2019年10月20日、福岡・太宰府市にあるインターネットカフェの駐車場で1人の女性の遺体が見つかった、太宰府市主婦暴行死事件。
高畑瑠美さんの母親:
やはり警察が、もっと早く手を打ってくれたら、ここまではならなかった。それはずっとあります
高畑瑠美さんの夫・裕さん:
あのとき動いてくれていたら、こんなこと何ひとつ起こらなかったんだろうな
事件の4カ月前から異変を確信
家族が高畑瑠美さんの異変を確信したのは、事件が起きる4カ月前だった。
高畑瑠美さんの母親:
瑠美が交通事故を起こして、瑠美に示談金というか、そんな感じで渡しているんですけど、相手からもらった示談書の住所とか名前を調べたら全然偽物だった
瑠美さんが事故を偽装し、家族から400万円近い金をだまし取っていたことがわかったのだ。
これに加え、勤務先からの電話が危機感をさらにあおった。
高畑瑠美さんの母親:
瑠美が2カ月くらい無断欠勤とか、目がうつろだったりしておかしいから、何かやっているんじゃないかとか、迷惑電話が山本からかかってくると
真面目で家族思いだった瑠美さんに起きた変化。
家族は鳥栖警察署を訪ね、瑠美さんに多額の金を無心されていることや背後に山本被告がいることを相談した。
瑠美さんの母:(取材に基づく再現)
瑠美を山本から引き離して欲しいんです。警察は動いてくれないんですか
鳥栖警察署・A巡査:(取材に基づく再現)
警察としては動けないです
瑠美さんの母:(取材に基づく再現):
どうして?
鳥栖警察署・A巡査:(取材に基づく再現):
家族間の問題でしょ? 山本って人と一緒にいるのは、瑠美さんの意思じゃないんですか?
高畑瑠美さんの母親:
それは事件にならないとか、証拠とかないし、家族間のことだからできないとか、そういう言い方しかしてもらえなかった
それからほどなくして、瑠美さんは夫と暮らすアパートから出て行き、行方がわからなくなった。
妹が会いに行くが反応がない瑠美さん
事件が起こる2カ月前。
瑠美さんを探していた瑠美さんの妹は、ついに山本被告の家を突き止める。するとそこに1台の車が現れた。
瑠美さんの妹:(取材に基づく再現)
瑠美姉!瑠美姉!
車を運転していたのは瑠美さんだった。
瑠美さんの妹:(取材に基づく再現)
家のこととかお金のこととかしっかり説明して
山本美幸被告:(取材に基づく再現)
なんで家に来たん?
高畑瑠美さん:(取材に基づく再現)
山本さんと話して
妹によると、瑠美さんはすでにうつろな目をしたまま殆ど反応がなかった。自分の意思で話すこともできなくなっていた様子だった。
家族は自分たちでできることの限界を感じ、再び相談に訪れたが、警察が動くことはなかった。
一方、その頃 山本被告たちからの金の要求はエスカレートしていた。
夫・裕さんの自宅や会社には山本被告の車がうろつき、暴力団を名乗る田中政樹被告からも金を支払うよう電話で何度も脅された。
恐怖におびえる中、裕さんはこの事態を打開しようと「ある行動」を取った。
高畑瑠美さんの夫・裕さん:
山本たちから電話がかかってきたときに、その会話を録音しました
山本美幸被告:
あなたに貸したお金はきちんと返済してくださいと約束しておりますので返済をして下さい
田中政樹被告:
やれるもんならやってみ@×★□@×★□。これが脅しとか言うんやったらゾッとするわ、マジ
証拠を持ってしても動かない警察
ようやく手にした脅迫の動かぬ証拠。
これで、警察も「山本被告たちを捕まえてくれるはず」と被害届を提出しに行った。
しかし
高畑瑠美さんの夫・裕さん:
録音時間が3時間ということで長い。恐喝にあたる文言が、どこの何分に、どういう風に言葉を発したか、わかりやすいようにして警察署に持ってきてくれと言われました
音声データを全て聞くことなく、被害届の提出を断ったばかりか、職務放棄とも取れるこんなやりとりもあったと遺族は主張している。
鳥栖警察署・A巡査:(取材に基づく再現)
このデータを文字に起こして、どれが恐喝で、どれが脅迫で、どれが強要に当たるのか、印を付けてきて下さい
瑠美さんの家族:(取材に基づく再現)
そんなの素人に分かるわけがないじゃないですか
鳥栖警察署・A巡査:(取材に基づく再現)
いまはネットで調べられますから
高畑瑠美さんの夫・裕さん:
警察署を出て行くときは放心状態に近かった。怖くて助けて欲しくて警察に行っているのに、警察が動いてくれなかったらどうしたらいいんだろうって
4カ月の間に11回。遺族が鳥栖警察署を訪ね、助けを求めた回数だ。
しかし、遺族のSOSもむなしく、このわずか1カ月後に瑠美さんは無残な姿で見つかってしまった。
瑠美さんの母親:
もう今まで見てきた瑠美じゃない姿をしていました。1番に頼るのは警察。警察を信頼しているから頼みに行くんですよね。人の命を預かる職業だから、もっと真剣に私たちの言うことを聞いて欲しかった
瑠美さんの死後、福岡県警がこの音声などをもとに山本被告らを恐喝未遂事件として立件した。それだけに遺族は、佐賀県警の対応に今でも疑問を持ち続けている。
(テレビ西日本)
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