熊本地震の影響で「売り上げが約半分で推移している」という声が上がる中、鹿児島県が打ち出した観光支援策「かごしま観光応援割」が、地元の宿泊施設や商業施設に期待の波を広げている。9月18日の九州新幹線全線運行再開、そしてシルバーウィークと重なるタイミングでの実施は、地域経済の回復に向けた大きな一手となりそうだ。
割引率6割、上限2万円の手厚い支援
改めて「かごしま観光応援割」の内容を整理しておこう。
実施期間は9月14日から10月13日までのおおむね1カ月。シルバーウィークに間に合うよう設定されており、割引率は6割、割引の限度額は1人2万円となっている。予算がなくなり次第終了となるため、利用を検討している人は早めの行動が求められる。

なお、すでに確保している予約はこの割引の対象外となる点には注意が必要だ。宿泊割を受けるためには、現在の予約をキャンセルし、再度予約し直す必要がある。詳細については、9月11日午後7時に公開された県の特設サイトで確認できる。
県としては、10月中旬からは国の「九州ふっこう応援割」の実施も予定しており、切れ目のない支援を行いたい考えだ。
「売り上げ半分」の現場が抱えていた不安
JR鹿児島中央駅構内の商業施設・みやげ横丁では、熊本地震以降の九州新幹線運休がダイレクトに売り上げへ打撃を与えた。施設を運営するJR鹿児島シティの山崎慎介社長は、地震後の状況をこう振り返る。
「熊本地震以降、去年の同じ時期と比べて、売り上げが約半分で推移している。テナントのスタッフも『これがいつまで続くんだろう』と心配していた」
先行きが見えない不安が現場に漂う中、今回の「かごしま観光応援割」の決定は大きな朗報となった。山崎社長は、新幹線の運行再開と宿泊割の同時進行に期待を込める。
「県が国の動きに先駆けて施策を行うのは大変喜ばしいこと。熊本地震の影響で旅行や帰省を断念した人も多かったと思う。その方々にとってもシルバーウィークの前に新幹線が運行を再開し、宿泊割も始まるのは追い風になると思っている」
ホテルでは7500万円分がキャンセルに
宿泊施設の受けたダメージも深刻だ。鹿児島市の鹿児島サンロイヤルホテルでは、7月の熊本地震以降、9000人以上の予約、約7500万円分がキャンセルになったという。
同ホテルの三月田淳総支配人は、打撃の大きさをこう説明する。
「8月は一年の中で個人と家族の客のピークの月。9月10月の2か月で取り戻すことは不可能」
それだけに、今回の支援策への期待は大きい。三月田総支配人は「18日の九州新幹線の全線運転再開、19日からのシルバーウィークの前なので、観光支援と相乗効果が生まれると期待。鹿児島県と議会の速やかな判断に感謝」と述べ、「自分たちの営業努力と観光支援を併せて頑張りたい」と前を向く。
新幹線再開×シルバーウィーク×宿泊割の三重奏
今回の「かごしま観光応援割」が注目される背景には、タイミングの良さがある。九州新幹線の全線運行再開、シルバーウィーク、そして宿泊割の開始が重なることで、旅行や帰省を見合わせていた人々が動き出すきっかけになるとみられている。
地元の事業者たちは、これを単なる一時的な支援にとどまらず、観光需要の本格的な回復への足がかりとして位置づけている。熊本地震から続いた長い停滞を乗り越えるべく、鹿児島の観光業が動き出そうとしている。

