6月下旬から7月上旬にかけ、県内では、大雨による土砂災害が相次ぎました。被災した人たちは「また土砂崩れが起きるかもしれない」という不安を抱えています。危険と隣り合わせの暮らしに今、何を思うのか。その声を取材しました。
県内には、6月から何度も大雨が降りました。
6月24日からの記録的な大雨。
そして、7月2日には線状降水帯が発生し、数日後にも再び大雨が降って、2週間にわたって不安な日々が続きました。
この短期間で、レベル4・土砂災害危険警報は、県内10市町で、のべ17回発表されています。
【木村記者】
「嬉野市の山間部の市道です。ご覧のように崖から崩れ落ちた土砂が住宅のすぐそばまで押し寄せています」
嬉野町不動山。
6月、20メートルにわたり土砂が崩れました。
道に流れ込んでいた土砂は撤去され、現在は、ブルーシートを張って応急処置がされています。
【北野等さん】
「この辺まで土砂があった。さらに流れたのが下の県道まで」
Q結構広い範囲ですね
「結構広い。砂みたいな土がずっと下まで流れた」
この山に住む、茶農家・北野等さん77歳。
6月25日午前5時過ぎ、自宅裏の斜面が崩れました。
当時、2階で休んでいた北野さん夫婦にけがはなく、自宅への被害もありませんでした。
【北野等さん】
Qなぜ避難しなかった?
「崩れると思とらんやった。また家が潰れたら大変だなと(今回は)家に被害なくよかった」
実は、北野さんの自宅裏の斜面は、5年前の豪雨でも崩れています。
当時、嬉野市で平年の8月雨量の5倍を超える1478ミリが降り、北野さんの自宅には、今回より多くの土砂や泥水が流れ、部屋や台所まで被害が。
【北野等さん】
「泥水はこの辺いっぱい。家の中も畳の部屋も…水が抜けるように玄関をあけて避難した」
嬉野市は、5年前に、斜面の補強工事を行ったものの、今回で2度目の土砂災害…。
7月、線状降水帯が発生した日は近くに住む娘の家に避難しました。
これ以上崩れれば、引っ越す必要もあります。
しかし、約80年暮らす山から離れたくありません。
【北野等さん】
「ここが自由がきいて何でもできるから。住んでいる所が一番住みやすい」
記録的な大雨は、太良町の歴史ある寺にも被害をもたらしました。
そびえたつ、ほぼ直角の崖。
その上には、住宅が並んでいます。
少し急な階段をあがっていくと…がけの上にあるのが、創建約380年、太良町大浦の光福寺です。
【合浦善哉さん】
「こちらが現場になります。当時の状況は午前2時半ぐらい大きな音がしまして、アスファルトの裏が、えぐれたような感じに」
がけ崩れによって、寺の近くを通る道も大きく欠け、落下防止用のフェンスは、宙に浮いたままに。
影響は、寺を支える石垣にも。
【合浦善哉さん】
「地面が傾いているのかなと思う」
Q.もっと崩れたら?
「境内まで被害が入れば避難するなり考えないといけない」
応急処置など太良町が対応中ですが台風シーズンを前に、不安は残ったままです。
【合浦善哉さん】
Q.バサバサという音も怖い?
「夜は怖いです。台風来たら持たないかもしれない。もしブルーシートが剥がれたら、また崩落する危険性はあるかと」
土砂災害から3週間。雨が止んでも不安は消えません。
土砂崩れを経験した合浦さんは、こう呼びかけます。
【合浦善哉さん】
「もう年だから、避難せずに家で過ごす方もいるが、安心安全な場所に避難した方が地域の人も助かる。警報出たら避難してもらいたい」
県内には、土砂災害警戒区域が1万2000カ所余りあります。
梅雨明け以降、天気がいい日が続いています。
いまのうちに・自宅や親族宅などに土砂崩れの危険がないか・避難場所はどこか、避難ルートが安全かなどハザードマップで見たり、実際に歩いてみたりして確認してください。
避難所への移動が危険な場合は、崖から離れた高い部屋に移動する「垂直避難」が命を守る選択になることもあります。
次の雨・台風までに「いつ」「どう逃げるか」を決めておきましょう。
