「適正な判決をお願いしたいと思っています。そうでないと検察官の不祥事が終わらないんじゃないか」
大阪地検に逮捕・起訴され、その後無罪が確定した大手不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんが、国を訴えた裁判。
きょう=9月17日から控訴審が始まり、山岸さんは同じ過ちを繰り返さないため、捜査の違法性を認める判決を求めた。
■逮捕・起訴の決め手となった供述の背景には「恫喝」取り調べ
プレサンスコーポレーションの元社長・山岸忍さんは2019年、土地取引をめぐり21億円を横領したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴されるも、その後「無罪」が確定している。
逮捕・起訴の決め手となったのは、山岸さんの関与を認める当時の部下の供述だった。
しかし当時、大阪地検特捜部に所属し、その取り調べを担当した田渕大輔検事(54)は、山岸さんの元部下を恫喝するなどして、嘘の供述を引き出した特別公務員暴行陵虐の罪に問われ現在、刑事裁判が開かれている。
問題となった取り調べの録画録音には田渕検事が「なめんじゃないよ!」と声を荒らげ、机を叩いて「いい加減なこと言っちゃダメだろ!なんでそんないい加減な説明するんですか!」、「検察なめんなよ」などと発言する様子が記録されていた。

■国に賠償求めるも1審は「違法ではない」
山岸さんは無罪が確定した後の2022年3月、違法な捜査が冤罪を生んだとして国に損害賠償を求める裁判を起こした。
1審の大阪地裁(小田真治裁判長)は、「検事の威迫により虚偽供述をしたことが明らかとまでは言えない」と指摘。
「山岸さんに対する起訴が、批判を受ける部分があることは確かだが、国家賠償法上違法ではない」として国の責任を認めなかった。

■控訴審で山岸さん「誤ったお墨付きを与えてほしくありません」
山岸さんは、判決を不服として控訴し、9月17日から始まった控訴審の法廷で、こう主張した。
山岸さんの意見陳述より:取り調べに大きな問題があったことは、録音録画から明らかになっています。
山岸さんの意見陳述より:もし検察官の判断が正しかったということになれば、今後も検察は同じ過ちを犯してもよいということになってしまいます。誤ったお墨付きを与えてほしくありません。
田渕検事の刑事裁判では、“問題となっている”取り調べの前日に、当時、捜査を指揮していた蜂須賀三紀雄主任検事から「最高検察庁との協議で山岸さんの処分について早めの報告を求められている」とメールが送られていたことが判明。
山岸さん側は、このメールを新たな証拠として申請。さらに、捜査や取り調べをチェックしていた総括審査検察官など5人の尋問を求めたが、裁判所はいずれも却下した。
国側は、控訴の棄却を求めた。

■山岸さん「この国の司法が機能しなくなる」と訴え
閉廷後、記者会見した山岸さんは、「同じような不祥事が検察内でたくさん起こっていますよね。法を守らせるための人たちが、法を犯すことをたくさんやらかしていたら、誰も信頼しなくなってこの国の司法が機能しなくなる」と訴えた。
判決は、来年1月27日に言い渡される予定で、国の責任を認める場合は、その後、賠償額を審理する裁判が継続されることになる。

■菊地弁護士「私は問題のある1審判決だと思っています」
さまざまな刑事事件や民事裁判を手掛ける菊地幸夫弁護士は、1審判決について、次のように批判した。
菊地幸夫弁護士:1審の判決というのは、『そんなにめちゃくちゃ不合理ではない』ということで、山岸さん側の訴えを退けています。
菊地幸夫弁護士:1つ1つが『うんとひどくないからいいだろう』としているのです。でも、それぞれに問題点があるということがいくつもあったら、全体見ればおかしいじゃないですか。そういう判断があまりされていないので、私は問題のある1審判決だと思っています。
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月17日放送)


