猛烈な暑さの中、熊本地震の避難所の生活環境を改善し、災害関連死を防ごうとシャワーユニットを届ける富山の起業家に密着しました。

地震発生から2週間が経った熊本県熊本市。避難所に富山県高岡市在住の中林秀仁さんの姿がありました。

中林さんは、大手ゼネコン、清水建設の下で去年4月、設立したスタートアップ企業、シェルターワンの共同創業者。

先に現地入りしていた児島功さんと合流したのが熊本市の避難所です。

*シェルターワン 中林秀仁
「今から大阪のメーカーのシャワーユニットをこちらに設置します」

シェルターワンは避難所に必要な資機材を自治体に代わっていち早く展開することで災害関連死ゼロを目指すビジネスモデルの確立を急いでいます。

さっそく運び込まれたのは連携する大阪の企業が開発したシャワーユニット。

*コインシャワーメーカータニモト(大阪) 谷本年春会長
「コンテナでつくったらこのようになるという見本」

実際に使うための給排水設備は、地元の専門業者がこの日に合わせて工事を完了していました。

*配管業者HACCYOU 市川彩子さん 
「10年前は2か月後に(市から)話が来たと聞いている。今回は地震後2週間、だいぶ早い」

*シェルターワン 中林秀仁取締役
「それをもっと早くして3日目くらいから使えるようになったらいい。本当は熊本県内、九州各地の備蓄基地に何セットもあって、起きたらすぐに出動。プロが運んで設置して使えるところまでもっていく、モノを送るだけではできない。市の人にやってと言ってもできない。我々は発注がないと動けない。その間を縮めたい」

災害対応で手一杯になる被災自治体の負担を広域支援で肩代わりする、それがシェルターワンが構築を進める新たなモデルです。

*シェルターワン 児島功社長
「バッチリです。温かいお湯も出ています」

*避難者
「薄っぺらい、ヨガに使うような(マットを敷いて寝ていた)」

Qどのくらい雑魚寝?
「4、5日経ってから段ボールベッドが届いて職員が作ってくれた」

*避難者       
「家は何とか住める状況。なにせ一人でいるから不安。常に揺れている感覚。非常に不安になってここに来ました」

地震発生から2週間、ここでは、20人あまりがいつまで続くかも見通せない避難生活を続けていました。

*熊本市中央区まちづくりセンター大江交流室 松崎智樹室長
「今は避難者にパーティションのテントの中にエアベッドと簡易型ベッドを備え付けて避難をしていただいています」

(Q)こちらは朝ご飯?
「そうですね、昼や朝、利用いただいている、夕飯は弁当を配布」

(Q)トイレは?
「特に何も無かったので…」

*避難者  
「気持ちよかった本当にありがたい。おかげでスッキリした」

シェルターワン 中林秀仁取締役
「よかったという笑顔、感想が聞けて本当によかった」

今回、熊本市は災害救助法の適用について事前に国と協議し、費用面の裏付けを得てシェルターワンに発注しました。

今回の地震で熊本市は死者ゼロ。

大西一史市長は、官民連携の新たなカタチとして、全国のモデルになると話します。

*熊本市 大西一史市長
「こういう設備もすべての自治体が揃えるのは無理。いざ(災害が)あった時にみんなが助け合いながら、持ち寄りながら、広域的に災害対応できる体制をつくるのが非常に重要。今回の熊本地震の教訓、課題、できたことも含めて(10年前の熊本地震より)かなりアップデートされている、防災庁にしっかり参考にしていただければ」

スタジオには取材にあたった福島記者です。

被災自治体が手一杯になるのは災害対応の中心的な役割を市町村が担うと定めた災害対策基本法の宿命的な課題で、だからこそ私たちも自助や共助が求められているんですが、今回、シャワーユニットだけとは言え、被災した熊本市で実際に展開できたことは小さくも大きな一歩だと思います。

シェルターワンにとっては去年4月の設立以降、初めての実践となったわけですがそれには、こんな理由があるんです。

今年5月。熊本市の公園に次々と到着したトラック、その中に…。

はい、今回、熊本市の避難所で展開された今はまだ全国で唯一つ、大阪のメーカーが開発したあのシャワーユニットです。

実は10年前の地震を教訓に災害関連死を無くそうと熊本市が主催した訓練、その企画・運営をシェルターワンが担っていたんです。

「TKB48避難所訓練」と言いまして、Tはトイレ、Kはキッチン、温かい食事ですね、そして、Bは、雑魚寝を防ぐベッド、それらを災害発生から48時間以内に避難所に運び込んで展開するというものです。

こちらは避難所・避難生活学会の水谷嘉浩代表理事。

*避難所・避難生活学会(訓練のアドバイザー) 水谷嘉浩代表理事
「理想形をやってみた、繰り返す、続けないと変わるは難しい」

TKB48の名付け親なんですが、シェルターワンはそれを具現化する言わば、実働部隊なんですね。

10年前の地震では、熊本市民63人が災害関連死で命を落としているんです。

熊本市の死者69人うち、災害関連死63人避難所で、命を守るために民間の力を貸してほしい、今回、シェルターワンに白羽の矢が立ったのはこの訓練があったからです。

*熊本市防災対策課 村上栄治さん
「訓練の準備を相当前からやって密に連絡を取り合う関係にあった。発災直後からシェルターワンの名前は浮かんでいた。相談して(避難所の)生活空間の確保に協力いただいている」

地震発生の直後から被災地に入っていたシェルターワンの児島社長。

*シェルターワン 児島功社長
「(熊本市より)被害の大きかった自治体に支援のオファーをした、普段からの関係性がないことがネックになったのか、支援の要請をいただけなかった。これが受援力の弱さに繋がっている。これが一番の今回の災害の課題」

被害が大きければ大きいほど支援が必要になりますが、逆に受け入れが困難になるジレンマ、解消の手だては?

はい、今回のシェルターワンの取り組みに一つの答えがあると思います。訓練です。

熊本市は今年5月の訓練を通してシェルターワンと顔の見える関係が構築でき、その力を分かっていたことから支援を要請することができました。

県も被害が大きくなればなるほど公助の限界が露呈する自治体にとって、受援力を高めるための訓練は必要だとしています。

富山テレビ
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