鹿児島県と鹿児島大学が、AIを活用して漁場を事前に予測するシステムを共同開発し、県内の漁業者に無償で提供すると発表した。「広大な鹿児島の海域をやみくもに走るのは油を無駄に使ってしまう」——現場の研究者がそう語るように、このシステムは漁師たちの燃油コストを大幅に削減し、効率的な漁業を実現する切り札として期待されている。
ゴマサバの漁場をAIが予測、8月サービス開始へ
7月27日、県水産技術開発センターと鹿児島大学は合同で記者会見を開き、共同開発したAIによる漁場予測システムを発表した。
このシステムは、ゴマサバの過去の漁獲量データと、当時の水温や塩分といった海洋環境データを組み合わせ、ゴマサバがとれやすい漁場を事前に予測するものだ。漁師が広大な海域を無計画に航行する必要がなくなることで、燃油の無駄遣いを抑え、効率的な漁獲が可能になる。サービスは8月中にも開始される予定で、県内の漁業者であれば誰でも無料で利用できる。

県水産技術開発センターの湯ノ口亮主任研究員は「効率的な漁獲をするために漁場選択が非常に重要」と語り、AIの活用が鹿児島の漁業現場にとって実質的な意味を持つと強調した。
すでに114漁業者が活用、燃油費3割削減の実績
実は、AIを活用したスマート漁業の取り組みは今回が初めてではない。ブリの稚魚・モジャコの漁に欠かせない海藻の漂着場所を予測する「流れ藻マップ」は、すでに2年前に開発済みだ。

現在、県内114の漁業者がこの流れ藻マップを活用しており、利用者へのアンケートによる推定では、燃油費を約3割削減できているという。広い海域をくまなく探し回る手間が省けるだけでなく、コスト面でも大きな恩恵をもたらしていることが、実績として示されている。
「漁師に安心して使ってもらえるように」、無料での提供を継続
今後の展望について、鹿児島大学水産学部の小針統教授は次のように語った。
「鹿児島県に特化した仕組みを作っているので、その強みを生かして、漁業者と連携しながら、どんどん良いものを作っていく。できれば漁師たちに安心して使ってもらえるように、無料でこのまま使ってもらえるよう努力を重ねていく」

研究チームは今後、予測精度のさらなる向上を図るとともに、ゴマサバ以外の魚種への展開も視野に入れて開発を進めていく方針だ。地域の漁業者と大学・行政が一体となって育てるこの仕組みが、鹿児島の漁業を支える新たな基盤となっていきそうだ。
【動画で見る▶県と鹿児島大学が共同開発 AIによる漁場予測 稼ぐ漁業へ】

