広島県内の中山間地域に足を運び、人との出会いを通して、知られざる魅力を探る“アポなし旅”。今回は初めて島へ。三原市の佐木島には、夏の青空に映えるログハウスと、そこに込められた祖父との思い出があった。
干潮時に姿をあらわす“お地蔵さん”
中山間地域というと県北のイメージが強いが、広島県が指定する地域には海沿いや島も含まれている。今回訪れたのは、瀬戸内海に浮かぶ人口約550人の佐木島。
須波港からフェリーで約15分、島に降り立った辰已麗アナウンサーを迎えたのは、雲ひとつない青空だった。
「初めての島、佐木島です!初上陸なので、何があるのか分からないんですけど、きょうはいい出会いがありそう」
島の入り口には「みかんと心のなごむ石仏の里」というキャッチフレーズが掲げられている。さらに、島の見どころが記された案内板を見つけた辰已アナ。目に留まったのは、広島県重要文化財に指定されている「磨崖和霊石(まがいわれいし)地蔵」だった。
まずは、このお地蔵さんを探してみることに。海岸沿いを進むと、波打ち際の大きな岩にたどり着いた。
「お!あった~!ありました!石像かと思ったら、岩を彫ってあるんですね」
鎌倉時代に造立された「磨崖和霊石地蔵」。満潮時には地蔵の肩まで海に沈み、干潮時には全身が現れるという。
海に向かって鎮座するお地蔵さんへ、辰已アナは手を合わせた。
「きょうは佐木島ロケでおじゃまします!」
そして、期待を胸に島を歩き始めた。
蝉の声が響き、海風が吹いてくる。強い日差しの下を歩くと、夏らしい空気が感じられた。
静かな島の道を、軽トラックが1台、通り過ぎていく。そんな中、ほうきを手に掃除をする男性を見つけた。
初めての島で“出会いの予感”的中!
「あ!お兄さんがいました。こんにちは!」
首からタオルをかけたその男性は、鴨木皓平さん(28)。辰已アナが近づいて声をかける。
「今、何をされているんですか」
「あの先がコテージなんですけど、僕が管理しているのでアプローチを掃除していました」
鴨木さんは佐木島に住んでいるわけではなく、本土から通ってコテージを運営しているという。
刈った草で、ゴミ袋はいっぱいになっていた。
「暑そうですね…」
「暑いです。カメラですか、これ?」
こんな偶然の出会いから、思いがけずコテージを見せてもらえることに。
「奥の2つがうちのコテージです」
入り口に広がるのは、乾いた土地に植物を配置したドライガーデン。その一角に、「aoiouchi(アオイオウチ)」「rocozen(ロコウゼン)」と記された看板がある。
「aoiouchi」はその名の通り、鮮やかな水色の外観が目を引くコテージ。白い屋根付きのテラスも設けられ、青空とのコントラストが印象的だ。
隣には、もう1つのコテージ「rocozen」がたたずむ。
「元々、建物自体はあったんですけど、手入れされていない状態だったのをきれいにしました」
丸太のぬくもりに包まれる空間で
今回は「aoiouchi」へおじゃますることに。急きょコテージの中を整えてもらい、「お待たせしました!」と言って鴨木さんが再び外へ出てきた。
「おじゃまします」
白い扉の向こうには、外観とはまた違った雰囲気が広がっていた。
「すごいですよ、これは!うわぁ~!」
丸太を組んだ壁や高い天井が印象的な室内。ソファやテーブルなどの家具も配置され、木の温もりと、現代的なデザインが組み合わされた空間になっている。元のログハウスの雰囲気を生かしながら、床を張り替えたり、新たにカウンターを設けたりして改装したという。
辰已アナから、思わずこんな一言が飛び出した。
「老後、住みたいです」
ハンモックに揺られ、夜はバーベキュー
寝室を案内してもらうと、そこにもこだわりが。
「うわぁ、おしゃれ~。改装、大成功じゃないですか!」
「すごい時間がかかりましたね。このベッドも後からつけて」
さらに階段を上がるとロフトがあり、大きなハンモックが吊るされている。さっそくハンモックに体をうずめる辰已アナ。その様子を見ながら、鴨木さんが笑顔で話す。
「泊まったお子さんとかも、ずっとロフトにいたりしますね」
「やっぱりご家族連れが多いですか?」
「そうですね。ご家族連れで、夜には外でバーベキューをする人が結構おられます」
テラスにはバーベキュー台を置ける広さがあり、コテージから少し歩けば海もある。
「すごく静かなんで、デトックスにもなる場所です」
島の静けさと海、そしてログハウス。夏を楽しむにはぴったりの場所だ。
「私、きょう初めて佐木島に来て、まさかこんな素敵なコテージがあるとは…」
よみがえる亡き祖父との思い出
実は、この場所には鴨木さんにとって特別な思い出があった。
もともと祖父が管理していたログハウス。幼いころから祖父に連れてきてもらい、釣りをしたり、バーベキューをしたり。鴨木さんにとって、佐木島で過ごした思い出が詰まった場所だった。
しかし祖父が年をとって管理できなくなると、草が生い茂り、建物は野ざらしに。そして祖父が亡くなったタイミングで、この場所を売る話も出た。
「ここに対する祖父の思い入れも知っていたので、せっかくだから僕がきれいにして宿泊業をやりたいと言って、やらせてもらいました」
鴨木さんは建物を改装し、2026年2月にコテージをオープンさせた。
そんな話の途中、見せてくれたのは28年前に撮影された1枚の写真。まだ赤ちゃんだった鴨木さんを抱く祖父の姿が写っている。
すると突然、辰已アナが写真と同じ場所にソファを動かし始めた。
「ここですよね!ちょっと座っていただけますか」
鴨木さんが腰掛け、当時を再現するように赤ちゃんを抱くポーズを取る。
「ここに僕がいたんです」
28年前の思い出が残る場所は、今では家族連れなどが訪れる宿泊施設に生まれ変わった。
「28年、すごいですね!大きくなられて…」
辰已アナがそう言うと、鴨木さんは笑いながら答えた。
「多分、おじいちゃんも喜んでます」
祖父との思い出が残るログハウスを、自らの手でよみがえらせた鴨木さん。青空の下にたたずむ2つのコテージは今、佐木島の新たな魅力となっている。
【参考】
料金:平日4人利用の場合、1人1万1375円~(曜日・季節・利用人数によって変動あり)
予約:公式ホームページなどから予約可能
詳細:Instagramで「unodo(ウノド)」を検索
(テレビ新広島)

