大阪府大東市と奈良市を結ぶ阪奈道路で、深夜に響きわたる“暴走車”の爆音が止まりません。しかしこれは、今に始まった話ではありません。
長年にわたって地域住民を悩ませてるなか、大阪府警は20代から40代の男女38人を一斉検挙しました。
なぜ危険な暴走はなくならないのか。そして、”走り屋”たちの身勝手な言い分とは。
関西テレビ「newsランナー」の取材班が”走り屋の聖地”の実態に迫りました。
■一斉検挙の背景 府警が公開した衝撃の映像
13日、大阪府警は暴走族の検挙に合わせて、一連の取締りで撮影した動画を公開しました。
映像には、何台もの車が片側二車線のセンターラインを無視して猛スピードで走り去る様子が映し出されています。
去年8月からおよそ1カ月間実施した取締りで検挙されたのは、20代から40代までの男女計38人。般道路を”サーキット”に見立て、危険な集団暴走をしたなどの疑いがもたれています。
■なぜ阪奈道路が”聖地”になったのか
彼らが暴走行為をしていたのが阪奈道路です。
阪奈道路は、大阪府大東市と奈良県奈良市を結ぶ一般道路で、1959年に開通した主要幹線道路です。
大阪と奈良の県境を越える山道には、急こう配に加えてヘアピンカーブが連続します。
さらに、阪奈道路は片側二車線。対向車線と隣り合う区間には中央分離帯が設けられており、対向車との衝突リスクが低い構造になっています。
こうした道路環境が、”走り屋”にとって魅力的な条件として映っているとみられます。実際、カーブの縁石には無数の傷跡が残されていました。
■「マッハ族」から「走り屋」へ 数十年続く負の歴史
阪奈道路では長年、暴走行為が問題となってきました。
関西テレビには、阪奈道路や六甲山などで暴走行為を繰り返していた「マッハ族」や「カミナリ族」と呼ばれる暴走族の映像が残されています。
その後、「ローリング族」と呼ばれる暴走族が相次いで現れ、死亡事故も後を絶たない状況に陥りました。
1987年6月の映像には、警察官が「何やってるんだここで、早く出て行け!」と怒声を上げる場面も記録されています。
警察はたびたび取り締まりを行ってきましたが、いわゆる”いたちごっこ”が続いてきたのです。
■住民の声「慣れてるだけで、よくなってない」
長年この地域に暮らす住民たちも、頭を抱えています。
20年以上前からこの周辺に住む人は、「うるさいので110番して『注意してください』という電話は何回かかけてますね。寝られないぐらい。夜中2時ぐらいになったら、ちょっとマシになるかな」と話しました。
さらに深刻なのは、30年以上前からこの地域に住む別の住民の声です。
「ものすごくやかましい」と述べた上で、状況が改善しているかを問われると、「なってないなってない。こっち側が慣れてるだけの話で。金曜の夜から日曜にかけて。今でも」と答えました。
毎週のように暴走行為が繰り返されているというのです。
■制限速度40キロの道を170キロで
取材班は実態を確認するため、週末の深夜に現場へ向かいました。
午後10時41分。早速、轟音が響きわたります。
【記者リポート】「かなり大きな音を立てて、バイクが次々と走り去っていきます」
わずか2分後にはまた別のバイクが阪奈道路へと入っていきました。
この道の制限速度は時速40キロ。しかし午前0時43分、記者が「わわわわわ、怖い!怖すぎる…」と声を上げました。制限速度を守っているようには到底見えない走行が続いています。
■走り屋の言い分「昔の伝統」
取材班は近くのコンビニエンスストアにたむろしていた“走り屋”(20代)に話を聞くことができました。
「時速170キロぐらい出してますよ。警察いないっすもん」と語り、時速40キロの制限があることを指摘すると「あ、制限あるんですか?」と平然と返しました。
走り続ける理由については「ストレス発散ですかね」。
周辺に住宅が多いことを伝えると、「騒音は迷惑とは思いますけど、でも楽しみたい。昔の伝統というのがいいかなと思います」と言い放ちました。
■専門家の見解「取り締まり強化が必要」
こうした心理について、犯罪心理学の専門家は次のように指摘します。
【東京未来大学・出口保行教授】「警察に捕まることを恐れない人はいないが、いきなり重罪に問われることはない。だから違法性があることも、案外やりやすくなってしまう。ただ、本人たちの想像を超えた最悪の結果が当然あるので、取り締まりを強化していくと」
地域の平穏を脅かす危険な暴走行為は、いつの時代も許されるものではありません。
(関西テレビ「newsランナー」2026年8月13日放送)
