飲水量を把握している飼い主は4割
私も共著者として関わった研究を一つ紹介しましょう。日本動物看護学会(2023)で報告された猫の普段の飲水状況に関する飼育者アンケートでは、猫は「とてもよく飲む」が25.0%、「まあまあ飲む」が59.5%で、8割以上の飼い主が「愛猫は水を飲めている」と感じていました。
一方で、「水分摂取は重要」と回答した飼い主は100%だったにもかかわらず、実際に毎日の飲水量を把握していた飼い主は41.3%にとどまり、半数以下でした。
また、水分摂取について動物病院スタッフへ相談した経験がある飼い主は26.2%に過ぎませんでした。しかし、相談経験がある飼い主ほど飲水量を把握している傾向があり、両者には有意な関連が認められています。
この結果からは、「猫はちゃんと水を飲んでいるだろう」という安心感から、実際の飲水量を測定したり、獣医療スタッフへ相談したりする機会が少ないことがうかがえます。
アンケートでは、64.7%の飼い主が何らかの飲水対策を行っていました。その理由として最も多かったのは泌尿器疾患の予防(67.5%)で、続いて脱水症予防、熱中症予防が挙げられています。
しかし、対策をしていても、「適切な飲水量はどれくらいか」「本当に十分飲めているか」を判断できている飼い主は決して多くありません。愛猫の健康を守るためには、水を置くだけでなく、「どれくらい飲んでいるか」を知ることも重要です。
必要な水分量の計算方法
最後に、猫さんに必要な1日の水分量の計算方法をご紹介します。実は、猫さんの1日に必要なカロリー計算と同じです。少し難しいですが、電卓でも計算できます。その計算式を下記に示します。
1日に必要な水分量(mL)=1.2×70×体重(kg)の0.75乗
難しそうですが、安心してください。電卓で計算する場合、体重×体重×体重をはじめに計算してください。次に「√」ボタンを2回押してください(携帯電話など計算式が打ち込めるアプリなら、「√√(体重×体重×体重)」かもしれません)。その結果に1.2と70をかけると、1日に必要な水分量を計算できます。例えば、体重4kgの猫さんなら、約237.6mLとなると思います。
一つ注意していただきたいのは、必要な水分量=飲水量ではないということです。この必要な水分量の中には食事中の水分や脂肪をエネルギーにした時に発生するお水も含まれています。
脂肪1gあたり約1mLの水が発生するそうです。食事中に含まれる水分を考慮しても、カリカリだけでも20mLくらいのお水を確保できるかもしれませんね。ウェットフードなら、もっと得られます。この食事から得られる水分も加味して、1日の必要な飲水量を確保してあげてくださいね。

