7月に発生した熊本地震を受け、被災地にいち早く食事を届けようと、各地のキッチンカーが駆けつけています。
この時期、お祭りなどでよく見かけるキッチンカーですが、福井県内でも、災害時の新たな支援のかたちとして、キッチンカーを活用する仕組みづくりが始まっています。
7月28日に発生した熊本地震。断水などの影響が残る被災地で課題となっているのが、食事が菓子パンやおむすびなどの炭水化物に偏ることによる栄養不足です。同じ食事が続くことによるストレスに対する、被災者の心のケアも重要です。
田丸萌夕希アナウンサー:
「お祭りやイベントで活躍するキッチンカーは、店舗がない場所でも、できたての温かい食事を提供できるのが魅力です」
こうしたことから、キッチンカーに新たな役割が期待されています。今回の熊本地震では、県外からもキッチンカーが駆け付け、温かい食事を届ける光景が見られました。
福井県内のキッチンカーでつくる協会の会長を務める、佐々木周我さんに、キッチンカーの中を見せてもらいました。
「フライヤーが4台あって、鉄板もある。キッチン設備は全部ガスです」(佐々木さん)
調理にはガスを使い発電機も備えています。そのため、ライフラインが復旧していない場所でも調理することができ「唐揚げだと1000食以上は作ることができる」そうです。
佐々木さんによれば「もちろん食材を積むが、それとは別のスペースに、依頼があれば物資も載せて行ける」といいます。
場所を選ばず出来立ての温かい食事を提供できるキッチンカーの強みを災害時にも生かそうと、県内でも取り組みが進んでいます。
県キッチンカー協会は去年、鯖江市と災害時の支援に関する協定を結びました。
「市から、例えば『200世帯あるから200食うどんを持ってきてください』など具体的な要請を受けることができる。市から優先車両として要請してもらうので、一般車両が通れないところでも、スムーズに被災地まで行ける」(佐々木さん)
協定では、行政が食事を必要としている場所や数などの情報を提供することが定められています。支援が必要とされている所へ、よりスムーズに向かうことができるのです。
さらに、災害時には「優先車両」として扱われ、炊き出しにかかる費用の一部補助も盛り込まれています。
実際に佐々木さんは、能登半島地震の際にもキッチンカーで被災地に出向き、炊き出しを行いました。
そこで感じたのが、行政と連携することの重要性だったといいます。
「その時は協定を結んでいなかったので、石川県や金沢市に問い合わせをしたが『それどころではない』という感じだったので、協定を結んでいたらスムーズにルートを共有してもらえていたのかなと思う。大きい車は道が壊れていて通れず通行の妨げになることもあるので、行政と密に情報を交換する必要がある」(佐々木さん)
どの道を通って行き、どこにどれだけの食事を届ける必要があるのか。キッチンカーの機動力を災害時に生かすためには、行政との情報共有が欠かせないといいます。
その上で佐々木会長は、キッチンカーによる炊き出しが被災者の”心のよりどころ”になると実感しています。「穴水のほうにも行ったが、仮設住宅の人たちに『久しぶり~』みたいな交流の場が出来たのはすごく良かったと思う」
県キッチンカー協会は今後、年内に県や福井市との協定締結も予定しています。
心も温めるきっかけになる、温かい食事。災害時のコミュニティーを豊かにするためにも、キッチンカーを災害支援に生かす取り組みが、県内でも広がっています。
