三重県伊勢市の老舗商店街で8月31日に発生した大火事。商店街を襲った炎は、一夜明けても消し止められることはありませんでした。
■ホースを手に近付くも…瞬く間に広がった炎
建物から噴き出す赤い炎。上から燃えた屋根がバラバラと降ってくる中、1人の女性が水やりホースを手に、消火しようと近づきます。周囲に止められて引き返しましたが、炎はその後、瞬く間に一帯を包み込みました。

31日午後3時すぎに出火したのは、伊勢市の「明倫商店街」。伊勢神宮の外宮から約700mの場所に戦後間もなく発足した、老舗商店街です。
上空からの映像では、はしごをのばし、焼けた屋根の上から放水する様子も確認できました。

火事に遭遇した地元の人:
「明倫商店街って結構昔からある商店街で、一方通行が多いので、道も入り組んでいて、ちょっと入りづらい」
伝説の大投手・沢村栄治生誕の地として、目の前には銅像もある明倫商店街。火事の前に撮影された、昭和に建てられた木造の店が並ぶアーケードの中は、かなり狭く感じます。

伊勢市民:
「入口側の居酒屋さんに1~2回。知り合いがここで用品店をされていたり、魚屋さんがあったから買い求めたりしたことがあるんです。残念ですね」
■大火事から一夜明け…まだ消し止められない炎
その火は、朝になっても完全には消し止められませんでした。
(リポート)
「商店街の裏側に回ってきました。規制線が張られている奥、白い煙がまだ立ち上っているのがよく分かります」
炎は、密集した建物に広範囲にわたって広がりましたが、これまでのところ人的被害はないといいます。しかし…。

(リポート)
「隣の神社から火災現場を見ています。神社までは火の手が来ませんでしたが、商店街は全て焼け落ちてしまっています」
昭和レトロと情緒が漂っていた商店街は、見る影もなく焼け落ちました。
商店街に建物を所有する男性:
「貸している方に電話をしたら『すぐ逃げた』ということだったので、とりあえずはよかった。25~26店舗は動いていたみたいですが、ずっと空いている所もあって。ぼつぼつと飲食店とか事務所が入っていた」
■4300平方メートル焼失…商店街に響いた「逃げろ」の声
「火災発生時に自分の店にいた」という方にも、話を聞くことができました。
商店街で店を構える女性:
「(商店街の)一番奥の方の店です。焦げ臭いな、魚屋さんが魚を焼いているのかなと思ったら、『火事だ!』と。(火が出たのは)入口の方だから、この場所までは…と思ってシャッターを閉めたら、消防が『とりあえず逃げろ!』という感じで。昔の建物だし風もあるし、火が回るのが早いですね。びっくりです」

伊勢神宮の外宮のそばで、人々の生活を飲み込んだ今回の火事。消防によると、焼失面積は約4300平方メートル、燃えた建物は58棟にも上るといいます。
静かな老舗商店街で、なぜ火事は起きたのか。消防と警察は、午前10時ごろから実況見分を始め、出火原因などを調べています。
■専門家が指摘 商店街「5つの火災リスク」
商店街の火災は、今回の伊勢市以外でも多く起こっています。
今年6月、島根県出雲市の商店街「サンロードなかまち」で発生した火災では、わずか2時間足らずのうちに火が回り、合わせて24棟が焼けました。
他にも北海道・江別市の大麻銀座商店街(今年1月)、東京・品川の中延商店街(去年12月)など、この2年ほどでも多くの火災が起きています。

市民防災研究所の坂口隆夫さんによると、「商店街は火災のリスクが高い」といいます。
・通路が狭くて消防車が入れない
・木造の建物が密集し消火しづらく延焼しやすい
・飲食店が多く火を使うことが多い
そして他にも、大規模火災になりやすい2つのリスクがあるそうです。

アーケードでつながっていることで、商店街全体が1つの建物のように火が伝わってしまいます。しかも空気が通りやすいので、燃え広がりやすいそうです。
また、空き店舗が多いと、シャッターが閉まっているため破らないと放水ができませんし、中の状況が確認できないという事態につながってしまうということです。

