和歌山市で、持病のてんかんによる発作で車を暴走させ、当時22歳だった女性を死亡・ほかに2人にけがをさせた「危険運転致死傷」の罪に問われている女の裁判で、検察側は「懲役8年」を求刑しました。
女はこれまでの裁判で「てんかんの発作が起きたわけではない」などと起訴内容を否認し、無罪を主張しています。
■“危険運転”問われた西馬被告は無罪主張
西馬淳子被告(56)は2021年7月、持病のてんかんによる発作で意識を失うおそれがありながら車を運転し、ミニバイクに乗ってアルバイトに向かう途中だった竹田汐里さん(当時22歳)を死亡させるなどした、危険運転致死傷の罪に問われています。
ことし6月1日の初公判で、西馬被告は「事故を起こしたことは間違いありません。てんかんの発作が起きたわけではないです。自分はてんかんではないと思っていました。運転中も意識障害が起こっているとは思っていませんでした」と述べ、事故を起こしたことについて認めた一方、起訴内容を否認し、無罪を主張しました。
また弁護側は「心疾患が原因でてんかんではない。てんかんだったとしても認識していなかった被告は予見できなかったため、過失運転致死傷罪も成立しない。よって無罪です」と主張していました。
■検察側「2014年以降 抗てんかん薬の処方受ける」など指摘
一方、検察側は冒頭陳述で次のように指摘していました。
・2012年、西馬被告は脳腫瘍の摘出手術を受ける。
・2014年1月にはけいれん発作を起こして救急搬送され、病院で抗てんかん薬の処方を受けた。
・このころ以降、通院先の病院で抗てんかん薬の処方を受け続けた。
・2019年にも意識障害を伴うけいれん発作を起こして病院に救急搬送され、脳神経外科医の診察を受ける。この際、自動車の運転をしてはいけないことを医師から伝えられた。
・夫とLINEで、てんかんや服薬に関してメッセージのやりとりをしていた。
・被告は自分の携帯電話に「発作」というメモを作成し保存していた。メモには2019年3月から2021年7月までの15件の発作の日時や内容が記載されていた。
・事故を起こした当日の夜に発作についてのメモを削除していた。
■検察側証人のてんかん専門医「原因はてんかんによるものと強く疑う」
その後の裁判では、てんかんの専門医が検察側の証人として出廷。
証人尋問でこの医師は、事故の原因について、被告の車のドライブレコーダーの映像から「しばらくして会話がなくなり運転は制御ができていない状況だ。失神の場合はすぐに意識がなくなるが、徐々に意識減損が起こったと考えられる」と指摘していました。
そのうえで「原因はてんかんによるものと強く疑う。専門医として長年の仕事に責任を持つならてんかん(による発作)であっただろうと考えられる」と証言しています。
■逮捕後一度は不起訴も 遺族の検察審査会への申し立て受け再捜査経て起訴
西馬被告は事故後、「意識を失うおそれがある状態で運転した危険運転致死の疑い」で警察に逮捕されたものの、「てんかんの発作が起きたわけではない」と一貫して容疑を否認。
嫌疑不十分で一度は不起訴になりました。
しかし、竹田さんの遺族が検察審査会に申し立て、「不起訴不当」と議決され、検察の再捜査を経て起訴されていました。
裁判を前に竹田さんの父・正義さんは「娘はなんで死んだのか。事実を重い現実として受け止めて、一生背負っていってもらいたい。事故の直前彼氏もできて本当に未来が明るかった。娘たちの人生を祝福したかった。それが当たり前だと思っていたから」と語っていました。
