一枚の写真から街を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。
今回の舞台は、大阪府堺市です。
まず兵動さんが訪れたのは、1557年に創建された南宗寺。
千利休が禅の修行をしたと言われる、堺を代表する寺です。
国の名勝に指定された見事な枯山水の日本庭園に、兵動さんも思わず感嘆の声を上げました。
ここで兵動さんに渡されたのは、昭和30年代(1955年〜1964年)に堺市で撮影された1枚の古い写真。女性が何かの作業をしている様子が写っています。
【兵動大樹さん】「線香ちゃうかな?堺は結構寄せていただいてるんで。『ものの始まりなんでも堺』っていう名言があるみたいで」
堺では古くから様々な文化や産業が発展し、それを讃えて「ものの始まりなんでも堺」と言われています。線香もその1つなのでしょうか。そして、写真の場所は見つかるのでしょうか?
■「徳川家康の墓」が堺に?
写真を受け取った兵動さん。
仏殿の天井に描かれている「八方睨みの龍」に挨拶します。
【兵動大樹さん】「きょう(の写真)これなんです。頑張ります。どっから見ても龍と目が合うらしいです。ほんまや、不思議やな…。何にも悪いことしてへんねんけど、やっぱりドキドキすんな」
「八方睨みの龍」は国の重要文化財にも指定されています。
さらに境内を散策していると、なんと「徳川家康の墓」を発見!
家康は大阪夏の陣で戦死していて、南宗寺で極秘に葬られていたという説があるのだそうです。
寺務所の方に写真を見せると、「線香」という返答が。日本での線香の発祥の地が堺だということです。
■線香の卸売り店で早くも答えが!
街に出て聞き込みを続けます。
すると、線香とろうそくの卸売りをしている商店を発見します。
戦前から続くこちらのお店「藤谷商店」は、現在は夫婦2人で小売もできる規模で営業中です。
夫婦に写真を見せると、すぐに答えが返ってきました!
【夫婦】「この店あそこちゃうん?好文木。梅栄堂さん」
好文木は商品名で、会社名は梅栄堂。
前掛けに「好」という字の半分が写っていて、85歳のご主人はそこを見逃しませんでした。
【兵動大樹さん】「よう見えますな!おれ、老眼で見えへんのに」
最後に汗を拭くためのタオルまでプレゼントしてもらいました。
素敵な夫婦のおかげで、難航すると思われていた線香会社の特定も難なくクリアしました!あとは向かうだけです。
■堺が生んだ偉人・千利休と与謝野晶子
梅栄堂へ向かう途中、堺が生んだ2人の偉人・千利休と与謝野晶子の記念館「さかい利晶の杜」に立ち寄ります。
「君死にたまふことなかれ」という詩が有名な与謝野晶子は12人の子どもの母であり、その名前にはなんと「カタカナ」のキラキラネームも。
息子の一人にはフランスの彫刻家であるアウギュスト・ロダンへのリスペクトから「アウギュスト」と名付けたというエピソードも紹介されました。
【兵動大樹さん】「おれやったら『ないないない』って言うてる。それやったら『ロダン』にしてくれとなっていたと思う」
施設の目玉は、京都の大山崎町にある国宝指定の利休の茶室「待庵」を原型に近い形で復元した茶室「さかい待庵」。
秀吉のために作られたとされる茶室であり、広さはわずか2畳。
この茶室でお茶をいただいたのは2人しかおらず、そのうち1人は「タモリさん」だそうです。
■1657年創業!超老舗・梅栄堂の線香づくりに潜入
そしてついに、梅栄堂へ。取材のお願いをすると、社長自ら出迎えてくれました。
梅栄堂は来年で370周年を迎える老舗中の老舗です。
看板商品の好文木はシナモンをメインに八角などを使った約100年の歴史を持つお線香。
現在はおよそ100種類を製造しており、青森のイタコさんに人気のお線香や、ゴルゴ13とのコラボ商品まであります。ゴルゴ13の作者「さいとう・たかを」さんが堺出身という縁から生まれた商品なのだそうです。
原料のほとんどは香港経由で東南アジアやアフリカから輸入しています。
社長によると、香港という地名自体が「香りの港」に由来しているのだとか。
香木とは、気が自らの傷を修復するために分泌した樹脂が長い年月をかけて木部にしみ込み固まったもの。複雑な自然の条件が重なってできる貴重なもののため、世界中でマーケットが確立されています。
■最高級の香木は1キロ約1億円!
工場ではほとんどが機械化されていますが、寺院向けの長い線香や超高級品は今も職人が手作りしています。
納品先には浅草寺や、この日最初に訪れた南宗寺も含まれているそうです。
さらに銀行の貸金庫から取り出された最高級の香木「伽羅」は、なんと1キロで約1億円!
【兵動大樹さん】「香りだけでも奢ってもらっている気がする」
【梅栄堂・中田信浩社長】「紙袋に8000万円ぐらい持って来る人いますからね。『売ってくれ』って言うんですけど、『いや、売りませんよ』言うて」
■写真の場所を発見!
写真が撮影された場所は現在、倉庫として使われています。
昭和30年代に梅栄堂で撮影された線香作りの風景は、形を変えながらも脈々と受け継がれていました。
東南アジアとの貿易で香木が集まった堺で花開いた線香文化。「ものの始まりなんでも堺」の言葉どおり、その伝統は今も堺の街に息づいています。
(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2026年10月2日放送)
