富山グラウジーズの新たな本拠地として大規模な改修を終えた「YKK AP ARENA」。先月1日のリニューアルオープンから、新しい観客席や大型ビジョンを評価する声があがっている。一方で、市民が利用するフィットネスルームの料金が大幅に上がり、戸惑いの声も聞かれる。値上げの背景を市に聞いた。

座席は5000席に ブースターも太鼓判

リニューアルしたアリーナの座席数は5000席に増えた。すべての座席にドリンクホルダーが設けられている。目玉となる大型ビジョンは、以前の4倍の大きさになった。
どの席からもコートやビジョンが見やすいように設計されており、富山グラウジーズのブースターも太鼓判を押す。
「すごくきれいで席も広くて雰囲気も最高」
「ビジョンがすごくて本当のアリーナという感じ」

アリーナは、グラウジーズの試合だけでなく、有名アーティストのコンサートなど大規模イベントにも利用されることが決まっている。市のにぎわい創出の拠点として期待が集まっている。
大人は450円から800円に 高齢者は実質2倍以上の値上げ


今回の改修では、多くの市民が利用する1階のフィットネスルームもリニューアルされた。床は新しく張り替えられ、最新の有酸素マシンが導入された。トレーナーの人数も増えている。
これに伴い利用料金が改定された。

・大人:1回450円から800円に
・高齢者:1回220円から400円に
高齢者の12か月券は、入会金と年会費を含めると初年度は2万3600円となる。実質で2倍以上の値上げだ。
利用者からは、次のような声が聞かれた。
「ちょっと嫌ですね、気分的に。(値上げは)仕方ない、こういう世の中なので」
「値上げは許せる範囲。きれいになって、結構混んでいるのかなと思ったが、意外とすいていて使いやすい」
92歳の男性利用者は、12か月券に切り替えへ
フィットネスルームに10年以上、自転車で通う富山市の中村隆さん(92)も、値上げに理解を示す一人だ。今後は少しでも割安な12か月券に切り替える予定だという。
「器具がやっぱり多くなりましたから。そういう意味では値上がりしても仕方ない。少しでも病気にかからんように、体を少しでも動かして寝たきりにならんように」
約25年据え置き 市「適正な価格を設定した」
実はこの料金は、開館以来およそ25年にわたって据え置かれてきた。富山市スポーツ健康課の松本浩明課長は、次のように説明する。

「これまで消費税とかの増税はあったが、実質的な利用料金は上がってきていなかった」
今回の値上げは、市がアリーナの運営を委託している民間事業者とともに決めた。資材や人件費などの高騰に加え、ほかの公共施設の料金を参考にしたという。
値上げ後の12か月券をひと月あたりに換算すると約3600円となる。同じ富山市内の施設と比べると次のようになる。

・YKK AP ARENAのフィットネスルーム(12か月券):約3600円
・県総合体育センターのトレーニング室:月額4500円
・とやま健康パーク:月額4700円
松本課長は「他と比べてもそこまで高くないという印象を持っている。それなりの適正な価格を設定したと思う。『料金が上がった』というお声もいただいているが、『施設が綺麗になった』や『ウォーキング、ランニングコースは値下げしている。非常に良かった』という意見もある」と話す。
ランニングコースは140メートルのみに 「直角だとスピード練習ができない」


利用料金とは別に、戸惑いの声があがっているのが室内のランニングコースだ。

これまで同じコースだったウォーキングとランニングは、安全面に配慮して別々のコースに分けられた。ランニングコースは以前、300メートルと140メートルの2つがあった。改修後に使えるのは140メートルのコースのみとなっている。

カーブが直角であることから、走りづらさを感じる人がいる。
「直角だとスピード練習ができない。他のランナーに気を使わなくてはいけないので、300メートルのゆったりしたカーブのところが良かった」
「これから冬、(雪で)北陸は外でのランニングができる日とできない日が出てくるので、走力向上は結構難しくなってくる。正直がっかり」
これらの声について、市は「スピードを出して走る人と歩いている人との接触を避けるため、理解してほしい」としている。
公共施設として、利用者の声にどう応えるか

プロスポーツの本拠地として生まれ変わり、ますますのにぎわいが期待されるYKK AP ARENA。一方で、公共施設として利用者の声にどう寄り添えるかも注目される。
(富山テレビ放送)

