ふわふわで可愛らしい印象のフクロウだが、今、明かりをつけるとシュッとスマートな姿を見せるフクロウが話題になっている。

それがこちら。

帰宅して電気をつけるといつもこうなる
すぐに元に戻りますけど(笑)

このコメントとともに投稿された画像には、“耳”を立たせて顔だけでなく体もかなり細くなっているように見えるフクロウ。元に戻った状態はよく見るまんまるなフォルムで顔も愛くるしいが、細い方は顔も険しく見える。

投稿した飼い主のしゅう(@darkness_00921)さんによると、このフクロウはアフリカオオコノハズクの2歳の雌「るーちゃん」とのことだ。

提供:しゅうさん (細くなった姿)
提供:しゅうさん (細くなった姿)
この記事の画像(8枚)

このビフォーアフターを紹介する投稿は話題となり、Twitterでは「かわいい~」「フクロウって面白いなぁ~」「なんかシュッとしている」などの声も。11万いいねを集めるほどの人気となった。(12月8日時点)

しゅうさんによると、るーちゃんは電気をつけるといつもこのような姿になり、数十秒ほどで元に戻るとのこと。また、知らない人や大きな物音などでも細くなることがあるそうだ。

提供:しゅうさん (通常の姿)
提供:しゅうさん (通常の姿)

どうやら周囲の環境に反応しているようだが、それにしてもなぜ細くなるのだろうか? 「るーちゃん」と同じ、アフリカオオコノハズクを飼育している、花と鳥とのふれあいが楽しめるテーマパーク「掛川花鳥園」に話を聞いてみた。

単純にびっくりしたのだと思います

ーー「アフリカオオコノハズク」ってそもそもどんなフクロウなの?

アフリカオオコノハズクは名前の通りアフリカ大陸(砂漠地帯を除くアフリカ全域)に生息するフクロウの仲間です。フクロウの仲間はその中でフクロウ、ミミズク、コノハズクなど何種類かに分かれますが、「コノハズク」は小さなミミズクの仲間です。

だいたい150~250gくらいの大きさでコノハズクのなかでは大きな部類になります。夜行性ではありますが、完全な夜中ではなく明け方、夕方に活動的になることが多いフクロウです。

提供:しゅうさん
提供:しゅうさん

ーーなぜ電気をつけると細くなった?

ツイッターの画像を見る限り、単純にびっくりしたのだと思います。この投稿者さんの画像からすると…夜、薄暗い中でのんびりしていたコノハズクが、投稿者さんが帰宅して明かりをつけ急に明るくなり、驚いて細くなった…その後、投稿者さんだとわかりいつもの姿に戻った…という感じだと思います。

提供:しゅうさん
提供:しゅうさん

ーーアフリカオオコノハズクみんなが細くなる?

この個体は「暗いところから明かりがつく」という刺激で細くなりましたが、個体ごとに「自分が危ない、身を守る必要がある」という刺激は違うため、違う個体を連れてきて明かりをつけても細くならないこともあります。

また「暗いところから明かりがつく」ことに慣れ「この状況は危ない状況ではない」と理解した場合は、それ以降は細くならなくなることもあります。


ーーそもそも、なぜ細くなる?

アフリカオオコノハズクは、身に危険が迫ると細くなって危険をやり過ごすという習性があります。細くなると、見た目に小さくなること、遠目だと木の枝のよう見えることから外敵などには見つかりにくくなります。

周りに何もない状態だとそれほど効果があるように見えないかもしれませんが、森や林の中でやられると本当にわからなくなってしまいます。あくまでやり過ごすときの行動のため、本当に危ないときには飛んで逃げます。その手前の行動です。

細くなるのは「フクロウの仲間全般の習性」

ーー細くなるのはフクロウの習性?

細くなるというのは「フクロウの仲間全般の習性」で「アフリカオオコノハズク特有の習性」ではありません。フクロウの習性としてはごく一般的な習性で、ペットとして飼育されていた場合はたいがい何らかの刺激で細くなるため、飼育下では特に珍しい行動ではありません。

また年齢や性格でやりやすい個体、やりにくい個体などがいて個性が出る部分でもあります。


ーーちなみに、フクロウとミミズクの違いは?

フクロウとミミズクは頭の羽の形状が違い、一般にウサギの耳のような羽が頭に2つ生えているものを「ミミズク」、それがないものを「フクロウ」と呼び分けます。

羽の形状、つまり見た目の違いのため生物学上は同じ生き物です。なおミミズクの中で手のひらサイズの小さなミミズクを一般に「コノハズク」と言います。


ーーこのアフリカオオコノハズクは日本で見るのは難しい?

アフリカオオコノハズクはアフリカの鳥なので野生下では、日本には生息していません。動物園などにはあまりいないタイプの鳥のためそういったところではあまり見かけませんが、最近では鳥カフェ(猫カフェの鳥版)やフクロウカフェ、ペットショップ等で見かける機会が増えました。

日本にはいないので野生では見ることができませんが、同じ種類の「コノハズク」でしたら日本にも生息しています。コノハズクは日本全国に生息し、林・森の中で生活するので都市部ではあまり見ることができません。
 

提供:しゅうさん (寝ている姿)
提供:しゅうさん (寝ている姿)

ーーアフリカオオコノハズクは動きが活発なの?

アフリカオオコノハズクを始めフクロウの仲間自体が一部の例外を除き、あまり活発な鳥ではありません。全く動かないということはありませんが、基本的には用事がなければ動かない…というイメージで間違いありません。

細くなったり、大きく羽根を広げたりとSNS等では活発に見える側面もありますが、人間側が反応しやすい刺激を与えているケースがほとんどです。本来は「何もしなければ何もしない」というタイプの鳥です。

今回の投稿者さんのペットの個体は見た目が若く見えるため、比較的、刺激に対して敏感でリアクションも大きい年ごろに見えます。人間同様、若年個体の方が何をしても反応やリアクションは大きい傾向にあり、老齢個体はリアクションが小さいです。

また、特定の刺激に対し「危険」「危険でない」という判断は経験にもよるため、老齢個体の方が総じて「細くなりにくい」傾向にあります。


ーー何を主に食べているの?

肉食の鳥なので野生下では狩りをして生活し小型のネズミ、昆虫類、トカゲやカエルなどです。野菜、果物などの植物性の物は食べません。ペットではエサ用の冷凍マウス、冷凍ヒヨコ、エサ用コオロギなどです。

提供:しゅうさん
提供:しゅうさん

細くなったのはびっくりしたためで、フクロウの仲間全般の習性とのことだった。

人間も驚き方は世代によってさまざまだが、フクロウも人間と同様、若い個体は反応やリアクションが大きい傾向があるようだ。るーちゃんもこの環境に慣れ、あまり細くならない日が今後、訪れるかもしれない。
 

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プライムオンライン編集部
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