熊本地震の発生から8月4日で1週間が経過した。震源から離れた鹿児島でも、交通網の寸断が人々の暮らしや商売に深刻な影を落としている。「売り上げが半分ぐらいになった」と嘆くタクシー運転手、「キャンセルが20件以上」と話す飲食店——現場を歩くと、物と人の流れが確かに変わっていた。
九州新幹線、熊本以南は8月中の再開困難
九州新幹線は鹿児島中央駅から熊本駅の間で運転見合わせが続いている。JR九州は新水俣駅と鹿児島中央駅の間の運行再開に向けた検討を進めているが、新水俣駅から熊本駅の間については、8月中の再開は困難な見込みだ。

九州自動車道も、熊本県の松橋インターチェンジと宮崎県のえびのインターチェンジの間で通行止めが続いている。NEXCO西日本は4日、8月後半にも通行止めを解除できる見込みと発表した。ただし、状況によっては車両の通行を制限する場合もあるという。
陸の大動脈が二重に断たれた格好となり、その影響は鹿児島市内にもじわじわと広がっている。
タクシー売り上げは「3分の2から半分」に
「鹿児島の陸の玄関口」とも呼ばれる鹿児島中央駅前。例年の夏休みであれば観光客で賑わうはずのタクシー乗り場に、地震後は人の姿がまばらだ。
個人タクシーを営む馬込道治さんは、地震後の変化をこう語る。「県外からお客さんが入って来ないので私たちの一日の稼働回数も全然違ってきた」。売り上げへの影響を尋ねると、「3分の2から半分ぐらいですね」との答えが返ってきた。

駅前にある観光案内所にも異変が出ている。鹿児島市観光振興課によると、地震後の7月30日から8月2日までの4日間に案内所を訪れたのは761人で、2025年と比べて約25パーセント減少しているという。
「8時間かかる」と聞き、急きょ臨時便を予約
交通の乱れは観光客の旅程にも大きな変化を強いている。群馬県から来た観光客は、福岡で一泊した後、新幹線で鹿児島に向かう予定だったが、不通のため断念。「新幹線が不通ですから…。車での東回りルートも聞いたが『全部で8時間ぐらいかかる』と言われた」と振り返る。

その場でスマートフォンを調べると、日本航空が福岡—鹿児島間に臨時便を運航していることがわかった。「すぐその場で(臨時便を)取ったら取れた。ちょっと高かったですけど」と苦笑いしながら話してくれた。臨時便という"抜け道"で何とか目的地にたどり着いたものの、予定外の出費を強いられる形となった。
飲食店の予約は例年比5割以上減、お盆への不安も
鹿児島中央駅近くにある飲食店「八幡」は、鹿児島の焼酎や郷土料理を楽しめる店として知られる。通常の夏休み期間は県外からの客が多いというが、地震後は状況が一変した。
店を営む小羽龍之介さんによると、把握しているだけでキャンセルは20件以上に上るという。「交通の影響で『鹿児島まで行くことができません』と連絡をもらって」と肩を落とす。さらに深刻なのはこれからだ。お盆期間の予約状況を聞くと、「例年と比べ5割以上減っている」との答えが返ってきた。書き入れ時を前に、地域の飲食業者には厳しい夏となりそうだ。

交通網の回復が、地域の日常を取り戻す鍵に
新幹線の全線再開は8月中には見込めず、九州自動車道の通行止めも解除は8月後半の見通しだ。その間、鹿児島への人の流れと物の流れの停滞は続く。タクシーの稼働、観光案内所への来訪者数、飲食店への予約——いずれの数字も、交通網の正常化なしには回復が難しい現実を示している。
地震による地域社会への影響はじわりと続いている。
【動画で見る▶【熊本地震から1週間】新幹線不通で飲食店、タクシー苦難 鹿児島中央駅周辺は?】

