新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
そんな中、シリーズで連載する「名医のいる相談室」では、各分野の専門医に病気の予防法や対処法などをわかりやすく解説してもらう。

今回は、「コロナ禍で心の不調を整えるポイント」について、心療内科の名医・田中奏多先生に話を聞いた。

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田中奏多先生は、東京TMSクリニックの院長。
ハーバード大学のTMSコースに留学して、薬に頼らない“うつ病治療”のプロフェッショナルとして、東京TMSクリニックを2020年5月に開業した。

コロナ禍で増える心の不調

田中奏多先生:
コロナウイルスの緊急事態宣言後、心療内科の患者さんが増えています。
生活ががらっと変わり、人間関係ががらっと変わることから、心の不調が出てきている人達が多いと現場で感じています。

具体的には、テレワークになり通勤がなくなったり、通学がなくなって外に出なくなる、もしくは朝起きる時間が変わってくる。

生活が変わる、体が変わる、心が変わる。そして心の不調になる方が多く見られます。

うつ病の方に関して言うと、落ち込みやすいいつも同じことを考えてしまう食欲が低下するあるいは増加する眠れない、もしくは過眠になったりもします。

多くの方が、うつ病は「心の病気」と思い、気合いで頑張ろうとする人がいますが、「頑張ろうと思っても頑張れない状態」というのがうつ病。
そして、うつ病の状態になってくると、自覚があまりない。気付いたら倒れてしまっていることがあります。

一番気付きやすいポイントは、「睡眠のリズムの変化」。夜眠る時間なのに眠くない、朝起きても怠い感じが残っているとか、睡眠の不調から心の不調に変わっていくことがよく見られます。

心の不調を整える3つのポイント

1、朝起きる時間を一定にする
2、夕方に運動をする
3、眠い時にベッドに入る

1、朝起きる時間を一定にする

人間の体内時計は2つあります。

1つ目が「中枢の体内時計」
これは脳の体内時計になります。
朝起きて光を浴びる時間が中枢の体内時計のリセットになる。

コロナ禍では、毎日この時間に起きないと出社に間に合わないというのがだんだんと無くなり、人間は放っておくと「寝坊、夜更かし型」になっていきます。
皆さんも思い当たると思いますが、小学生、中学生の夏休みや冬休みなど長い休みの最後の方は「寝坊、夜更かし型」になっていたと思います。

人間の体内時計は24時間以上あるので、朝起きて光を浴びないと段々夜更かし型になっていきます。
朝起きる時間が変わってくると「生活リズム」「体のリズム」も変わってくる
これが、心の不調に繋がるので、まず「朝起きる時間を一定に」ということが、中枢の体内時計を整えるために重要です。

2つ目は「末梢の体内時計」
これは朝ご飯の時間に関係しています。
朝起きて、朝ご飯を食べるというのが、一番抹消の体内時計を整えるのに適しています

朝ご飯の量は関係ありません。
しっかり朝ご飯を食べましょうと言われますが、量は少しでいいので、腸を動かすことが大事です。具体的にいうと少し温かいものを食べましょう。お味噌汁がお薦めです

温かいものは、体温を上げてくれる。人間の体内時計の体温は、朝と夕方に上がります。
人間の体は体温が上がった時に覚醒する、体温が下がったときに眠くなる。

なので、朝覚醒したいときは体温を上げることが重要ですので、朝起きる時間を一定にして、朝ご飯を食べましょう。

2、夕方に運動をする

睡眠は、体温が下がったときに質の良い睡眠となります。ですから、夕方に体温を上げてあげることが重要です。

夜の筋トレはあまりおすすめしません。
夜寝る前に筋トレしちゃうと、体に熱が籠もります。そうすると深い睡眠になりにくいので、筋トレするのは夕方。時間をシフトすることを意識してみましょう。

もう一つメリットがあって、夕方になると甲状腺機能が少し上がるので、ダイエットにも良いです。運動するのに効率が良いのは夕方なので、是非夕方に運動してみてください。

3、眠い時にベッドに入る

頑張って早く寝ようと思ってベッドに入ってもなかなか眠れないことはありませんか?
あまり知られていないことかもしれませんが、眠くない時にベッドに入って眠れるのを待つことはあまりよくありません。

脳は、眠くないときにベッドに入ってしまうと、「ここは眠る場所じゃないんだ」と勘違いしてしまい、どんどん眠りづらくなってきます。つまり睡眠効率が悪くなります。
眠くないときは、部屋全体の明かりを少し落として、眠くなるまでベッドの横など違う場所で時間を過ごすことをおすすめいたします。

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