昭和を代表する建築家が手掛けた、全国で唯一の知事公邸が高知県にある。老朽化が進む中、その価値を再評価し、保存と活用を求める声が上がっている。
歴代知事が暮らした昭和中期の和洋折衷建築
昭和38年(1963年)に建設され、半世紀以上にわたり歴代の高知県知事が暮らしてきた知事公邸。設計を手掛けたのは、昭和を代表する建築家である村野藤吾だ。全国の知事公邸で、村野が設計したものは高知だけだという。
軒を長く設計し、雨の多い高知の風土に合わせた造りとなっている。和、洋、モダンが調和した昭和中期の建築物として、その歴史的・学術的な価値は極めて高いと評価されている。
保存活用を求める建築団体からの要望
しかし、建設から60年以上が経過し、建物の老朽化という避けられない課題に直面している。県は2026年6月から有識者会議を開き「知事が引き続き公邸に住むべきか、あるいは別の建物に移るべきか」という議論を重ねており、2026年度中には意見をまとめる方針だ。
9月7日、日本建築学会四国支部と県内の建築3団体が県庁を訪れ、要望書を手渡した。彼らは、知事公邸の価値を再評価し、未来へ生かす保存・活用を求めた。
議論の行方と建物の未来
要望を受け取った県側は、建物の保存や活用については「知事が今後どこに住むか」という方向性が定まってからの検討になると慎重な姿勢を見せつつも「提出された要望書はその参考にしたい」と回答している。
