新潟県阿賀野市で8月24日、伝統の祭り「水原まつり」の最中に、参加者が担いでいた灯籠と柱の間に挟まれ、病院に搬送されるも死亡が確認された。亡くなったのは18歳の男子高校生だった。地元の夏に欠かせない伝統の祭りで、なぜ死亡事故が起きたのか。イット!は、現地を取材した。
灯籠と柱に挟まれ…“伝統の祭り”で高校生死亡
FNNが入手したのは、祭りで起きた事故の一部始終を記録した映像だ。24日夜、新潟・阿賀野市で行われた「水原まつり」。

祭りの中のイベントで、大勢の参加者が灯籠を押し合っていた直後、男子高校生が亡くなる事故が起きた。
24日午後8時半前、警備中の警察官から「救急車を呼んでくれ」と通報が入る。

亡くなったのは、祭りに参加していた高校3年生の新保慶人さん(18)。頭から出血し、意識不明の重体で病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。
会場にいた人は「AEDとか持ってきてたりとかあったんで」「(血は)頭首らへん、上半身ですかね」と当時の状況を語る。

事故が起きた「ザ・灯籠来舞」は、各団体が作った灯籠を押し合い、チームワークや勇ましさなどを競うことで、今年の「一番灯籠」を決めるもの。阿賀野市観光協会のYouTubeには、このために地元へ帰ってくる若者がいて、熱気あふれる勇壮な祭りとして愛されるイベントと紹介されている。

事故の直前には、灯籠同士がぶつかり合う様子があった。灯籠は幅2メートル、奥行き1.2メートル、高さ2.4メートルほどの大きさで、亡くなった新保さんは灯籠の担ぎ手として祭りに参加していた。

しかし、灯籠を押し合う中でアーケードの柱に近づき、灯籠と柱の間に挟まれたとみられる。他にも祭りに参加していた30代の男性2人が指や頭にけがをした。
FNNの取材では、事故に気づいた人が制止を試みたということだが、灯籠の押し合いはその後も1分間ほど続いた。

会場にいた人:
たぶん担ぎ手自体は気づいていないっていうか。もうそれよりも押すことを意識しすぎて。後ろにいた人とか観客とかはもう気づいて。実際すぐ止まれないんですよね、ぶつかり合うと。取り締まりとかが笛ならしてやめれやめれっていう風にするんですけど。

祭りを巡っては、2年前にもけが人が出たため、灯籠を担ぐ人の数を制限するなど対策を進めてきた。

一夜明けた現場には手向けられた花があった。献花に訪れていたのは、新保さんの中学時代の同級生たちだ。
同級生たちは「クラスが同じで、結構親しみやすい人なんで、すぐ仲良くなれたりして。今でもずっと仲良く遊んでたんで」「最近も会えてなかったんで自分は。後悔もあったんで、会っておけば良かったなっていう」「朝やっとテレビのニュースとかでも見てて、あ、本当にいなくなっちゃったんだなっていう。激しい祭りっていうのは聞いてたんで、水原まつり行くってなったらちょっと止めれはしたと思うんですけど」と話す。
今回の事故について、祭りの実行委員会でもある阿賀野市は、「詳細な事故原因は現在調査中」とした上で、次のようなコメントを出した。

水原まつり実行委員会:
実行委員会としてこの事態を強く受け止め、関係機関と協力して原因究明に努めてまいります。
繰り返される祭り事故 問われる安全管理
祭りの安全を巡っては、これまでもたびたび議論となってきた。

北海道北見市で7月に行われた伝統の「大綱引き」では、突然綱が切れ、参加者たちが路上に倒れ込んだ。綱は直径約20センチ、重さ約1.5トンで、260人が二手に分かれて綱を引いていたという。
アナウンス:
けがはないでしょうか。けがをした方は放送席までお越しください。

この事故で少なくとも十数人がけが。綱は30年以上前に新調されたもので、耐久性の点検などはしていなかったという。

また2025年、高知市で行われた「よさこい祭り」では、ステージの上に張られていた看板7枚が風にあおられて剥がれ落ち、看板にぶつかった1人がけがをした。2026年はぶつかってもけがをしないよう、ベニヤ板から布に変更された。
新潟・阿賀野市の祭り会場で高校生が亡くなった事故で、25日開催予定だった花火大会は延期になった。専門家は主催者側による安全管理の重要性を指摘する。

危機管理防災アドバイザー・田中章さん:
過去にもやっぱりお祭りでのいろんな死亡事故ですとか、けがをされた事故とかがありますけど、もう全てこの安全配慮を問われてます。なんで事故が起きてしまったのかっていうのは、不慮の事故で安全配慮がされてたのかどうなのかっていうのは、今後そこは検証される。

榎並大二郎キャスター:
地元商工会がFNNの取材に応じました。それによりますと、灯籠のイベントを巡って、2024年、いざこざがあり、2025年は押し引きだけにしたそうです。2026年は警備を強化した上で、従来のぶつかる形式に戻したということでした。
山﨑夕貴キャスター:
当日はどんな安全対策が取られていたんでしょうか?

榎並大二郎キャスター:
主催者側の阿賀野市によりますと、会場には警察官以外にも灯籠を担ぐ団体ごとに白法被と呼ばれる警備担当を配置しました。灯籠同士の押し合いの際に、担ぎ手が決められたエリアを出ていないか、笛を鳴らして警告を行うということです。さらにアーケードの柱には厚手のクッションを巻きつけて対応していたということです。
遠藤玲子キャスター:
安全対策取られていたとは言え、それが果たして十分だったのか。結果として高校生の命が奪われたわけですから、二度とこうしたことが起きないようにしてほしいですよね。

榎並大二郎キャスター:
危機管理防災アドバイザーの田中さんは検証すべき点について、「安全配慮を行っていても参加者などに周知が徹底されていたか、そして確実にそれが実行されていたかが重要だ」と指摘しています。例えば危険を知らせるための先ほどの笛についても、参加者などに意味が確実に伝わっていたかなどの検証の必要があるとしています。
(「イット!」8月25日放送より)

