北朝鮮に拉致された市川修一さんの兄・健一さん(81)とその妻・龍子さん(80)が、市川さんの母校である鹿屋市の輝北中学校で講演した。2人は生徒たちに、拉致問題に関心を持ち続けてほしいと呼びかけた。
「皆さんの先輩ですよ」母校で語られた思い
講演で龍子さんは、生徒たちに向けてこう語りかけた。
「修一はまさにこの学びやから巣立っていった。昭和43年の卒業生かな。皆さんの先輩ですよ。その先輩が国際事件に巻き込まれた」

市川さんが通った学びやで、同じ校舎に身を置く後輩たちに直接伝えられた言葉である。拉致という出来事が遠い話ではなく、身近な先輩の身に起きたことだと実感させる語りかけとなった。
夕日を見に訪れた吹上浜で
市川修一さんと増元るみ子さんは、1978年8月12日、夕日を見に訪れた鹿児島県日置市の吹上浜で北朝鮮に拉致された。それから48年がたつ。

「拉致問題を忘れないで」
健一さんは、弟と48年間会えない苦しみや、これまでの活動について生徒たちに伝えた。そのうえで、拉致問題の解決には世論の高まりが必要だと述べ、関心を持ち続けるよう訴えた。
「拉致問題を忘れないで。(被害者奪還を)諦めないということを北朝鮮に示し続けていくことが解決の後押しになる」
自分たちの先輩が巻き込まれた悲惨な事件について、話を聞いた生徒たちはそれぞれの思いを口にした。
「拉致問題について詳しく知ったのでこれから考えていきたいと思った」

「親にいっぱい話をしたい」
講演で知ったことを家庭に持ち帰り、家族と話したいという声も聞かれた。関心の輪が学校から家庭へと広がっていく可能性を感じさせる。
若い力に託す願い
講演の最後に、健一さんは若い世代への期待を語った。
「若い力は本当に大事。(拉致は)二度と起こってはならない。みんなが心を一緒にして拉致問題に取り組んでほしい」

発生から48年がたった今も、解決の願いは変わらない。母校の後輩たちが事件を知り、考え、周囲と語り合うことが、問題を風化させない一歩になる。兄夫妻の訴えは、地元の中学生たちの心に確かに届いたようだ。

