来年4月から食品の消費税率を8%から1%に引き下げる方針が示され、家計負担の軽減効果に期待が高まっている。一方で、企業による値上げで効果が薄れる可能性や、2年後に税率を戻す際の負担増を懸念する声もあり、制度設計や財源をめぐる議論が続いている。
高市総理が表明した来年4月からの食品の消費税の引き下げが、私たちの暮らしや家計にどれくらいの恩恵があるのか。
智田裕一解説副委員長に聞いていく。
まずはどういったものが減税の対象となるのか改めて見ていく。

現在、消費税率は2つ、8%の「軽減税率」と10%の「標準税率」が存在する。
8%の軽減税率は、米やお肉、魚などの飲食料品、そしてテイクアウトや持ち帰りの弁当などが対象だ。
一方で、10%の標準税率はレストランなどでの外食、そして酒などが対象。
この2つのうち、2027年4月に1%に引き下げられるのは、8%の「軽減税率」の方だ。

これがどれくらい家計に恩恵があるのか。
2人以上世帯の負担軽減額を以下に記載する。
【世帯年収別の負担軽減額】
(みずほ総合研究所試算)
■ 年収300万円未満
4万6335円
■ 年収400万~500万円
5万4426円
■ 年収700万~800万円
5万6016円
■ 年収1000万円以上
6万5308円
家計にとっては嬉しいものだが、異論が出ている実態もある。

智田裕一解説副委員長:
減税の裏付けとなるこの財源を具体的にどうするのか、明確に示せないままということに加え、引き下げ後に、2年後に本当に元の税率に戻すことができるのかについて、やはり国民の負担額が大きく、事実上の増税とも捉えられるとして、疑問の声が上がっていたことなどがある。
では、具体的にどれくらい消費者に還元されるのか。

実際に食品の消費税が1%に引き下げられたとした場合、500円の商品を購入しようとすると8%の税率が乗ってくる。価格は「540円」の表示になる。
これが1%に変わると500円の1%で「505円」の表示になるということだ。

しかし、1%の税率になったとしても、今回の減税を機に、500円だった本体価格が「520円」に値上げされ、そこに1%分が乗り「525円」といった店頭表示も出てくる可能性があるのだ。
智田裕一解説副委員長:
企業側としては、人件費とか原材料費とか物流費などが高騰している中で、本体価格そのものを引き上げた形というわけです。

ABC経済研究所代表エコノミスト、熊野英生氏は「減税に重ね合わせた企業の値上げで相殺されてしまい、結果的に店頭価格は期待ほど下がらない可能性もある」「減税前の2027年1月から3月頃に値上げが活発化するのでは」と指摘している。
智田裕一解説副委員長:
企業側としても、最近の中東情勢の影響で、容器とか包装資材などが値上がりして、収益を圧迫されるケースも増えている。円安による輸入品価格の値上がりも加わって、商品価格を上げるのもやむを得ないという企業も増えている。

高市総理は30日、「2年後に責任を持って税率を元に戻す」としているが、戻した場合、より大きな負担になってしまうかもしれないという課題がある。
智田裕一解説副委員長:
減税の際に商品の本体価格を引き上げた場合に、次に税率を戻す時には、税込みの価格が減税前よりも高くなっている可能性がある。さらに、減税されている間に物価上昇が続いていると、2年後に税率を戻した時に物価が高くなって、さらに税金も上がり、家計への打撃が大きくなることもあり得るというわけです。
食品への減税は家計を支援する政策として期待が集まる一方、その効果や持続性には不透明な部分も残る。
減税が実際にどこまで消費者の負担軽減につながるのか、今後の物価動向や企業の価格設定が焦点となりそうだ。
(「イット!」7月31日放送より)

