9月21日は『敬老の日』であり『世界アルツハイマーデー』でもある。この日限定で高齢者がスタッフとして働く飲食店を取材した。
集まった4人のおばあちゃんは…
福岡・志免町で創業54年を迎えた『天龍ラーメン』。看板メニューの豚骨ラーメンは、豚足を加えたとろみのあるスープが特徴だ。

揃いのエプロンを身に着け『天龍ラーメン』集まったのは、スタッフとして働く78歳から88歳まで4人のおばあちゃん。この日、1日限定で接客を担当する。
85歳の藏田ミチ子さんは「ドキドキしてます。間違えないようにしないとねえ」と話すが、いえいえ、間違えてもいいのだ。

この日、集まった4人のおばあちゃん。実は、隣町のデイサービス施設に通う認知症の当事者たち。『世界アルツハイマーデー』に合わせて開かれた、その名も“注文をまちがえる料理店”。

『天龍ラーメン』代表の森崎龍之介さんは「認知症になると『できなくなること』に目が向けられがちだが、例え注文を間違えたとしても周りが寛容になることで認知症の人が『できること』として自信を持つことができる。そのきっかけを作りたい」と企画したと話す。

客からの苦情は一度もなし
4人は、スタッフのサポートを受けながら注文や配膳を担当する。「難しかね。飲食の仕事は、したことないけんね」と最初は、不安そうな88歳の田中京子さん。4人の中で最年長の参加者だ。

「『煮卵』をもう1つお願いします」と注文を受けた田中さん。

「8番テーブルの方に『ゆで卵』を下さい」と早速、間違えてしまった。代表の森崎さんは「『煮卵』ですね」と笑顔で訂正する。

この取り組みは、2025年に続いて2回目で、客からの苦情は一度もないという。

訪れた客の1人はは「はきはき喋られるし、すごいなと思った。これでみんなが認知症について知って優しい世界になっていけば」と話す。

また別の来店客は「認知症の亡き祖母に力になったり、寄り添えたりできたら、よかったと思うことはある。身近にもそういう方がいるので、何か力になれたら」と話していた。

最初は、不安そうな田中さんだったが、励ましに来た娘と孫の姿を見て表情も綻ぶ。田中さんの娘は「一生懸命、頑張っている姿を見て、嬉しかった」と思わず涙ぐんでいた。

代表の森崎さんは「間違えることをしても『まあいいか』と許せるような寛容な気持ちになれるような、われわれからも歩み寄るし、認知症の人からも歩み寄って頂いて、手を取り合う社会が生まれていけば」と期待を寄せる。

認知症についての理解を広げる取り組みが、誰もが自分らしく暮らせる未来に繋がるかもしれない。
(テレビ西日本)


