7月に入り福井県内でも各地で海開きが行われ、海水浴シーズンがやってきました。こうした中、敦賀市で最も大きな海水浴場「気比の松原」が存続の危機を迎えています。海水浴客の大幅な減少が理由ですが、その背景にはレジャーの多様化や過酷な暑さ、コロナ禍などの問題が横たわっています。曲がり角に立つ海水浴場の現状を取材しました。
◆海水浴客がピーク時の8分の1に
日本三大松原の一つ敦賀市の「気比の松原」は約1キロにおよぶ白い砂浜が魅力で、夏場には多くの人が海水浴に訪れます。
今年も7月18日の海開きを前に、砂浜では救護所や遊具の設置など着々と準備が進められています。
しかし、この光景の裏には“ある課題”が―
海水浴場の運営を担う第3セクター「港都つるが観光協会」の池田裕太郎さんは「今年は営業するが、来年以降の開設については検討中です」と明かします。
実は、海水浴客が大幅に減少しているのです。
1990年前後の映像を見ると、ビーチには人がごった返しています。
市によりますと、ピーク時には年間約50万人の客が訪れていた気比の松原海水浴場ですが、観光協会が運営を担うようになった2012年には13万人にまで減少。さらにコロナ禍が追い打ちをかけ、その数は激減。昨年はついに6万4000人にまで落ち込みました。
池田さんは「客が極端に減り運営状況が厳しい。夏の気温が高すぎることや、遊びの多様化で泳ぎに来る客が本当に減ってしまった」と肩を落とします。
◆3500万円の運営費に対し収入は500万円
海水浴場の運営には救護所や照明の設置のほか、駐車場の警備やライフセーバーの人件費など年間約3500万円の費用がかかります。
一方、収入は駐車料金の500万円余り。残りは市の補助金として税金でまかなっている状況です。
かつては所狭しと並んでいた浜茶屋も今年、営業するのは1軒のみ。
「ここら辺にも(浜茶屋が)ずーっとあったんですがね…寂しいもんですね」と池田さん。
海水浴客そのものが減ったことに加え、コンビニなどで食べ物を買ってから訪れる人が増え、浜茶屋の利用も減少しているのです。
「やっぱり寂しいですね。ここは家族連れで来るとすごくいい場所。新幹線で敦賀に来てもらうと、こんなに近い海水浴場はないのですが…」(池田さん)
敦賀の夏の最大の観光資源だった気比の松原海水浴場。
7月の定例会見で米澤光治市長は「すごく心配している。我々にとっては大事な海水浴場なので、なんとか維持したいとは思っている」と述べました。
市は観光協会や関係団体と委員会をつくり、来年以降の海水浴場開設について検討を進めています。
夏にはあるのが当たり前だった海水浴場も、継続の難しさに直面しています。
海水浴客の減少は顕著で、県内では2019年の約70万人から去年は48万人にまで減っています。
夏の観光を支えてきた場所をこれまで通り続けるのか、形を変えるのか。難しい選択を迫られています。
