「国民民主党、参政党、公明党のどこかが(消費税減税法案に)最終的に賛成に回るのではないか」というコラムを10日の「産経ニュース」に書いたのだが、翌11日の日経新聞に「公明・岡本代表、消費減税法案『賛成ありうる』」という記事が出ていて「ずいぶん早いな」と思った。
5日に召集された臨時国会の最大の焦点である「食料品の2年間の消費税減税」について、これまでの論戦を聞く限り野党は慎重な姿勢を崩していない。
7日に代表質問のトップに立った公明党の岡本三成代表は、消費税減税の財源10兆円を使えば、「単純計算では1人約8万円の現金給付ができる」と例示し、消費税減税より給付が望ましいと提案したが、高市早苗総理は答弁で「給付には時間がかかり、批判も多かった」とそっけない反応だった。
これまでは自民党を中心とした与党が消費税を引き上げ、野党がこれに反対して引き下げや廃止を訴えるという構図だったが、今回は減税をしようとしている自民に対して野党が慎重という逆の構図になっている。
岡本氏が所属していた中道改革連合は2月の衆院選では「恒久的な食料品の消費税ゼロ」を公約に掲げていた。「2年間」と「恒久的」の違いだけなのだが賛成することはできないのだろうかと思っていた。
日経のインタビューで岡本氏は2年間の消費税減税の後の所得連動型給付に関して対象などを明示すれば減税と一本化した法案に「賛成の可能性が出てくる」と述べた。
消費税減税への考え方が「2年間」と「恒久的」で大して変わらないのだから、もともと反対ではない所得連動型給付の条件で折り合えば法案に賛成するという公明党の言い分は理解できる。
立憲は「フェーズが変わった」と減税反対を訴えている
ちなみに参院に残る立憲民主党は昨年7月の参院選での公約が「最大2年間の食料品の消費税ゼロ」で今回の自民党案とほぼ同じであった。
だが8日に代表質問に立った田名部匡代幹事長は消費税減税より現金給付のほうが効果的であると主張した。
公約の「変更」については「フェーズは大きく変わっている」と説明した。円安の進行や原油高に加えて物価上昇が食料品以外にも広がっているからだという。だが「フェーズが変わった」くらいで変更するなら、最初から公約に入れるべきではなかっただろう。
それに“前身”といえる民主党は2012年に自公両党と消費税を5%から10%に上げることで合意したが、その後は、約束した少子化対策などがなされていないとして、消費税増税に反対の立場を取り、政党の再編を経ながらも消費税減税を訴えてきた。
それを自民党が消費税減税を言った途端に「フェーズが変わった」と減税反対を訴えても支持者は納得しないだろう。
野党の中で、衆院選で消費税減税を公約に入れなかったのはチームみらいだけだった。
ある野党議員に聞いた話だが街頭などで支持者に消費税減税反対を訴えると「なぜ減税に反対するのか」と怒られることが多いという。そりゃそうだろう。支持者からは「公約違反」に見える。
減税法案に反対したら支持者が怒るのではないか
メディア各社の世論調査では消費税減税への賛成は5割から6割で反対を上回っている。
時事通信の8月の調査では国民民主党の支持者は「減税に賛成」が57.1%に上り「反対」の33.3%を大きく上回っていた。参政党も同傾向。公明党は賛否同数で、中道改革連合、立憲民主党、チームみらい、共産党の支持層は反対が上回っていたとしている。
つまり国民民主党、参政党、そして公明党の3党は与党の消費減税法案に賛成しても支持者はあまり怒らないだろう。むしろ反対したら怒るのではないか。
岡本発言はそこらあたりを意識したものだろう。
国民民主党も現状では政府案に批判的な構えだが、8日の代表質問では玉木雄一郎代表が、テイクアウトとの税率差が9%に広がって「外食離れ」が懸念される飲食店に対しクレジットカードの手数料の減免などを訴えた。
また所得連動型給付についても対象を明確にするよう求めた。国民民主党も賛成に回る余地は十分にある。
参政党も以前から飲食店や農家への補償を訴えているので交渉の余地は十分にあるだろう。
政府与党は今後、飲食店や農家への救済措置や、所得連動型給付の範囲などを示して、この3党に賛成に回ってくれるよう交渉することになる。
もちろんそれでもダメなら衆院3分の2を使った再議決による成立も自民党の国対ではすでに想定している。

具体的には早ければ20日にも衆院の財務金融委員会で法案の審議入りをして今月中に衆院を通過させ、12月12日までの会期を年末まで延長し、参院での60日のみなし否決ルールを使って年末ギリギリに再議決して成立させるという案である。
だが、公明代表の発言をきっかけに消費減税法案は与野党合意による成立に向けて動き出したのではないか。
【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

