食料・飲料の値上げが止まらない。2025年7月だけでも2500品目以上が値上がりし、年間では5年連続で1万品目を超える品目が値上がりしている。そんな中、消費者の熱い視線を集めているのが「激安スーパー」だ。全国チェーンの進出、地場スーパーの新業態と競争は激化するばかり。富山県内で存在感を増す3つのスーパーを取り上げ、その「安さの秘密」に迫る。

「段ボールのまま売る」ラ・ムーの徹底コスト削減

今年5月、富山県内2店舗目となる富山北店をオープンしたばかりの「ラ・ムー」。店内に入ってまず目を引くのが、独特の陳列方法だ。店全体の約半分のスペースで、商品が棚に並べられるのではなく、段ボール箱のまま販売されている。

笹倉槙人店長は語る。「飲料や菓子などは段ボールのまま陳列することで、品出しにかかる時間や棚にかかる費用を抑えて安く提供しています」。


注目すべきはパンと総菜だ。自社工場で製造しているため、3斤分の食パンがわずか213円(税込)。弁当も同じく213円(税込)という驚きの価格を実現している。「総菜の種類を減らすことで1つあたりのコストを下げて安く売れるようにしている」と笹倉店長は説明する。


値札にも工夫がある。白い値札は定番価格、黄色い値札は期間限定の特価品。さらに「近隣の競合店より自信あり」という表示も見られ、価格への自信がうかがえる。

さらに6月からは、運営会社・大黒天物産にちなんで「大黒様」をデザインした自社開発の生ビールも登場。リピーターが増えているという。「今後も安さを追求し、お客様に応えられるようにしていきたい」と笹倉店長は力を込める。
「牛乳パックのデザート」が話題、業務スーパーの自社工場戦略

「業務スーパー」という名前から、プロ向けの店を想像する人も多いだろう。しかし実態は違う。神戸物産IR・広報課の高木明日香課長は「オープンが2000年なんですけど、その当時から一般のお客様大歓迎というところで、一般のお客様に向けたスーパーになります」と話す。「プロの品質・プロの価格」を打ち出すためのネーミングだという。

県内に7店舗を展開する業務スーパーの強みは、大量仕入れと徹底した管理コストの削減だ。特徴的なのがオリジナルの冷凍ケースで、奥行きが深く、段ボールのまま納品して一箱並べられる設計になっている。

特に人気を集めているのが冷凍野菜だ。「業務スーパーといえば冷凍野菜というぐらい人気ですね。特に野菜のお値段が高いときとかは顕著によく売れます」と高木課長。天候や災害で価格が乱高下しやすい生鮮野菜に対して、安定した価格を提供できる点が支持される理由だ。


もう一つの話題商品が、牛乳パック入りのデザートシリーズだ。もともと学校給食向けの牛乳工場をM&Aでグループに取り込み、同じパック・同じラインでデザートを製造。プリンやコーヒーゼリーなど定番品のほか、この夏はラムネとトマトのゼリーが登場している。アレンジレシピがネットで話題になり、来店客から「話題になってたやつですよね」と声が上がるほどの人気ぶりだ。「業績の方もずっと右肩上がりで成長しております」と高木課長は話す。
地元・大阪屋ショップが新業態で挑む「小型店」

県民おなじみの「大阪屋ショップ」も負けてはいない。4月、高岡市に小型新業態「大阪屋ショップGO」をオープンし、客足は好調だ。


コスト削減の手法は明快だ。従来店を改装して冷蔵ケースを壁側に統一し、セルフレジをメインに導入。店員の数を4割減らすことで、従来店より低い価格を実現した。「安くていい」「だだっ広くもないし手軽に買える」という客の声が、その使い勝手の良さを物語っている。

生鮮食品を長年扱ってきた実績があるため、品ぞろえと品質への信頼は厚い。さらに店内に百円ショップとの連携コーナーを設け、利便性も高めている。
業務推進部の砂原崇次長は手応えを語る。「改装前と比較してもお客様の数が大幅に増えている。お客様の支持をいただければ、この後2号店3号店も計画していきたいなと思っている」。

物価高が続く中、スーパー各社は「安さ」を武器に知恵を絞っている。段ボール陳列、自社工場活用、省人化—それぞれ異なるアプローチで富山の食卓を守る激安スーパーに消費者の熱い視線が注がれている。
(富山テレビ放送)

