AIを使った“なりすまし面接”とみられる事例が波紋を広げている。
オンライン面接で、就職志願者が社名を間違えたほか、口の動きのズレや応答の遅れなど複数の違和感に面接官が気づいた。
専門家は、生成AIを悪用して企業への就職を試みる事例が世界各地で発生しており、その背後に北朝鮮の活動がある可能性を指摘している。
「ご自身がお話ししています」面接官が見抜いた“違和感”
「人生で初めてAIが面接に来ました」
とある企業のそんな発信が波紋を広げている。

AIを使った“なりすまし”とみられる志願者について、面接官が感じた異変。

“就職志願者”:
シーオーエルオーさんは2023年4月に設立されて、主にエンタメ領域でAI翻訳や…。

オンライン面接で志願者が志望動機を語り始めると、面接官はすぐさま頬杖をつき、いぶかしげな表情を浮かべた。
面接に応じた原田さんがこの時の状況について語った。

KOWLO 原田祐二代表:
(私が)そちらから自己紹介もお願いしていいですか?と振った後に、まず会社名を間違えている。(弊社は)KOWRO(コヲロ)という会社なんですが。

AIを活用したエンタメ事業を展開するこの会社名はKOWRO(コヲロ)。
ところが、志願者はなぜか実際の会社名とは読みが似ても似つかないシーオーエルオー(COLO)と話していた。

原田さんの会社では日常からAIを活用しているため、この人物の読み間違いがAI独特のものであることに気づいたという。

KOWLO 原田祐二代表:
ああいう固有名詞の言い間違いというのは、結構AIはよくあるんです。僕が「コヲロ」と言っているのを、「COLOかな」と勝手に文字列変換している状態になっていて。
そんな原田さんの違和感に気づくことなく、志願者は志望動機や自己PRを淀みなく語り続けた。原田さんは、話す言葉と目や口の動きが全く合っていないことにも気づいていた。

そして、話し続ける志願者に「すみません」と声をかけるが、その呼びかけにも応じない。
改めて相手を制止させると…。

KOWLO 原田祐二代表:
ちょっといいですか?
“就職志願者”:
…。

KOWLO 原田祐二代表:
あ、しゃべってもいいですか?
“就職志願者”:
はいどうぞ。何かご質問でしょうか?
この短いやりとりにも違和感を覚えたという。

KOWLO 原田祐二代表:
私が問いかけてから次のレスポンスが来るまでに結構ラグがあって。
我々もAIを扱っているので分かるんですが、返答を作るのにちょっと時間がかかります。
その間かなって思いながら聞いておりました。
そして、相手が「AIによるなりすまし」だと確信を持てたのは、この後のやりとりだったという。

KOWLO 原田祐二代表:
なんか映像としゃべっているのが全然一致してないですけど、 大丈夫ですか?

“就職志願者”:
少し通信の遅延があるのかもしれませんが、僕の方は問題なく聞こえています。
音声がずれている感じでしょうか。もしそうでしたら通信環境の影響かもしれませんね。

KOWLO 原田祐二代表:
今AIか何かでしゃべらせているように聞こえるんですけど、 そういう状態で面談できないので、もしそういう感じであれば、ちょっと終了したいんですが。

“就職志願者”:
いいえ、AIは使っていません。ご自身が直接お話ししています。
KOWLO 原田祐二代表:
「ご自身」とか自分であんまり言わないですよね。

自分のことを「ご自身がお話ししています」と語る志願者を見て、 原田さんはここで面接を打ち切った。

KOWLO 原田祐二代表:
人を騙すのに使うのは良くないですよね。私も時間を奪われてますし。
今回面接を受けた人物が、AIによるなりすましかは確定していない。
世界で相次ぐAI悪用の“なりすまし面接”
ITジャーナリストの三上さんは、AIを悪用したなりすましのオンライン面接の事例は最近、世界各地で発生していると指摘。そして、その背後に北朝鮮があるとも話す。

ITジャーナリスト・三上洋さん:
ここ2、3年ですね。北朝鮮技術者のニセIT人材が世界中の企業に潜入しようという例が多数出ています。(生成AIを使って)自分の顔や声を騙して相手に見せて、そして実際にIT開発の仕事をする。
そのお金を(北朝鮮に)入れたり、就職することでそこの企業の機密情報を盗み取ろうとしているんです。

こうした動きは日本政府も把握していて、外務省はホームページなどで注意喚起をしている。
(「イット!」9月15日放送より)

