一定の違反歴がある75歳以上の高齢ドライバーに義務付けられている実技試験=「運転技能検査」を厳格化する方針を警察庁が明らかにしました。
その背景にあるのは後を絶たない“高齢ドライバー”による事故。検査の現場を取材すると現行の制度の“限界”が見えてきました。
■一定の違反歴ある75歳以上のドライバーに義務付けられる「運転技能検査」
自動車教習所で高齢ドライバーが受ける免許更新の講習。多くの人にとって、車は生活に欠かせません。
一方で、高齢者の免許更新をめぐって、「運転技能検査」を厳格化するという方針が今月示されました。
そもそも75歳以上の高齢ドライバーは、過去3年間に一定の違反歴がなかった場合、認知機能検査や高齢者講習を経て免許が更新されますが、一定の違反歴がある場合は、「運転技能検査」と呼ばれる実技試験に合格する必要があります。
厳格化されるという、その「運転技能検査」の様子を取材すると、見えてきたのは“制度の限界”でした。
■検査では一時停止失敗や逆走も…それでも合格率は93%
試験中の高齢ドライバーが運転する車は、ゆっくりと「一時停止」に近づきますが急停止。その段階で停止線を踏み越えていました。
ほかにも同じように一時停止に失敗する車が。
さらに、別の車は右折後、急ブレーキをかけます。そして左にハンドルを切ります。
実は右折後に誤って対向車線を走行する“逆走”をしていて、直後には逆方向から車が走ってきました。あわや衝突事故という危険な状況でした。
このように試験では危険な運転もみられましたが、現行制度では「運転技能検査」でミスをしても基準点を満たせば試験は合格で、去年の合格率は93%に上っています。
■相次ぐ高齢ドライバーによる事故
その一方で、高齢ドライバーがブレーキをアクセルと踏み間違えるなど”運転操作ミス”による事故が多発。
ことし5月、福島県で起きた部活動の遠征バスによる死亡事故で逮捕された68歳(当時)のドライバーは、免許返納を検討していたといいます。
こうした状況の中で、警察庁は今月、「運転技能検査」の“厳格化”の方針を示したのです。
■“厳格化”によって「一発不合格」も
その方針では、一時停止については失敗すると「一発不合格」になります。
このほかには、ハンドルを切ってバックし、来た向きと反対の方向に出ていく「方向変換」なども検査項目に加わります。
【八戸ノ里ドライビングスクール・東博子指導係長】「ハンドル操作とブレーキ操作が同時に加わると、すべてを動かさないといけないので、高齢者の方には非常に難しいのではないかと。気づきによって事故の件数が少しでも減ることを願っています」
■「技能のすべてを判定できるわけではない」専門家は社会インフラの対策の必要性も指摘
変わる高齢ドライバーの免許更新。
ただ専門家は、検査制度だけに頼らない解決策を探る必要があるとも指摘します。
【國學院大學法学部・高橋信行教授】「限られたエリアで、十数分で車を運転するわけですから、技能のすべてを判定できるわけではない。
公共交通を充実させたりする必要もある。車に頼らなくていい生活を送れるようにする(必要もある)」
■実証実験では“厳格化”で合格率が12.3%下がる
高齢者の事故件数のうち、違反歴のある運転手による事故の件数は、違反歴のない運転手のおよそ4.5倍にもなっています。
つまり、「運転技能検査」に合格していても事故が多いということになります。
警察庁が行った“厳格化”の実証実験では現行の基準での合格率が93.9%だったのに対して、厳格化した基準での合格率は81.3%と12.3ポイント下がったということです。
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月9日放送)
