熊本地震の発生から28日で1カ月。震度7を引き起こした活断層は「Sランク」とよばれる発生確率の高いものでした。
地震調査委員会は28日、近畿の活断層の発生リスクについておよそ20年ぶりの見直しを公表。
足元に潜む巨大リスクを緊急取材しました。
■熊本地震も「Sランク」の断層帯での地震 近畿は「活断層が集中的に分布する」
南海トラフなど海底のプレート地震が大きな揺れや津波をもたらすのに対し、直下型の活断層地震は小刻みで激しい揺れによって住宅やビルの倒壊などの被害を引き起こします。
政府の地震調査委員会は活断層を4段階に分け、「M6.8以上の地震」について30年以内の発生確率が「3%以上」のものを“最も警戒すべき”「Sランク活断層」に指定。
先月28日の熊本地震を引き起こした「日奈久断層帯」も「Sランク」に分類されていました。
そして公表されたのが、「近畿地域」2府9県の活断層の地震発生リスク。およそ20年ぶりに見直しになります。
今回の見直しで「Sランク活断層」は3箇所から8箇所に。
政府の地震調査官は「この区域(近畿地域)は国内でも活断層が集中的に分布している区域で、これらの活断層の活動度も高いと評価しています」と指摘します。
■大阪都心部の直下も走る「上町断層帯」 「Zランク」になるも規模は”拡大”
近畿2府4県では滋賀に2つ、奈良と兵庫に1つずつのあわせて4カ所となりました。
一方、大阪の都心部をはしる「上町断層帯」はこれまで「Sランク」でしたが、2段階下がった「Zランク」(30年以内の発生確率が0.1%未満)へと見直されたのです。
これまで、上町断層帯での直近の地震はおよそ9000年前から2万8000年前までの間とされていましたが、比較的新しい時代にも起きていたことが判明し、地震のエネルギーが解放されたと判断されました。
発生確率のランクが下がった一方で、新たな脅威も判明。
これまで南の端は岸和田市とされていた断層帯に関西空港近くを通り、阪南市までが含まれていたことも判明。
断層帯が長いほど、マグニチュードも大きくなります。
【地震調査委員会の委員を務める同志社大・堤浩之教授】「断層の長さが従来の42キロから、56キロに変更になっています。ということは、より大きな規模の地震が起こる可能性が示唆されるわけです。防災対策は、継続していく必要があると思います」
■阪神・淡路大震災の“割れ残り”区間 16の活断層などが足元に…
そして、新たに「Sランク」に追加された「六甲・淡路島断層帯」についてこう指摘します。
【地震調査委員会の委員を務める同志社大・堤浩之教授】「淡路島の西岸区間というのは(阪神淡路大震災で)1995年に「野島断層」が地表まで破壊していますので、「Zランク」(30年以内の発生確率が0.1%未満)となっています。
一方、六甲山地の南縁から淡路島の東岸区間というのは、全域が十分にひずみを解消するようには活動していないということで、いわゆる1995年の地震では“割れ残った区間”というふうにもとらえられます」
今回「Sランク」となったのは活断層が複数集まって形成される「断層帯」で、その分布は淡路島を北上し、六甲山沿いを伸び最終的には宝塚市の山間部まで続いています。
その距離およそ60キロで、16の活断層などが足元に潜んでいるのです。
ここは最短で800年ほどの周期で動く断層帯で、最後に動いたのは600年程前とされます。このため地震の脅威が近づいていることも確かだというのです。
この区間で大規模な地震が発生すると、人口が集中する阪神エリアから大阪にまで震度6~7の揺れをもたらすと考えられています。
■“直下型地震”の脅威を伝える「野島断層」
活断層の脅威の“記憶”が保存されている場所があります。
1995年1月17日、阪神・淡路大震災を引き起こした淡路島の「野島断層」。
阪神・淡路大震災の発生確率は当時「0.02%から8%程度」と、現在の基準では「Sランク」に分類されます。
その際地表に“亀裂”となって表れた断層を当時のまま残す「北淡震災記念公園」。断層だけでなく耐震対策によって倒壊を免れた建物など、活断層地震の教訓を伝えています。
【北淡震災記念公園営業部・池本啓二部長】「こういう活断層っていうのは全国どこにでもあって、日本にいる限りは決して地震からは逃げられない。
備えることによって、少しでも犠牲者、被害を減らしていくことができるということを私たちは伝えています」
■直下型地震による死者の“ほとんど”は建物倒壊などの下敷き 今できること
阪神・淡路大震災で命を失った6434人。
その8割以上が、家屋の倒壊や家具の転倒で下敷きになったことによる圧死でした。
また、上町断層帯で大規模な地震が起きれば、建物倒壊による死者が1万人を超えるという被害想定もあります。
大阪市内に住むある女性は去年、祖父母から受けついだ築46年の木造住宅の耐震診断を受けました。
その結果は“倒壊する可能性が高い”。各地で地震も相次いだことから壁材を耐震性の強いものに替えたほか柱を金具で補強。さらに、屋根の瓦も軽いものに交換するなど大規模改修をしました。
工事後の“我が家”について「この家って震度1でも揺れる。工事してもらった後は体感としてかなり変わりました。安心感は大分アップしました」と話します。
工事は総額およそ800万円。大阪市からの補助金はおよそ100万円でした。
いつ起きるかわからない地震。自分や大切な人がいる場所は安全なのか。いますぐにでも見直して、取れる対策はあります。
