14回の相談受けながら一切捜査せず

2019年10月、佐賀・基山町の主婦・高畑瑠美さん(当時36)が木刀で殴られるなど激しい暴行を受け死亡し、その後、山本美幸被告(41)ら男女3人が傷害致死などの罪で起訴された。

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(高畑瑠美さんの夫・裕さんが録音した音声)
山本美幸被告:
あなたに貸したお金はきちんと返済してくださいと約束しておりますので、返済をしてください

高畑瑠美さんの夫・裕さん:
すみません。返せません

山本美幸被告:
何が!?

田中政樹被告:
弁護士入れたところで@×▼★□@×▼★□。やれるもんやったらやってみ@※▼□@※▼□

瑠美さんの家族は、事件が起きる4カ月前から「瑠美さんから550万円要求されている」ことや、「山本被告から300万円払うか岸颯被告と養子縁組しろと脅されている」、「暴力団幹部を名乗る男から脅されている」など、あわせて14回、佐賀県警鳥栖警察署に相談していた。

ところが…

(家族が録音した音声)
家族:
完全に脅しでしょ、これ。こんな内容が延々3時間続くんですよ

鳥栖警察署・A巡査:
ああ、なるほどですね。う~ん

家族:
被害届をなんで受理せんと?

鳥栖警察署・A巡査:
そう簡単になんでも被害届を取れるものではない

家族:
警察は何かあれば責任とるんですか?

鳥栖警察署・A巡査:
暴力団関係者だと実際にあって、こういう者だと名刺を渡されたかというとそうじゃない。相手が「自分が暴力団関係者」だというのは自分もできる話。それが本当かどうかわからない状況

家族:
30分の間に電話を10何回も寝れないくらいガンガンかけてくるんですよ、こんなの何もならないのですか?

鳥栖警察署・A巡査:
そこは着信拒否にするか。“どうしようもない”という状況でもない

瑠美さんの家族によると、担当したA巡査は、3時間ある脅迫の録音をわずか5分しか聞かず、被害届の受理を拒んだうえ、さらに録音を「文字起こし」をしてくるよう指示したというのだ。

家族と面談 対応の不備認める

2020年7月、佐賀県警は瑠美さんの家族と面談し、対応について不備を認めた。

瑠美さんの家族:
最初の相談(6月)から9月25日まで相談件数異常じゃないですか?

佐賀県警:
多いと思います

瑠美さんの家族:
鳥栖だけでこんなに短期間で相談ある?

佐賀県警:
ないです。たしかに相談回数が頻繁に多いとか、話の内容が段々と、最初は家庭内のトラブルみたいな話だったのが、事件性が高くなっているじゃないかというような判断が報告をされるなかで、できてなかった

一連の対応は…佐賀県警の回答にあ然

2020年8月、テレビ西日本は、鳥栖警察署の一連の対応を問う質問状を佐賀県警本部に提出し、その回答が10月29日にようやく届いた。
しかし、A4用紙1枚に書かれたその内容は、あ然とするものだった。

佐賀県警回答文:
当時、鳥栖警察署に対する一連の申出内容は、高畑瑠美さんをめぐる金銭貸借のトラブルであり、高畑瑠美さんに直ちに危害が及ぶ可能性は認められませんでした。結果として高畑瑠美さんがお亡くなりになったことは重く受け止めております。佐賀県警としては本件を今後の教訓としてまいります

佐賀県警は、対応に不備がなかったと主張。
さらに、佐賀県警は10月28日に記者たちを集め、同様の調査結果を発表した。

刑事部 木下公三管理官:
(瑠美さんに)危険が及ぶという話はなかったと認識している。(相談は)警察の記録としてあるのが8件ということになる

佐賀県警は、瑠美さん家族からの相談は14回ではなく「8回」と主張。双方の主張に食い違いがあるとして、記者たちからは質問が相次いだ。

サガテレビ:
遺族の認識と警察の認識にズレがあると思う

刑事部 木下公三管理官:
合わない部分はあるのはあるが、そこをすり合わせるのは考えていない

サガテレビ:
録音が長いと、印をつけろと、それは実際にあったのか?

刑事部 木下公三管理官:
文字起こしは確認できていない

西日本新聞:
記録に残っていない部分で、そういったことがあった可能性は?

刑事部 木下公三管理官:
恣意(しい)的にそういったことはしませんので

読売新聞:
遺族に対して謝罪はした?

刑事部 木下公三管理官:
謝罪は?…お悔やみは申し上げてますけど

さらに佐賀県警は、家族への一連の対応について、事件発生直後の2019年10月に調査チームを設置し、聞き取りを続けてきたことを明かした。

高畑瑠美さんの母:
そんな話はこっちに来ていない。私は初めて聞きました

しかし、その重要な証言者ともいえる瑠美さんの家族に対しては、今までも一度も聞き取りを行っていないという。

高畑瑠美さんの夫・裕さん:
「調査したんですか」と逆に聞きたい。あきれて物が言えない。ふざけてんじゃねえよとしか思いませんよね

遺族への聞き取りなくして、どのような調査ができたのか?
佐賀県警の対応に、遺族は怒りを募らせている。

元福岡県警刑事は非難「佐賀県警の組織防衛」

佐賀県警の主張通り、鳥栖警察署の対応に不備はなかったのか。
約37年間、いち刑事として数々の捜査にあたった犯罪捜査のスペシャリスト、元福岡県警の梶原良博さんは、「佐賀県警の組織防衛」と厳しく非難した。

元福岡県警刑事・梶原良博氏:
調査プロジェクトを立ち上げて、参考人のところに一度も行かない。なら身内だけから聞いて、それは身内だけならいいことしか言いませんよ。結果、佐賀県警にミスはありませんでしたと、誰が聞いてもおかしい。(警察に)11回も行っていて、まさか殺されるとは思っていなかったと言うのは、どこからその言葉が出てくるのかな。佐賀県警は組織を防衛しようとしている

(テレビ西日本)

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