第2次高市改造内閣が発足した17日から18日にかけて読売新聞が行った世論調査によると内閣支持率は59%で、改造前の前回調査(8月21〜23日)から3ポイント増え、3カ月ぶりに上昇した。
改造や自民党人事を「評価する」は52%で、「評価しない」の34%を上回った。
同時期に行われたANN(テレビ朝日系列)も同様の結果だった。高市人事のどこが評価されたのか。

今回は内閣改造と自民党人事とも骨格部分は変わらず「小幅」なものだった。内閣改造ではよく「目玉人事」を発表して支持率アップを目指すことがあるのだが、今回、サプライズはなかった。
高市総理自身が強烈な「サプライズ」
今回の人事を見てまずわかるのは、高市早苗総理は経済と外交安保について政策の根幹部分を変える気はないというメッセージが込められているということだ。
これは高市総理が閣僚に手渡した「指示書」の中の共通指示の部分で特に「責任ある積極財政」と「外交力と防衛力の強化」を挙げていることからもわかる。
このため片山さつき財務、城内実経済財政、茂木敏充外務、小泉進次郎防衛の各大臣を留任させた。

高市総理が「鈴木俊一自民党幹事長を萩生田光一代行に交代させるのではないか」とも考えられた。
高市氏の「剛」と鈴木氏の「柔」は、実は良い組み合わせなのだが、高市氏には不満があるように見えた。

だが鈴木氏を交代させる場合は、別の「お土産」を後ろ盾である麻生太郎副総裁に渡さねばならないのだが、それが見つからなかったということだろう。
幹事長と4閣僚という党と政府の重要ポストを動かさないということはそれに伴う「玉突き」も少なくなるということだ。
また今回から「閣内協力」になった日本維新の会の中司宏前幹事長を総務大臣でなく規制改革担当大臣で入閣させたのは、消費税減税の財源に期待される租税特別措置の廃止や医療費などの削減について尻込みしている自民党に「喝」を入れて欲しいという意味合いだろう。
ここまでサプライズはほとんどなかった。
理由は「サプライズで支持率を上げたい」とは高市総理が考えなかったからだろう。
特別国会での皇室典範改正の後、支持率は下がったが、その後回復しつつあるようだ。意見の分かれる法案の成立に国民は動揺したものの、引き続き高市総理の実行力に期待しているということだろう。
つまりサプライズは必要なかった。
そもそも高市総理自身が強烈な「サプライズ」なので「他にはもういらない」ということなのかもしれない。
国対関連の人事は高市総理の宣戦布告だ
そんな中で唯一のサプライズが、石井準一前参院幹事長の交代と衆院の村井英樹国対委員長の抜擢だ。
高市総理と溝がある石井氏から青木一彦元官房副長官への交代は、人事権を持つ松山政司参院議員会長が官邸との関係を重視した形だ。
当初は青木氏ではなく総理に近い有村治子総務会長の名前も挙がったが有村氏は固辞したという。
石井氏の交代は、総理側近が「総理はもう決断している」と早い時期から言っていたので驚かなかったが、衆院の国対委員長人事には驚いた。
予算委への総理の出席をめぐって高市総理と意見が合わなかったとされる梶山弘志前国対委員長が総務会長に「棚上げ」され、元財務官僚で46歳と若い村井氏が抜擢されたのだ。
国対委員長というのは、どちらかというと「東大卒のキャリア官僚出身者」よりは「地方議員出身で議会の裏も表も知り尽くした党人派」がつくポストである。
村井氏は国会改革への思いを高市総理と共有し、総理の国会出席のあり方の見直しも訴えていた。一方で特別国会では皇室典範改正の審議に応じない野党を「時代遅れ」と批判した。
この国対関連の2つの人事は、すなわち高市総理の「臨時国会は特別国会以上にガンガン行くで」という宣戦布告である。

消費税減税法案は参院で日本保守党(2人)が賛成する可能性があるので、あと無所属議員2人が賛成すれば参院でも可決され、衆院の3分の2を使わなくても成立するとの見方がある。
高市総理がこだわる「旧姓使用の法制化」は保守党に加えて参政党も賛成する可能性が高いし、議員定数削減法案も、場合によっては衆院3分の2を使って成立する可能性もある。
総理の国会出席を減らし、これらの法案を「数の力」で通せば野党やメディアは「強引だ」と批判するだろうが有権者が満足なら高市総理は意に介さない。

沖縄では米軍基地問題で政府と対立してきた「オール沖縄」県政が終焉し高市政権が地方選挙でも強いことを見せつけた。また中道改革連合は破綻して野党の「多弱化」がさらに進んだ。
しばらくの間、「高市一強」は続きそうだ。
【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

