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【北海道マラソン】新谷仁美、18年ぶり北海道でMGCへ「自分の強さ、力を見せていけたら」真夏の北海道を選んだ3つの理由|FNNプライムオンライン

【北海道マラソン】新谷仁美、18年ぶり北海道でMGCへ「自分の強さ、力を見せていけたら」真夏の北海道を選んだ3つの理由

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 女子のエントリーリストに、ひときわ目を引く名前がある。積水化学の新谷仁美、38歳。2024年3月の東京マラソン以来、およそ2年半ぶりのフルマラソンへ戻る。
選んだ舞台は、真夏の北海道マラソンだ。2008年大会で2位に入って以来、18年ぶり2度目の出場。左足の足底筋膜炎で長期離脱を経験した新谷にとって、今大会は単なる復帰戦ではない。2028年ロサンゼルス五輪を見据え、まずはMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場権の獲得を目指す。暑さへの対応力を測り、自らの現在地を知り、支えてくれる人々に結果で応えるための42.195kmになる。

真夏の北海道を選んだ3つの理由

 新谷が北海道マラソンを選んだ理由は、大きく3つある。第一に、ロサンゼルス五輪を見据えた暑熱下のマラソン経験。第二に、けがから復帰した現在地をフルマラソンで確認すること。そして第三に、所属先やスポンサーの支援に、結果で応えることだ。

――なぜ、この北海道マラソンへの出場を決めたのですか。
 「私としては3つあって。まずマラソンは2年半くらい離れていて。その年は他の種目で走っていたんですが、翌年にけがをしてしまって、1年間同じ箇所のけがに苦しめられた。そこから空けて、再度やっぱりマラソンで挑戦したいという意思の中で、じゃあどこを目標にすると考えたとき、やはり夏のマラソンを一つのポイントとして置きたかった」
 その先に見据えるのは、ロサンゼルス五輪だ。
 「ロス五輪を見据えた時に、どうしても私は暑い条件のマラソンを経験していないので、経験しておくというところが1つ。2つ目は、怪我明けということで、自分の状況確認。他の種目ではなくマラソンに対して今どういう状況かというのを知っておきたい」
 そして、3つ目に挙げたのが競技者としての責任だった。
「競技者として所属先や各スポンサーを背負っている身として、自分がどれだけその価値に値するものなのかというのをマラソンで見せたいという気持ちもありますし、自分の価値を上げていくレースにしていきたいなという思いはあります」

ロサンゼルス五輪を見据えMGC出場権獲得を狙う
ロサンゼルス五輪を見据えMGC出場権獲得を狙う
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足底筋膜炎を越え、再びマラソンへ

 新谷を苦しめたのは、左足の足底筋膜炎だった。かつて右足の足底筋膜炎が競技から退く決断につながった過去があり、再発時の衝撃は大きかった。ただ、今回は横田真人コーチというパートナーがいた。
 「左脚の足底筋膜炎。踵なんですが、そこを負傷してしまっていて。過去に私、一度引退をしていまして、その引退理由も右脚の足底筋膜炎だった」
痛みの強さや回復に時間がかかることは分かっていた。休んだからといって痛みから解放されるかも分からない。今回は逆の足だったこともあり、本人にとって衝撃は大きかった。

――1度は引退を決意させた症状です。やはり応えましたか。
 「そうですね。ただ、あの時と違うのが、過去に即引退を決めたのは、まるっきり一人だったので。簡単に言えば孤独の中で競技をやっていた。もちろんチームに所属はしていて、仲の良いチームメートもいたんですが、いわゆる今の横田さん(横田真人コーチ/TWOLAPS)みたいに指導者とともに成長していく中で、結果を取りにいくパートナーという存在がいなかった。そこの違いが一番、けがをしてでも続けられる理由かなと思います」

 痛みはすでにない。米国・サンディエゴとオレゴンでの合宿を経て暑熱順化を進め、8月15日以降は千歳市で本番直前の仕上げに入った。作戦は「30km以降からビルドアップする」。目標タイムは2時間30分00秒、目標順位は1位と記した。

けがを乗り越え2年半ぶりのフルマラソンへ
けがを乗り越え2年半ぶりのフルマラソンへ

18年ぶりの北海道。暑さをどう走るか

 18年前、2008年の北海道マラソンは2位。当時の記憶は、いまと少し違う。
 「20年近く前になると思うので、そんなに暑くなかったなっていう。やっぱりさすが北海道だなという思い出があって。今みたいにどこの土地に行っても暑いっていう状況じゃなかったので、本当にただただ涼しいなという中で走った記憶しかない。走っていて苦しいというのはもちろんあって、距離を踏めば踏むほどキツくなる感覚はあるんですけど、暑さはあまり気にならなかった」

 今回、警戒するのは暑さが後半の脚に及ぼす影響だ。
 「やはり今はどこの土地に行っても暑いので、その点がどれだけ自分の体に影響を及ぼすか。後半の脚にどう影響するかというのは、ちょっと恐さはあるんですが、ここをクリアすれば2年後にあるロサンゼルス五輪のイメージづくりはできるかなと。夏のマラソンを踏むということが自分にとっては必要ですし、そこで自分が納得する結果を掴むことができれば、けがで沈んでいた気持ちから一歩踏み出せる。そのきっかけをつくりたいなと思います」

 世界との距離感については、厳しい視線を向ける。
 「今のマラソン、厳しく言えば世界との差が大きく広がっているなというのを、マラソンを踏んでいなくてもひしひしと感じる。ただ、まずは同じスタートラインに立たなければ、一緒に走ることもできない。タイムからしたら本当に大きな差があるんですが、気候などの状況の中で、どれだけ日本人選手が粘れるか。日本人選手の強さは粘り強さの部分でもあると思うので、そこを世界で見た時にどう評価されるかというところを、北海道マラソンでまずリハーサルというかたちでお見せできたらなと思います」

18年ぶりに北海道マラソンに出場
18年ぶりに北海道マラソンに出場

苦手なマラソンで、MGCへ

 トラックでは5000m、10000mで日本代表を経験した。それでも、マラソンは「最も苦手な種目」だと言い切る。
 「たぶん最も苦手な種目であるマラソンで五輪を目指すというのは、私の中では非常に高いハードルだなって思っています。距離が長くなればなるほど、拒否反応が起こってしまって(笑)。疲れた・やめたい・しんどい(笑)。それが頭の中にずっとローテーションされていって、その思考に押しつぶされちゃって」

 それでもマラソンを選ぶのは、自分に期待を寄せてくれる人たちに応えたいからだ。
 「何の保証もないのに私にかけてくれている。そういう人たちにまず応えていきたいという思いがあるから、キツくても耐えられるなというのはあります」

  3年前、新谷はMGC出場を辞退した。当時は五輪出場よりも日本記録を出すことを優先していた。しかし、けがを経験した今は、無理なく継続できる状態をつくることを重視する。
 「あの時は継続できているというベースがつくり上げられていたので、そのままタイムを狙うチャンスを掴むことはできた。優先順位的に五輪出場より日本記録を出したいというところに、どうしても重きを置いていた。でも今そこを目標にすると、ぶっ壊れちゃうというか、またけがをして無理をしてしまう」
質を追えば負荷が高まり、けがにつながる。新谷はいま、ハードルを少し下げながら、継続してマラソンに取り組める状態を重視している。

 だからこそ、この夏に求めるものは明確だ。
 「ロス五輪を目指す上での絶対条件がMGC出場権。取らないと、そもそもロスには行けない。出せばそのまま代表に選ばれるというタイムはもちろんあるんですが、今の現実的なところを考えたら、まずその切符をとることが一番最低限のラインだなと思っている。まずそこを獲得するというところを第一の目標としています」

トラックでは日本代表も経験
トラックでは日本代表も経験

観客に届けたい走り

 2時間半近くにおよぶレース。テレビの前の視聴者、沿道のファンに何を届けたいのか。
 「応援したいなという気持ちにさせられる走りにしたいなと思っていて。2時間半近くって普通に長いなと思うんです(笑)。それをいかに飽きさせないか。いかに中だるみを発生させないかというのは、長距離種目の一つのクリアすべきところかなと思っていて。そこをいかに埋めていくか。次の展開を楽しみにしてもらえるかというところを私たち選手はつくりあげていかないといけないのかなという意識でやりたいと思っています」

応援したいという気持ちにさせられる走りを
応援したいという気持ちにさせられる走りを

「変わらない結果主義者」として

 新谷は自らを「変わらない結果主義者」と表現する。努力や感謝を否定するのではない。支援を受けるアスリートだからこそ、最後は結果で返すべきだという信念だ。
 「勝ちもそうですし、タイムというところ。私はずっとそこにこだわってきたというよりは絶対条件だなと思っていて。頑張っている人って、アスリートじゃなくても、日々全員が頑張っていると思うんですね。でも、頑張るだけでお給料は貰えないと思うんです(笑)。極端な話。私たちアスリートは結果を出してナンボの世界に居させてもらっている」

 「その状況がどれだけのものかというのは、選手本人たちが理解しなければいけない。そのためにどれだけの人たちがサポートに回ってくれているかというのを日々感じながら、もちろん感謝の気持ちを忘れずに。それを言葉にすることも大事なんですが、結果として返していく。私はそのやり方で、今後もやっていきたいなと思っています」

 その価値観が芽生えたのは、23歳。2011年の世界陸上大邱大会(5000m)で初めて日本代表になった時だという。
 「世界クロカンやジュニアの世界大会には出場したことはあったんですが、考えが未熟だったので、背負うというよりは陸上を楽しみたいと一心に思っていただけだった。社会人になってから対価をいただいた時に、どれだけ自分にかけていただいているか。応援の言葉だったり、ウェアだったり。どれだけ自分のために、ものが動いているか、人も動いているかというところを考えさせられるきっかけが、その大邱大会だったんです」

感謝の気持ちを忘れず、結果にはこだわる
感謝の気持ちを忘れず、結果にはこだわる

 一人のランナーとして、最終的にありたい姿を問われた答えも明快だった。
 「やっぱり変わらない結果主義者だと思います。もちろん結果以外にも大事なものはあります。それは取り組みだったり地域貢献だったり。ただ、それを含めても結果第一というところは、アスリートになった限り忘れてはいけない部分かなと」

 「結果を出さなきゃいけない立場は、それだけの支援をいただいていることに基づいている。応援してもらっていること、スポンサー、所属先の支援を考えたときに、第一に結果を出すというところが必要だと思っています。自分に厳しすぎると皆さんから言われるんですけど、それは私の欠点でもありますが、頑張っているだけじゃ成り立たない仕事だなと思っているので、いかに結果を残していけるか。そこは厳しい目で自分を見て、これから成長していきたいと思います」

 新谷が見据える先は、2028年ロサンゼルス五輪。「競技人生の集大成」と位置づける舞台だ。
 「2年半ぶりのマラソンになります。今回の北海道マラソンでは北海道の皆さん、そして全国の皆さんに、しっかりと自分の強さだったり力を見せていけたら」
真夏の札幌。久々の42.195kmが、ロサンゼルスへの最初の一歩となる。

北海道マラソンへの意気込みを語る新谷仁美選手
北海道マラソンへの意気込みを語る新谷仁美選手

レース後の楽しみ

 横田コーチとの約束は、マラソン後の10日間を走らずに休養することだ。
 「どういう結果であったとしても、一気に疲労をとるために、10日間は絶対に動いちゃダメ、走ったらダメというふうに約束しています」
 無事に走り終えられたら、北海道や他県を巡る「ちょっとした夏休み」を過ごしたいという。楽しみの一つは、千歳合宿で印象が変わったラム肉だ。
 「以前は苦手だったんですけど、千歳合宿で食べたラム肉が本当に美味しくて。北海道ではラム肉を回りたいと思うくらいです」

<放送予定>
「カネカスポーツスペシャル北海道マラソン2026」
8月30日(日) 朝8時25分~(UHB・北海道ローカル)
8月30日(日) 朝8時28分~(BSフジ)
<ゲスト・解説>
ハリー杉山(テイクオフ)
増田明美(スポーツジャーナリスト)
渡辺康幸(住友電工陸上競技部監督)

北海道文化放送
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