選手たちを笑顔にしようと、2人のマネージャーがそろって“オン眉”(前髪をまゆ毛より上)にした。そんな明るい雰囲気に包まれる花巻東高校男子バレーボール部は、創部以来最多の35人が在籍する。主将を中心に育んだ結束力と左右のダブルエースを軸に、「捲土重来」のスローガンを掲げて3年ぶり3回目の春高バレー岩手県大会制覇に挑む。
創部以来最多の部員をまとめる主将
コートへの一礼から練習が始まる花巻東男子バレー部。
1月の新人戦、5月の県高校総体ではともに3位に入り、県内の上位常連校として存在感を示している。
部員数は35人。3年前に春高県大会を制したことも追い風となり、創部以来最多の人数となった。
チームをまとめるのは3年生のアウトサイドヒッター、伊藤璃羽主将だ。
積極的な声掛けでチームの士気を高めながら、コートでは安定したレシーブで攻撃の起点となる。
部員が多いチームだからこそ、この1年は例年以上にミーティングを重ねた。
2025年の2倍以上の話し合いを行い、選手一人ひとりの意見に耳を傾けながらチームづくりを進めてきたという。
伊藤主将は「全員の意見を聞くことで、みんなが納得して練習に取り組める環境づくりに力を入れてきた。どんなプレーもこなせて穴のないチームになっている」と自信をのぞかせる。
攻撃の柱は左右のダブルエース
花巻東の大きな武器が左右のダブルエースだ。
右のエースを担うのは3年生の菅原健選手。身長176センチながら最高到達点は3メートル20センチを誇る。バスケットボールのリングを15cmも上回る数字だ。
高い打点から打ち込む鋭いスパイクが持ち味で、1年生からレギュラーとして活躍。2026年の各大会ではチームトップの得点を記録している。
菅原選手は、「できるだけ高い打点で上から抜くように意識して、最後に上がってきたボールを決め切って勝ちにつなげられるように頑張りたい」と力を込める。
左のエースは2年生の伊藤遼馬選手だ。ブロックを打ち抜くパワーに加え、相手の意表を突くテクニックも持ち併せるサウスポーだ。攻撃に特化したポジションである「オポジット」として得点源を担う。
2025年はけがの影響で春高に出場できず、悔しい思いを味わった。それだけに今大会への思いは強い。
伊藤選手は、「3年生にはこれまでプレーで支えられてきた部分がたくさんあったので、自分のスパイクを生かして、ちゃんと恩返しできるように頑張りたい」と話す。
マネージャーの“オン眉”の思い
選手たちを陰で支える2人のマネージャーも、優勝への思いは同じだ。
最後の春高に挑む3年生の高橋珠乃さんと塩谷実夕さんは、“ある行動”でチームを明るく盛り上げている。
それは、2人そろって前髪を眉毛より上まで切る「オン眉」スタイルにしたことだった。
高橋さんは「選手たちを笑わせてチームが明るくなるように、2人で“オン眉”にした」と笑顔を見せる。
塩谷さんも「人生初、ここまで切ったのは、お互い。これで春高優勝できたら良いなと思う」と願いを込める。
「捲土重来」で頂点奪還へ
花巻東が春高県大会を制したのは3年前。当時の優勝メンバーは、今の選手たちにとって憧れの存在だった。
大切な試合の前には、その先輩たちの試合映像を見返しながら優勝のイメージを膨らませている。
伊藤主将は「自分たちらしいプレーをしたら、絶対負けないという自信があるので、ストレートで勝ち切るところにつなげていきたい」と意気込む。
チームのスローガンは「捲土重来」。一度勢いを失った者が再び盛り返すという意味の言葉だ。
創部以来最多の35人が一丸となり、主将を中心に築き上げてきた結束力、左右のダブルエースが繰り出す攻撃力を武器に、花巻東は3年ぶり3回目の頂点を目指してコートに立つ。
勝利への思いを胸に、いよいよ勝負の舞台へ挑む。

