春の高校バレー岩手県大会で、第3シードの一関修紅が悲願の初優勝を目指す。ここ5年で2度決勝に進みながら、あと一歩届かなかった夢舞台。2026年は2人の指揮官による新たな体制のもと、選手層の厚さを生かした「全員バレー」で頂点へ挑む。さらに今夏完成したビーチバレーコートもチーム強化を後押ししている。
悲願へ導く2人の指揮官
女子の一関修紅は、近年県内屈指の強豪として結果を残してきた。しかし春高県大会の決勝で涙をのむなど、あと一歩のところで全国への切符を逃してきた。
2026年の特長は選手層の厚さだ。レギュラー、準レギュラーの差がなくメンバーが固定されていない。どんな組み合わせで誰がコートに立っても戦力が落ちない「変幻自在の全員バレー」が持ち味だ。
チームを率いるのは、赴任2年目の岩渕創監督(33)だ。
一方で、20年以上にわたり監督を務めてきた栗生澤等先生は、今大会ではマネージャーとして登録しチームを支える。
世代交代ではなく、状況に応じてどちらかが監督を務める体制をとっていて、今回は初めて岩渕監督のもとで春高優勝を目指す。
岩渕監督は高校時代、名門・不来方で春高全国大会を経験。さらに6年前にはコーチとして古豪・高田の春高全国大会出場を後押した実績を持つ。
岩渕監督は「栗生澤先生が一生懸命やってきてチームの形作りというのができているので、私としてはすごく指導しやすいのと(各得意分野で)生徒一人一人に合わせた指導ができるというのはかなりチームの強み」と話す。
大きな強みのコート完成
そんなチームには、もう一つ大きな強みがある。体育館の隣に整備されたビーチバレーコートだ。
山の砂に特殊な加工を施し、海辺のようなさらさらとした質感を実現。7月末に完成したばかりの施設で、希望する選手たちがプレーしている。
その中心にいるのが、セッターの山入端心音選手(2年)だ。
2026年夏にはビーチバレーの全国大会を経験。不安定な砂の上で培った足腰の強さが、室内コートでのスムーズな足運びや高いジャンプ力に直結しているという。
山入端選手は「ビーチは2人でやっているので1人がさぼれば勝敗につながってくるので、自分の守備力(範囲)が広がったり、思いやりのあるプレーができたりする」と競技を通じた成長を語る。
エースの決定力と“支える全員バレー”
仲間の思いのこもったトスを豪快に打ち込むのが、エースの高橋悠花選手(2年)だ。
コートを縦横無尽に駆け回る、スピードとパワーを兼ね備えたアタッカーだ。
高橋選手は「自分の攻める力で勝利につなげていきたい」と意気込みを口にする。
一関修紅の「全員バレー」は、コートの中だけではない。
この日の練習前、教室に集まり試合映像を見ながら熱心にメモを取る部員たちの姿があった。
部には9つの係があり、全員がいずれかに所属している。
「戦術・分析係」は過去の試合を見て攻撃のパターンを把握し情報を共有する。

ほかには「審判係」もあり、チーム全体でジャッジの技術を高めている。今は県公認の資格を6人が持っている。
守護神が抱く将来の夢
まさに“全員バレー”のチームをまとめるのは、リベロの菊地優美花主将(3年)だ。
これまで誰よりもボールを追い、誰よりもチームの危機を救ってきた守護神でもある。
大船渡市出身の菊地主将には将来の夢がある。それは消防士になることだ。
2025年、大船渡市で発生した山林火災の際、全国放送で映し出された地域住民の不安そうな表情が強く心に残ったという。
菊地主将は「地域の方々に安心を届ける消防士になりたい。(去年大船渡で)山林火災があってテレビで全国放送されていて、市民の方々がとても不安そうな顔をしていたので、自分が消防士になり助けたいと考えた」と話す。
いつか誰かの命を救う決意が、コートの守護神に力を与えている。
仲間と夢舞台へ
2人の指揮官のもと、選手一人ひとりがそれぞれの役割を果たしながら戦う一関修紅。
信頼する仲間とともに夢舞台への切符をつかむため、一関修紅が岩手の頂点を目指す。

