26日は土用の丑の日です。
ウナギの産地・鹿児島県鹿屋市では、規格外のウナギを使った新たなプロジェクトが始まりました。
生産者と地元企業が「理想の蒲焼き」を作ります。
全国トップクラスを誇るウナギの産地、大隅。
鹿屋市にある西日本養鰻は年間約600トンのウナギを養殖し、「活鰻」と呼ばれる生きた状態のウナギを九州各地に出荷している養殖場です。
毎日大量の活鰻を出荷する一方で、ある思いを抱いていました。
西日本養鰻 窪田知浩営業部長
「もうずーっとやりたかったです。加工場に関しては。作っているからにはお客さんに食べてもらって『おいしい』という返答がほしい」
自分たちの手で、加工まで手がけたいー
かねてから交流があった野菜の加工を行う会社「オキス」に相談し、「夢の蒲焼き」を実現させるプロジェクトが始まりました。
西日本養鰻 窪田知浩営業部長
「鹿屋で加工して鹿屋の人に食べてもらう。それが一番いいなと」
オキス・岡本雄喜副社長
「『地域に還元していくぞ』という思いを新たにした」
今回のプロジェクトで使われるウナギがこちら。
一見するとごく普通のウナギに見えますが…
窪田さん
「ちょっとここが曲がっているんですよね」
よく見てみると、背中のラインが少し曲がって見えます。
業界では「曲がり」と呼ばれる規格外のウナギです。
窪田さん
「曲がっているところでさばいた時に包丁が1回止まるんですよね。それでさばきにくいというところで敬遠される。大体、市場価格の7割くらいの値段になってしまう」
「曲がり」になるのは全体の約15%。
エサを食べている時にウナギ同士がぶつかることで体が曲がってしまうということですが、身はやわらかく味も変わりません。
この曲がりウナギを職人の手で焼き上げ、販売します。
加工場の整備費用として活用したのが、使い道を選べるクラウドファンディング型の鹿屋市のふるさと納税です。
曲がりウナギをよみがえらせる取り組みは反響を呼び、目標としていた2500万円を大きく上回る寄付を集め、鹿屋市から1000万円の補助金を得られることに。
日本料理店として使われていた鹿屋市の空き店舗を改修し、加工場を用意することができました。
曲がりウナギをさばくのは、オキスの社員です。
これまでは野菜の加工をメインに行ってきたためウナギを扱うのは今回が初めて。
2カ月間、ウナギ料理で有名な福岡県の柳川市などに修行に行ったそうです。
修行に行った社員
「うちの社長は『トンカツぐらいの頻度で地元の人たちに食べてもらえればいいね』と」
さばいたウナギは炭火と桜島の溶岩をつかって、じっくりと旨みを閉じ込めながら焼き上げます。
ショウガが隠し味のこだわりのタレで仕上げれば「見た目は規格外だけど味は想像以上」というウナギの蒲焼きの完成です。
一方、内臓や骨も無駄にはしません。
「『肝をキムチにしたい』という業者さんがいて」
Q.肝をキムチに?
「僕も聞いたことなかった。骨は後々ペットフードに使うので」
規格外のウナギは規格外の可能性を秘めていました。
オキス・岡本雄喜副社長
「これをきっかけに鹿屋市の知名度をさらにアップして、この地域に還元できる事業になっていけば」
ふるさと納税を通して、生産者たちの思いが形となったプロジェクト。
地域に新しい循環が生まれています。
職人の手焼きということで現在は1日に80尾ほどしか加工できず、2026年の土用の丑の日の分は全て予約完売だそうです。
今後は加工場での直売やネット販売、ふるさと納税の返礼品などで出荷を予定しているということです。
