公立中学校の5校に1校が、プールでの水泳授業を取りやめているという現状が明らかになりました。

学習指導要領では小学1年生から中学2年生まで、水泳の実技授業が必修とされていますが、「適切な環境が確保できない場合は例外が認められている」という規定があり、各校が授業を中止しているということです。

鳴門教育大学の松井敦典教授によると、「猛暑による熱中症リスクの高まり」、「プール施設の老朽化」、「教員の負担増加」が背景にあるといいます。

関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した弁護士・元大阪府知事の橋下徹氏は持論を展開し、「25メートル泳げるよりも、水に浮いていられる技術を教えるべきだ」と訴えました。

■「バタフライなんていらない。浮く練習をすべきだ」

番組の青木源太キャスターが、水泳授業の減少について、「泳げる子が少なくなり、水難救助の要因の1つが『泳力の低下』だった。命にもかかわることでは」と指摘すると、橋下氏は、水泳授業の“そもそもの目的”について問題提起しました。

【橋下氏】「元々、学習指導要領で定められた水泳授業の目的は“水難事故の回避”だったんですよ。タイムを競ったり、バタフライや背泳は必要なくて。いつの間にか授業がそっちに向いてしまっていないか」

そして橋下氏が授業でやるべきだとしたのは、水難救助にもつながる「着衣水泳」と「水中で浮く訓練」です。

【橋下氏】「泳げる人間でも、ジーパンなんか履いたときにはものすごく大変。そういうのをやるべき」

■コロナ禍でガクンと落ちた子どもたちの泳力

埼玉県の調査で「クロールで25メートル以上泳げる児童の割合」は、2010年には、男子で81.8%、女子で77.2%だったのが、2023年には男子で54.3%、女子で46.2%と減少しています。

これを踏まえても橋下氏は、「25メートル泳げても水難事故は防げない。水に浮いていられる、できるだけ長時間浮いていられる技術のほうが重要で、そちらを教えるべきだ」と持論を展開します。

実はこれ、専門家とも同じ意見なのです。教育社会学が専門の名古屋大学大学院・内田良教授も「溺れない指導」が必要だという見解を示しています。

「これまでの水泳教育は泳法やタイムのような競技的な思考が目立ち、水難対策は二の次にされてきた。着衣水泳や水中で浮く訓練のような、溺れないための授業だけでもするべきだ」と指摘しています。

【橋下氏】「浮くというのも、顔をずっと水面に出し続けることではなく、顔が水中にある状態から息をするときだけ出すという技術。慣れていないとパニックになる。それくらいは学校でやってほしい」

■「外部のプール使用のため公費による援助が必要」と橋下氏

水泳授業が難しくなる背景の1つ、施設の維持については、外部施設を利用しようという動きが出ています。

千葉県君津市では、比較的新しい学校プールの共同使用や市民プール・民間プール施設の活用がすでに始まっており、学校プール施設の大規模改修費などの削減によって、およそ6億3400万円(5年間)の経費削減が見込まれているといいます。

外部施設の利用については、スポーツ庁がチェックリストを作成しています。移動手段の確保や貸切バスの乗降場所への配慮、移動時間を考慮した柔軟な時間割編成など、検討事項は少なくありません。

橋下氏も「外部のプールを使うにしても、問題はお金をどうするか。保護者の全負担にするのは大変だから、公費による援助が必要だ」と指摘しました。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年7月22日放送)

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