台風豪雨で被災した「雨滝」 3年ぶりに一般開放へ
鳥取市国府町の観光名所「雨滝」が、3年ぶりに一般開放された。
2023年8月の台風7号による豪雨で、遊歩道の橋が崩落するなど甚大な被害を受けた「日本の滝百選」の名瀑。
復旧工事は当初予定より1年半遅れ、経費も見込みの5倍にあたる約2億円に膨らむという難工事だった。
それでも2026年6月に工事が完了し、7月4日に「滝開き祭」が行われた。
地元の人々の「3年間待っていた思い」が、轟音とともに流れ落ちる滝の姿にふっとんだ…そんな瞬間が訪れた。
落差約40メートル 「日本の滝百選」の名瀑
鳥取市国府町にある「雨滝」は、落差約40メートル。
豊かなブナの原生林を背景に水が轟音とともに流れ落ちる勇壮な滝だ。
「日本の滝百選」にも選ばれ、夏の観光シーズンには多くの観光客が涼を求めて訪れる、地域を代表する景勝地である。
毎年夏の観光シーズンの到来を告げる「滝開き祭」は、地域にとって夏の風物詩ともいえる行事だ。
しかし、2023年以降、その祭りは開かれることがなかった。

台風7号による記録的豪雨で 名瀑は立ち入り禁止に
2023年8月15日、和歌山県に上陸した台風7号は近畿地方を縦断し、北上した。
鳥取県では線状降水帯が発生し、東部と中部を中心に大きな被害をもたらした。
雨滝でも、豪雨によって滝の下流に大量の土砂や岩が流入。
滝に向かう遊歩道の橋が崩落するなどの被害が発生し、周辺一帯が立ち入り禁止となった。
間近で轟く名瀑の姿は、以来3年間、一般の人々の目から遠ざかることになった。

「本当に元に戻るのか」復旧経費は当初の約5倍、2億円に
被害を受けた後、市と県が協力して復旧工事を進めた。
しかし工事は難航を極めた。
重機を現場に通すための仮設道路の整備が必要だったほか、積雪のために冬場は作業がストップするなど、想定外の課題が次々と生じた。
結果として、工事完了は当初の予定より1年半遅れ、2026年6月にようやく完了。
経費も当初見込みの約5倍にあたる約2億円に膨らんだ。
それでも、復旧した遊歩道や護岸は、台風で流入した岩をそのまま生かすなど、周辺の自然と景観が調和するよう配慮しながら整備された。
単なる「元通り」ではなく、自然と一体になった「新しい雨滝」として生まれ変わった形だ。
国府町観光協会の山田一孝会長は、工事中を振り返り「本当に元に戻るのだろうかという不安もあった」と当時の心境を語る。
しかし完成した姿を目にして、「工事関係者のみなさまが一生懸命していただいて素晴らしい形になった。3年間待っている間はすごく長かったが、こうして新しい雨滝に来ることができて、その思いも吹っ飛んだ」と、不安は喜びへと変わったという。

地域の誇り再び 3年ぶり「滝開き祭」
7月4日に行われた「滝開き祭」では、シーズン中の観光客の安全を祈願する神事が執り行われた後、テープカットをして3年ぶりの「滝開き」が祝われた。
現場を訪れた記者は「ものすごい勢いで水が流れ落ちている。3年ぶりにこうして間近で見られるようになった」とその迫力を伝えた。
3年ぶりの一般開放を待ちわびていた地元の人々も、荘厳な滝の姿に見入った。
訪れた人からは、「心が洗われますね。毎年夏は来ていたが、3年ぶりに来られてよかった。国府町の町民として誇り高い」「楽しみにしていたのでうれしい。久しぶりにマイナスイオン浴びてありがたいです」など、思い思いの言葉が寄せられた。
毎年夏に訪れていた人にとっての3年間の空白、そして「国府町の町民として誇り高い」という言葉に、地域の人々にとってこの滝がいかに特別な存在であるかが滲み出ている。

“涼”求める観光客の期待 轟く水音が地域に活気呼び戻す
難工事の末に「復活」を遂げた名瀑「雨滝」。
厳しい暑さが予想されるこれからの季節、“涼”を求める観光客で賑わいそうだ。
台風被害から3年、約2億円の経費と多くの人々の尽力によって取り戻された景勝地が、再び国府町の夏を彩る。


