カメラまで佐賀県警は対応の不備を認めていた

2019年9月23日に録音された、“太宰府事件”の被害者・高畑瑠美さん(当時36)の音声。

高畑瑠美さん:(録音音声)
美幸さんに対して弁護士を入れたと? ねぇ、答えて。どうゆうこと? 話してくれん?(山本被告には)いろいろしてもらっとうやん。何してくれとうと。やめて、そういうことするの

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当時、瑠美さんは、事件の主犯格とされる山本美幸被告(41)にマインドコントロールされ、親族を恐喝する手助けをしていたとみられている。
実は、瑠美さんと家族の会話はこれが最後。
この1カ月後、瑠美さんは木刀で殴られるなどの凄惨(せいさん)な暴行を受けて死亡した。
この事件について、佐賀県警は2020年7月 遺族に対して…

佐賀県警側:(録音された音声)
結果として気づいていないものだから、おわびするしかない

遺族:(録音された音声)
佐賀県警として不適切だったということ?

佐賀県警側:(録音された音声)
その点については申し訳なく思っている、警察として

遺族に対応の不備をしっかり認めていたのだ。

国会で対応を質された国家公安委員長と警察庁幹部は

しかし…

共産党 田村智子参院議員:
刻々と深刻になっていく相談内容、切実な訴えにまともに耳を傾けなかった。その結果、事件性や危険性に気づけなかったのではないのか、捜査怠慢ではないのか

12月1日の国会で、国家公安委員長と警察庁の幹部が見解を述べた。

警察庁 田中勝也刑事局長:
佐賀県警察からは、一連の申し出の趣旨は、被害者をめぐる金銭貸借のトラブルをどうにかしてほしいというものであったという報告を受けている

小此木八郎国家公安委員長:
佐賀県警察において、慎重に事実を確認した結果、申し出は金銭貸借のトラブル。一連の申し出内容からは、被害者から直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められなかった

2人は、「佐賀県警」を連呼。その数、合わせて7回。
「佐賀県警」側の主張を語ることしかできなかった。

佐賀県警本部長がカメラの前で初めて発言

山本美幸被告:(脅迫の録音音声)
あなたの奥さんが、ホストクラブで“かけ”をして、そのお金を払わないといけんけん、55万円立て替えといてください。毎月3万円払いますのでと言ったのは誰ですか?

田中政樹被告:(脅迫の録音音声)
もしもし。おぅ、弁護士いれたんか? ナメた真似してくれたな、弁護士いれた◎△$♪×\●&%#!? 上等や、弁護士入れてどないなるか、してみたらいいやない

瑠美さんの遺族は、佐賀県警鳥栖警察署に、瑠美さんが山本美幸被告から洗脳されているなど合わせて14回相談。
しかし、鳥栖警察署は捜査に乗り出すことはなく、結果として瑠美さんは亡くなった。

2020年10月、佐賀県警は、“鳥栖警察署の対応に不備なし”とする内部調査の結果を発表した。ところが、調査の過程で瑠美さんの遺族に対する聞き取りは一切行っておらず、遺族からは、「でたらめの調査」だと批判が起きている。

そんな中、12月2日 国会に続き佐賀県議会でも“太宰府事件”が取り上げられ、杉内由美子本部長が、テレビカメラの前で事件について初めて発言した。

佐賀県警 杉内由美子本部長:
被害者の女性に、直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められませんでした。結果として、関係者がお亡くなりになる重大な結果が生じることもありえることも念頭に、より丁寧な申し出対応を心がけていきたいというものでございます

杉内本部長は、鳥栖警察署の対応に不備はなかったことを繰り返し主張した。

「対応に不備という脈絡ではない」再調査も否定

しかし、残されている佐賀県警と瑠美さんの遺族とのやりとりを録音した音声では、佐賀県警のコメントは、遺族に対応の不備を認め、謝罪しているようにも聞き取れる。

遺族:(録音された音声)
短期間に相談件数異常じゃないですか?

佐賀県警側:(録音された音声)
多いと思います

遺族:(録音された音声)
鳥栖だけでこんなに短期間で相談ある?

佐賀県警側:(録音された音声)
ないです。確かに相談回数が頻繁に多いとか、話の内容が段々と、最初は家庭内のトラブルみたいな話だったのが、事件性が高くなっているじゃないかというような判断が報告をされる中で、できてなかった。結果として気づいていないものだから、おわびするしかない。
関係幹部それぞれが報告受けた時点で、全体見渡して適切な指示ができていなかったのかなと。そういう点で非常に申し訳ないところだったなと

「申し訳ない」という言葉を繰り返した佐賀県警。
ところが…

この“謝罪”から3カ月後、佐賀県警はひょう変。
「鳥栖警察署の対応に不備なし」とする内部調査の結果を発表した。
さらに佐賀県警の刑事部長は、2020年7月のやり取りは「警察の対応に不備があって申し訳ないという脈絡ではない」と主張したのだ。

そして再調査の実施についても、県警の杉内本部長は、県議会ではっきり否定した。

共産党 武藤明美県議:
あらためて「ご家族の方はどうだったのか?」と聞いていくべきだと思う

佐賀県警 杉内由美子本部長:
7月に説明する機会を通じ、その時に聞き取りという形でご遺族に申し上げていないが、その考えや意見を把握しており、人数は申し上げられないが、関係する部署の職員を集めて調査等を実施している。県警と致しましては、あらためて調査を行うことは予定していない

(テレビ西日本)

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