日本は高齢化と言われるように、今年9月1日の時点で100歳以上の高齢者は前年比+9176人の8万450人と増加している(厚労省発表)。

そのような中で、キューサイ株式会社の「100歳まで楽しく歩こうプロジェクト」が、元気な100歳以上の人の健康長寿の秘訣を探った結果、「食事」「運動」「交流」が健康維持の3本柱として多く挙げられていることが分かった。

調査は2016年~2019年の4年間にわたり、毎年、全国の元気な100歳以上の男女100人とその家族・近親者の合計400人に実施。年度ごとに異なる質問をし、その生活実態について本人へのヒアリングや家族に質問用紙での自記入式で回答してもらっていた。今回、この4年間の調査結果をまとめ、2020年度版として発表した。

調査で分かった“健康維持の3本柱”のポイント

<食事>
食生活で最も効果がある健康維持の取り組み1位(2018年調査)にあがったのは「三食欠かさず食べること」(41.0%)。

「70歳の頃はどうだった?」とも質問をしたところ現在と同様の結果となり、また2017年調査では、元気な100歳以上の94%が三食欠かさず摂取、78%は三食+おやつまで食べていると回答。このことから三食の食事が長年習慣化されていることが分かった。

(キューサイ調べ)
(キューサイ調べ)
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また食事内容を聞いた2019年の調査では、3日間の食事900食(100人分)のうち、約9割の食事で「たんぱく質」をしっかりと摂取されていることが判明。

特に「鶏・うずらなどの鳥の卵」(31.9%)を始めとした、「牛乳」「ハム、ソーセージ、ベーコンなど肉の加工品」などの動物性たんぱく質を含む食材が上位を占め、この「たんぱく質」が筋肉量を維持し、健康な体を支えていることが見受けられるという。なお、植物性たんぱく質では「豆腐(厚揚げ等も含む)」が上位にあがっていた。

(キューサイ調べ)
(キューサイ調べ)

<運動>
「健康維持や体力維持」のために最も役立っていること(2018年調査)を聞いたところ1位は「体を動かすこと」(62%)

「人生を楽しく生きていく上で大切にしてきたこと」への問いには、97%が「身の周りのことを自分でするよう意識」と回答し、約5割が「仏壇へのお供え」などの日課や役割等のルーティーンを持つとのことだった(2017年調査)。

無理のない運動を毎日継続することが健康維持の秘訣で、日課や役割等のルーティーンを持つことで、毎日程よい運動をすることがいいようだ。

(キューサイ調べ)
(キューサイ調べ)

<交流>
また「人生を楽しく生きていく上で大切にしてきたこと」については、「家族と一緒に過ごす」(95%)や「おしゃべりする」(84%)との回答も。

会話頻度を調査(2018年調査)したところ、同居者とほぼ毎日会話する人は85%、家族や友達の相談にのることがある人が36%いることが判明(2019年調査)。コミュニケーションを大切にし、積極的にとっていることが調査からも分かる。

(キューサイ調べ)
(キューサイ調べ)

調査結果をみると、食事や運動などの基本的な要素が健康長寿への秘訣になっているのがよく分かる。

では、これを行うには何歳から始めた方がいいのだろうか? また健康維持の3本柱で注意すべきことはあるのだろうか? 今回の調査の監修医師で、リハビリテーション医学と臨床医学を専門とする吉村芳弘氏に話を聞いた。

健康維持は65歳前後から意識することが重要

ーー4年間の調査結果からは、どういったことが分かった?

健康で長生きをするコツとして3食の食事をしっかり摂ること(特にたんぱく質を十分に摂ること)、運動習慣があること、家族や友人との交流が挙げられます。

食事・運動・社会交流は、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態であるフレイルの対策としても、重要視されていることでもあり、今回の調査データでも改めてその重要性が確認されました。

監修の吉村芳弘医師
監修の吉村芳弘医師

ーー食事・運動・交流が健康維持の3本柱で、それぞれに注意点はある?

特にありません。健康長寿のためには、やせよりやや肥満の方がよいとされています。しっかり食べて体重を維持しましょう。


ーーこの3本柱に加え、さらにこうすると良いというポイントは?

フレイル対策として十分な食事をとって、体重が減らないようにすることが重要です。関節や筋肉など運動器疾患がある方は、主治医に相談しながら運動することをお勧めします。

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ーーこうした健康維持は何歳から始めたらいいの?

65歳前後から意識することが重要です。これまでは脳梗塞や心筋梗塞などを予防するためにメタボ対策が重視されてきましたが、高齢者はメタボ対策よりもフレイル対策が健康長寿のためにより重要だと考えられます。

65歳前後もしくはそれ以前から、メタボ対策からフレイル対策へのギアチェンジが必要です。

前向きに日々を楽しむ姿勢が大事

ーー食事・運動・交流の他に、長寿に必要な要素を教えて

口腔の衛生状態や機能を維持すること、十分な睡眠をとることが挙げられます。口腔の機能の衰えとして近年、オーラルフレイルという概念が提言されています。

「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動である8020運動として、自分の歯を残すことが大事であると言われてきましたが、歯だけでなく舌や粘膜など口腔の機能を維持することが、健康長寿の秘訣であることがわかってきました。


ーー新型コロナウイルス感染の影響で生活習慣が変わった人もいる。何かアドバイスはある?

これまでの社会活動が制限される状況では、偏食の見直し、ホームエクササイズなど気軽にできる運動、オンラインでの社会交流、などに挑戦することをお勧めします。

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ーー改めて、どのようなものがお手本となる生活習慣なの?

「豊かな食生活」「定期的な運動習慣」「大事な家族や友人との交流を維持すること」がお手本となる生活習慣と言えます。

病気があってもしっかり病気と向き合い、前向きに日々を過ごし、食事や運動、社会交流を楽しむという姿勢が大事だと思います。
 

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年老いてもますます元気で意気盛んでなければならないという、ことわざ「老いてはますます壮んなるべし」とあるように、高齢だからこそ元気に日々を楽しんでもらいたい。実際に元気に100歳を迎えている人たちから学ぶことは多いはずだ。
 

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プライムオンライン編集部
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