連日の猛暑で昼間の外出を敬遠する人が増えるなか、夕方以降に活動する「夜活」が新たなライフスタイルとして注目されています。
ナイトプール、夜間営業の水族館、さらには“ナイトファーム”まで、猛暑を逆手にとった夜のコンテンツが各地で拡大。
一方、経済専門家は人手不足などの課題も指摘します。
さらに、熱帯夜が続く今、夜間のエアコン活用法も改めて問われています。
■「暑すぎて売れない」かき氷
ことしの夏も各地で猛暑日が続き、40度を超える”酷暑日”を記録する地域まで現れました。
直感的には、こんな暑い日こそかき氷が売れそうです。ところが、あるかき氷キッチンカーの担当者は「ことしは異常に少ないという印象」と明かします。
りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「暑さが逆にマイナスに働く」と分析します。「外が暑すぎると、そもそも人が外に出なくなり、消費の前提となる”外出”自体が失われてしまう」というのです。
【りそな総合研究所 荒木秀之主席研究員】「暑くなればなるほど夏物の消費が増えるとポジティブに言われていたが、暑くなりすぎれば出歩く人が減るので、それに伴う消費もダウンする」
■夏休みなのに…子供の姿がない公園
記者が向かったのは大阪城公園。
夏休み真っただ中のはずですが、日差しが照り付ける園内は、人影もまばらです。
栃木から訪れた家族連れも「大阪城の手前まで行ったが、子どもたちも、ちょっともうダメだなって。体がダルくなってしまって」と苦笑いしました。
こうした現状が、「夜活」という新たな行動様式を生み出しつつあります。
■「夜風が気持ちいい」 ナイトプールで夏の夜を泳ぐ
夜活の代表格として注目されているのが、ナイトプールです。
「ホテルニューオータニ大阪」では、日没間近の午後6時半からナイトプールを楽しめます。夜の大阪城をみながら、ライトアップされたプールで泳ぐ来場者の表情は晴れやかです。
初めて訪れたという人は「ことし暑くて外出が億劫になるが、夕方からで日差しもないし、音楽も楽しくていい感じ」と話します。
取材した記者も人生初のナイトプールに挑戦。「上がると夜風が当たって気持ちいい」と顔をほころばせました。カメラマンが「初めて見た、そんな笑顔」とつぶやいたほどです。
■夜の水族館で幻想的な体験
京都水族館は夏休みシーズンに営業時間を延長し、午後8時まで開館しています。
夜になると、普段は昼間に眠っている夜行性のオオサンショウウオが動き始めます。また、お休みタイムのペンギンやアザラシなど、昼間では見られない動物たちの姿も楽しめます。
来館者からは「涼しいし、いいと思います」「(昼間は)茶わん蒸しよりあつかったけど、今は涼しい」といった声が聞かれました。
大きな水槽の前で幻想的な光景を眺めながら、涼を取る。夜の水族館は、夏の夜活の有力な選択肢となっています。
■ 子どもが夢中で収穫作業 “ナイトファーム”
昼間は暑すぎてお客さんを呼べないとして、イベント自体を夜にシフトする動きも出てきました。
「BNRナイトファーム」(京都・西京区)では、夕方から野菜の収穫体験ができる”ナイトファーム”を開催。子どもたちがキュウリやピーマンを収穫し、その場でピザにして食べることができます。
【BNR 寺島美羽代表理事】「近年の日中の暑さはひどくなってきているので、日中に外で遊ぶことができない中で、夜に着目した。おしゃれで映えるという視点から若い層も増えた」
■ 犬も夕方の夜活へ
暑さを避けたいのは人間だけではありません。
犬の預かり施設「DyplusOSAKAKITA」の高加奈絵店長によると、「夕方の涼しい時間帯にドッグランを利用する方が増えている」といいます。
地面に近い犬は熱中症になりやすく、「ほとんど散歩に行けていない方が多くなっている」と現状を説明しました。
施設では、昼間の猛暑を避けた夕方以降の需要が高まっており、犬たちも元気いっぱいに夜活を楽しんでいました。
■「人繰りは簡単ではない」 夜活拡大の課題
一方で、夜活の拡大には構造的な課題もあります。
りそな総合研究所の荒木主席研究員は「“ナイトタイムエコノミー”のコンテンツが揃えられようとしている。時間はかかると思うが期待はしたい」と前向きに評価しつつも、「需要に応じた人繰りは簡単ではない。夜間営業をやるに際して人手が当然足りないわけで、どういうことができるのかがこの夏問われている」と指摘しました。
■「エアコンは命を守る家電」 熱帯夜を乗り切る“正しい使い方”
夜活で外に出る一方、家に帰った後も問題は続きます。
熱帯夜です。
街の人からは「昔は扇風機だけで寝ていたが、今は無理」という声が聞かれました。
パナソニックの調査によると、睡眠時に朝までエアコンを使用するという人は4割以下にとどまります。多くの人がタイマー設定を利用していますが、これには注意が必要です。
外気温30度の環境で冷房を28度に設定した場合、エアコンが停止して1時間後には室温が約2度上昇します。そのまま放置すると、室温は外気温と同じ30度まで上昇しました。
■エアコンは「夜間つけっぱなしにして」
パナソニックエアーマイスターの福田風子さんは「昔の夏と今の夏は違うということを認識していただき、エアコンは夜間はつけっぱなしで朝までつけていただくのが良い」と呼びかけます。
気になる電気代については、3時間タイマーで電源を切った場合とつけっぱなしの差はおよそ15円。少しでも抑えるためのポイントとして、福田さんは以下を挙げます。
・夜間はカーテンをしっかり閉め、窓からの熱の流入を抑える
・エアコンの冷気は下に下がるため、上から降り注ぐ形で使うと省エネになる
・温度を1度上げるだけで電気代を約10%抑えられる
福田さんはさらに「エアコンはこの季節になると命を守る家電だと思います。部屋のよくいる場所に室温計を置いていただき、28度を超えたらエアコンを使おうと決めていただきたい」と訴えます。
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月27日放送)
