今日1番知りたいニュースを、しっかり深堀りしてお伝えするコーナー「ソレが知りたい」。
今回のテーマは「GoTo トラベル 東京見直し これで大丈夫?」について考えていく。

この記事の画像(14枚)

「65歳以上だけ」の自粛で防げるのか

12月2日 東京都の新規感染者数は500人で、4日ぶりに500人台となっている。
重症者の数は、12月1日より3人減って59人といずれも多い状態だ。

佐々木恭子アナウンサー:
感染が拡大している状況を受けて、12月1日に菅総理と小池東京都知事が東京発着のGoToトラベルについて話し合いをしました。
一致したのは、「65歳以上の高齢者」そして「基礎疾患がある人」に限っては、12月17日まで自粛を呼びかけたいという点です。

そこで湧き上がってくる疑問が3つあります。
まず疑問の1つ目は、「65歳以上だけで本当に大丈夫なのか」ということです。
自粛を呼びかけられた世代の人に話を聞くと、こう言っています

65歳以上・女性:
なんで年齢制限するんだろう。65歳以上の人は出るなってこと?外に?それは…

79歳・男性:
65(歳)っていうのはおかしいですよね、そこで切るのは。
なんで65(歳)なのか、年齢の基準っていうのが解せない

佐々木恭子アナウンサー:
なぜ65歳なのかという思いもわかります。すでにもう自粛を十分しているという方も多くいると思います。
では、なぜこの65歳以上という年齢制限を設けているのか、背景にはこんな現実があると思います。
30代と比較した場合の重症化率を見ていくと、基準として30代を1と考えた場合、20代では重症化しやすいのは0.3倍、40代では4倍、50代で10倍、そして対象となる60代だと25倍、70代は47倍、80代は71倍、90代は78倍と確かに階段状に年齢とともに重症化しやすいというのが現実ではあります。

しかし年代別の感染者数を見ていくと、例えば12月2日の新規感染者数の中で60代未満の方が500人のうち393人、約79%。60代よりも、若い世代が多く感染していることも現実にはあるわけです。

このあたりどう考えるのか。
そこで考えられる疑問の2つ目が「これで感染拡大が防げるのか」

全年齢に対しての「警鐘」

加藤綾子キャスター:
そうですよね。65歳以上の高齢の方や持病がある方は重症化しやすいと言われていますから、自粛要請はわかりますが…家庭内感染も問題視されている中で、本当に防げるのかということだと思います。
「65歳以上だけの自粛要請」で、感染拡大を防ぐ効果があると言えるのでしょうか?

日本感染症学会専門医・寺嶋毅教授:
効果は限定的だと思います。特に重症化に至りやすい高齢者への感染の場は、家庭内であったり、施設内が多く、GoTo利用による感染はそんなに多くないと思われます。
GoToに関連した感染拡大を防ぐということだと、やはり全年齢層を対象にした制限かなと思っています

加藤綾子キャスター:
今は家庭内感染の多さが指摘されている状況の中で、若い人が高齢者のいる家庭に持ち込むことも考えられるわけですよね

日本感染症学会専門医・寺嶋毅教授:
まさにその通りで、特に市中で感染した若い世代が家庭や施設に持ち込むことが多い。GoToも含めて市中での広がりを止めるという意味では、やはり全年齢層が対象になりますし、そこに加えて重症化を減らすことでいうと、いかにそこに入り込まないようにするかという対策が大切だと思います

加藤綾子キャスター:
感染する手前での対策だと思いますが、GoToトラベルの65歳以上だけ自粛要請の効果はいかがでしょうか

住田裕子弁護士:
寺嶋先生が言ったように、私も限定的だと思います。
ただし私も65歳ですけど、持病がある方々に対しての警鐘を鳴らす意味では、非常に意味があったと思います。
しかし、30代の無症状の方々が町中を活発に動いている、家庭内に持ち込むことに対して、本当に止めるんだったら、緊急事態宣言だとか営業の自粛もある程度必要だったんですけど、もはや第1波の時のようなことはできない。財政的な裏付けがないという、行政上の辛さがあるんだろうなと思います。
アナウンスメント効果というか、パフォーマンスと言うと失礼ですが、そういうものであるとしたら、やはり65歳以上ではなくて、全員 一人ひとりが自覚をすることに尽きるような気がします

「停止」ではなくて「自粛」にする意外な理由

佐々木恭子アナウンサー:
では、3つ目の疑問を見ていきましょう。
3つ目は「なぜ停止ではなく自粛の呼びかけなのか」です。
これについて、小池都知事はこのように発言しています

小池東京都知事:
私どもは停止ということで、この要請をしたところでもある。
いろいろ考えて、そしてその中で自粛という結論にいたった

佐々木恭子アナウンサー:
東京都としては「停止」の要請をしたのだ、しかしいろいろ考えた結果「自粛」という結論になったということです。
取材によると、停止にすると何が起きるのかといえば「旅行者の年齢確認」「診断書の提出」「基礎疾患がないかどうか」などをしなければいけない。それらをやっていくと大変煩雑になってしまうので、システム的に難しいから自粛にとどまっているということです

加藤綾子キャスター:
システム上の混乱を招いてしまうということだと思いますが、この判断の曖昧さが国民にとって混乱を招くという一面もあるとは思います。
この自粛要請という判断を、専門家の立場としてはどうご覧になりますか

日本感染症学会専門医・寺嶋毅教授:
確かにわかりにくいところはあります。
ただし、東京都も含めて見直しが発せられたということから、今はギリギリの状態であるということです。。
先ほど警鐘という言葉が出ましたが、そういうメッセージを我々が受け止めて、GoTo利用に関わらず、高齢者も若者も危機感を今一度高めて、人前ではマスク、会食もマスクやこまめに消毒の実践することが伝わればいいかなと思っています

加藤綾子キャスター:
そうですね。
呼びかけ自体は65歳以上や持病のある方ですが、私たち一人ひとりにも呼びかけられている意識ということですね

佐々木恭子アナウンサー:
日本医師会・中川会長も会見の中で、やはり「一定程度の緊張感をもたらす効果はある」と言っています。
65歳以上の方だけに頼らず、私たち若い世代も気を付けていきたいと思います

(「イット!」12月2日放送より)