東京都心と伊豆諸島を結ぶ客船などを運航する東海汽船で、乗組員による酒気帯び勤務など複数の違反行為が確認され、国土交通省が事業停止処分などを命じる方針であることが分かった。離島航路の運航停止となれば、住民の移動や物資輸送に大きな影響が及ぶ可能性があり、島民の間に不安の声が広がっている。
国交省が事業停止処分命じる方針
5日の昼過ぎ、東京の離島・伊豆大島の港に入ってきた定期船には、夏休みシーズンとあって、多くの観光客のほか、両手に荷物を持った島民の姿が見られた。

その定期船の運航にあたり、乗組員がお酒を飲んで乗務するなどの違反行為が発覚。それにより、船の運航がストップする可能性が浮上している。
問題が指摘されているのは、東京都心と離島を結ぶ客船などを運航する「東海汽船」だ。

国土交通省によると、2026年に入って関東運輸局が監査を行ったところ、複数の船で乗組員の酒気帯び状態での勤務やアルコール検査の身代わり、さらに、旅客の乗船口を閉鎖せずに運航するなどの違反行為が確認されたことから、国交省が東海汽船に事業停止処分などを命じる方針であることが分かった。

東海汽船は東京などから大島や三宅島、八丈島といった伊豆諸島の島々への定期客船を運航している。
東京~伊豆大島間の所要時間は大型船で約6時間、ジェット船では最短1時間45分だ。

静岡と利島などを結ぶ別会社の定期船はあるが、伊豆大島を行き来する船は東海汽船のみ。
もし、事業停止となれば死活問題だと島民は話す。

島民:
(Q. 島民にとって船は?)命の次くらい(大事)。(島に)病院が1つしかなくて、手術とかできないとみんな東京に出る。(私は)少なくとも(月)1回は出かける、いろんな用事で。
島民:
飛行機もあるけど病院、年配の方がいっぱいいて(病院が)大変かな。
事業継続にも大きな影響の恐れ
定期船は島民の移動手段としてだけでなく、生活物資の輸送なども担っていることから、島民にとってはまさに生命線だ。

島の洋菓子店からは、原材料の入荷を心配する声が聞かれた。

シャロン洋菓子店・高野創太さん:
島の中で自給できるものではないので、ケーキの材料は、ほとんどが仕入れ。フレッシュな生クリームや果物が長い期間止まってしまうと出せなくなる商品も出てくる。

定期船の運航停止は、離島での生活や事業継続にも大きな影響を及ぼす恐れがある。
利用者の中には、「島にパートナーがいて、定期的に会いにきてる。それで会いにきた。2週間ぶりですね」という人もいた。
処分軽減されるケースも
東海汽船は、2025年4月にも旅客避難などの教育訓練を修了していない乗組員を働かせたなどとして、安全確保命令を受けている。

すでに事業停止命令の違反点数に達していて、8月、処分への弁明や意見を聴く「聴聞」を行ったうえで、正式に処分が下されるという。

一方で離島航路など、地域住民の交通に障害が生じる場合は、適切な改善計画を実行することを条件に、処分が船の一部停止に軽減されるケースもある。

東海汽船はホームページ上で、定期船の利用者や関係者に謝罪し、「原因の究明や再発防止に向け、外部の専門家で構成される調査委員会で調査を行い、結果を踏まえ、改善計画の策定を進めます」とコメントしている。

そのうえで、今後、新たに公表すべき事項が生じた場合には、速やかに公表するとしている。
(「イット!」8月5日放送より)

