緊急事態にも動じず…全国から称賛の声が届く小学校
「1人の子の親として、賛辞を送りたくメールを致しました」「こんな学校に通う児童は本当に幸せです」
宮崎市の江南小学校には、いま全国から称賛の声が届く。その理由は、命を繋ぐ見事なファインプレーだった。
それは2020年9月、6年3組の教室で給食を食べ終わった時のこと。
「(児童が)バタッて倒れて…え?となって。顔の色が違って、もう真っ白で。目もバッて開いていたので、これはやばいと思って…」
担任の別府貴裕先生は、目の前で男子児童が倒れた瞬間のことをこう振り返る。男子児童は声をかけても反応がない。別府先生はすぐに、そばにいた児童たちに職員室へ連絡するように指示した。
抜群のチームワーク 児童の命を救ったリレー
騒ぎを聞きつけ119番通報をしながら駆けつけたのは、隣のクラスの担任である田上政宏先生。
「まずは気道確保。大丈夫、落ち着いて。心臓マッサージを始めます!」
そう言うと、落ち着き払って心臓マッサージを始めた。毎朝、登校前の「波乗り」が日課というサーファーの田上先生。2019年2月、サーフィン中に溺れた知り合いに心臓マッサージを施し、救助した経験があったことから平常心を保てたという。
一方、連絡を受けた職員室で準備されたAEDを手に取ったのは、マラソン大会で優勝経験のある“韋駄天女子”こと黒木静香先生。

快速を飛ばし、いち早く届いたAED。
近くの教室から駆け付けた隈本加津美先生がすぐに処置すると…
隈本加津美先生:
本当に数分も経たないうちに、パッと目が開いてぶわ~って泣き出したので、「あ~戻ったね、良かったね」って。
誰に言われるともなく、それぞれの役割を果たした先生たちによって男子児童の命は救われた。後に医師からは「後遺症が残らなかったのは奇跡に近い」と、その対応を絶賛されたという。

みんなで繋いだバトン 緊張の15分の裏にあった積み重ね
なぜ、ここまで先生たちの連携がスムーズだったのか?
江南小学校では、心疾患のある児童が入学したことをきっかけに毎年、実践的な訓練を実施。

訓練を主導してきた養護の吉瀬恵子先生は、「何よりも生徒たちがひと言もわめくことなく、きちんと想定通り。ほかのクラスにちゃんと移動ができたんです。だから、子供たちも素晴らしかった」と語った。

教師と児童。その地道な取り組みがファインプレーのバトンを繋ぎきった、まさに“命のリレー”だった。
(「Mr.サンデー」11月15日放送分より)