、外だと放っておけない分、親が根負けする展開になるので、そういうときのために、面倒でもバギーや抱っこ紐などを持参しておくのが賢明と言えます。とくに時間が急いているときなど、子どもの頑なさに付き合えないことが予想される場合はなおさらです。小さくたためるスリングなどを念のためバッグに入れておくのもいいかもしれませんね。手だけで抱っこするよりは、ずっと楽です。
子ども側も一方的に抱っこはダメと拒否されるとガンコになりがちですが、「抱っこは今できないけど、スリングならいいよ」とか、「歩くか、スリング、どっちがいい?」と選択肢を作ることで満足いく子もいます。自分で選んだり決めたりする過程が「意思を通した」ということにつながるので、気持ちを満たしやすいのです。
一筋縄にはいかないお悩みですが、言葉が発達することで段々と消えていきますので、グッズに頼りながら乗り切ってほしいと思います。
あなたの投稿が漫画になる!エピソード募集中
「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。
・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?
あなたの投稿が漫画になるかもしれません。

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。


今回のまちがいさがしの答えはこちら!
(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)